この時期は日に日に昼間が長くなっていく。夏至まで2か月を切っているのである。桜が見かけるたびに姿を変えていく時期でもあり、春爛漫といったところ。
寒くもなく暑くもなく、昼間の陽気の名残が後を引く時間帯とでもいうか、日没までまだあるけれど、西に傾いた斜めの陽差しがのどかに支配する時間。
こんなときは、とくしま植物園。一日の身心張り詰めた凝りをほぐすように来てみたくなる。



特にこれといって見るものがないからこそ、何度でもここに来る、ということがある。この場所はそんなところ。




そして、スミレ。公園の土手に群落があった。スミレ(Viola mandshurica)、ノジスミレ、アリアケスミレが紫と白の対照。仲良く並んでいるのもある。









アリアケスミレが群生していた

ノジスミレとアリアケスミレ。異種が会話しているようだ

ノジスミレ

スミレ(Viola mandshurica)


美形のアリアケスミレ


これだけの密度で咲いていることはなかった。ユキワリイチゲもそうだったが、今年はスミレの当たり年かもしれない。それにしても、植物も人も、いまいる場所で咲いている。
追記
ここも徳島の良さを実感できる場所。邪馬壹国阿波説を考察していて思うことは徳島は食材の宝庫という点。阿波の国は古事記にも大宜都比売(食材の女神)になぞらえているように、吉野川、勝浦川、那賀川といった大河が紀伊水道に流れ込み、陸ではミネラルを供給して肥沃な土地を、海底には同じく肥沃な砂地を形成する。蒲生田岬から南は黒潮洗う太平洋があることから、瀬戸内海(鳴門)を含めて3つの海域の魚種が手に入る。川がつくりだした沖積平野は肥沃な田畑を形成、急傾斜地の地形ではそれにふさわしい雑穀を産する。香酸柑橘も豊富(質量とも)。つまり食材に困らない国だったことがわかる。
邪馬壹国はどこにあったって構わないけれど、全国にこれだけの多様な生態系からの豊富な種類を食材を提供できる土地は大昔からいまに至るまでそう多くない。生態系の多様性と食材の宝庫は不確実な時代を生きぬく源になるのではと考える。「徳島にはなにもない」と思う人、何もないのに生きていけるとしたら、それが幸福の前提となるのではと提案するけど、響かない?
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