2023年10月08日

我が輩はイナゴ。バッタではない。容姿には自信がある


車から降りたら車体にバッタが止まっているのが見えた。
カメラを積んでいた、近寄ることができた、シャッターを押すことができた。
結果はこれ。なめらかな曲面の金属面に自分の姿が映し出されているのを誇りに思っているコバネイナゴ。
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玄関先にいたツマジロエダシャク。人工物(コンコルド)にも見えるが、自然がなしえた進化と遺伝ゆえ
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別の場所(香川県)で発見したものもここに掲載。
容姿に自信がありそうなのはここにもいました。碧い宝石のようなムラサキシジミ
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こちらは、ヤブツルアズキの花弁にとまったウスイロササキリでしょうか? 触覚が画面の右上をはみ出して伸びている
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昆虫の専門家にはなれなくても、自然界に目を配っていれば、身の回りに多くの昆虫がいることに気付く。
タグ:昆虫
posted by 平井 吉信 at 00:28| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年10月07日

日没直後の西の空に太陽柱(サンピラー)


中津峰山へ登った夕方、大気にダストが多いように感じたので、赤い夕焼けになると予想していた。車で下山していると西の空がチラチラ赤みを帯びているのが運転中に見えてくるが、西の空が開けない。そうするうちに太陽高度がぐんぐん下がってくる。日没現象は分というより秒の推移となる。

ようやく西の空が開けた土手の上に車を停めた。
見えてきたのは、沈んだ直後の太陽が炎を拭き上げたような赤い光の帯。
西方浄土? キリストの降臨? なんだかありがたい現象のように見えてくる。ただし地震の予兆となるような雲はない。それゆえ変わった大気現象が凶事の予兆ではない。
(18時00分00秒)
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(18時00分34秒)
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太陽柱という。あまり見られない現象と思うけど、ダストが多いと予感したこの日の夕方、気温が低下したことで氷の成分を含む雲(手前の黒い雲は層積雲だが、朱く染まっているのは高層雲のように見える)がガイドの役割を果たしたのだろう。四国でこれが見られるのは珍しいのではないか、だからこの夜は冷え込んだはずである。
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posted by 平井 吉信 at 23:11| Comment(0) | 気象・災害

午後の遅い時間は山の黄金のとき 中津峰山


時計を見たら15時前。こんな時間に自宅を出て山を登るのは誰かさんぐらい。夏場であれば太陽に温められた水蒸気が午後には層雲、積雲、雄大雲、積乱雲などと成長して雷や夕立が訪れる。でも風たちぬ、いまは秋。下山にヘッドランプを灯したこともたびたびだけど、誰にも遇わず静かな山歩きができる。

登山口はまだ日が高い。ひつじ雲とも呼ばれる高積雲が空を闊歩する。
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登山口から峠をめざす
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途中で何度も止まってしまうのは季節の贈りものが点在しているから
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いまはシコクママコナぐらいしか目立つ花はないけれど群生しているので、そわそわと誘われて足を止める
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樹木のトンネルをくぐり抜けていくと陽光も樹間をくぐり抜けてぼくの顔を照らす。おだやかななかに弾む心の動き
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雲を見ていると飽きないな。足下を見たり空を見上げたりと首の運動をしている
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山頂を通り過ぎて南へ降りていく
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帰りは山腹を南から西へ巻きながら林道を通過する
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やがて林道に沿うように沢が現れる。この沢は勝浦川水系として南流する
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苔の帽子、沢の表面をつたう水。
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間伐が行き届いた人工林は適度な樹間に植物が茂り、温帯モンスーンの森を形成する
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途中で「あずまや」の標識を見て、林道から西に立ち寄った森が意外に良い
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車を停めたところまで戻ると層積雲(うね雲)の隙間から光がこぼれている。もう夕方だな。
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タグ: 中津峰山
posted by 平井 吉信 at 22:58| Comment(0) | 山、川、海、山野草

里海の記憶〜陸の孤島といわれた由岐町阿部(あぶ)地区、防災と自然の営み〜


かつて陸の孤島といわれた阿南市の那賀川中流域、蒲生田岬周辺、海部郡由岐町の阿部伊座利(あぶいざり)地区なども道路が整備されて行きやすくなった。それでも運転に慣れない人は見通しの悪い曲がりくねった海沿いの道を神経を使って運転すると疲れるかもしれない。

そこにある里海の暮らしを訪れてみたくなった。かつては「いただきさん」と呼ばれた頭に篭を載せて魚を売りに行く行商が隣の伊座利地区とともに営まれていた。少女の頃から習練を積んで成人する頃には数十sを頭に載せることもあったという。その頃の展示があるのは由岐駅の2階にあるポッポマリンである。
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阿部地区のような里海は地元の暮らしの場であり、静かに足を踏み入れることとした。すれ違う人へのあいさつは欠かさない。集落へ車を乗り入れるのは見合わせて集落を見下ろす県道の広い路肩に置く。そこから歩いて10分程度で集落の中心までたどり着ける。
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県道は想定される最大高さの津波に浸水しないとされていて、そこに向けて集落から上がる里道を随所に整備、県道沿いにはヘリポート、食糧など災害対策品を各家庭が備蓄するなど災害対策を万全に行っている。これは他の里海の集落の手本となること。
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県道から集落へ下りていく道筋の沢(東谷川)は海とそのままつながっている。
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エビやカニが生息しているのでは。きっと集落の子どもの遊び場、いまの大人もかつて遊んだ場所ではないかな。海部郡の川はどこにもダムがなく海に注ぐので自然度が高い。里海には小川が果たす役割が大きい。伊座利の伊座利川も同じく魅力的。海に出る前に川筋で足が止まってしまう。
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集落を縦横につなぐ道は漁村らしく狭隘。隣家の会話が聞こえてくるのではと思えるほど民家も隣接している。あけすけで濃密だけど山村ほど干渉しないという漁村の意思疎通が構造的に見える気がする。
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郵便局がある集落の中心部
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町立阿部小学校は2009年まで由岐中学の分校も併設されていたが、2011年に休校となった
http://www.abukou.minamicho.ed.jp/
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集落を抜けると地域の産土神である宮内神社がある。
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階段を上がりきると標高約7メートルで津波の際の避難場所にもなっている。
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境内に置かれただんじり。秋祭りでの出番が近いのだろう。
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宮内神社の前には阿部の漁港が広がっている。漁港沿いに歩いていく
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津波からの避難とは高い場所に上がること。それは墓地の裏手や集落の裏手、神社の裏手など至るところに表示されている。集落の防災意識の高さがうかがえる
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漁港をなぞるように山裾から南の浜へ出られる小径がある。崖にはハマナデシコが群生している
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驚いたのはシオギク。四国東南部の蒲生田岬から室戸岬までの海浜崖に自生するのだが、ここのは生育が良い。室戸岬より自生の条件が良いのかもしれない。花期は冬である。
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このハマヒルガオも勢いがある。5月頃が花季である。
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漁港の隙間からハマナデシコがてんこ盛りの皿鉢料理のように溢れ出す。うれしいな
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これはツルナ。葉が食用にされているが、栽培しやすいので畑に移植されることもあるようだ。アイスプラントのような食感らしい。栽培種でなく自生種である
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ハマナデシコは造花や園芸種のように見えるほどあでやかで曇り空の下の集落を照らす燭台のよう
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港の南端から鹿ノ首岬方面と岬の東側の浜が見える。この浜へは阿部集落から渚づたいには行けなさそうなので集落の南の尾根に上がって下りるようだが、その小径は荒れているかもしれない。
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由岐に戻る途中の展望台で見たおだやかな夕暮れの空と海。人々の暮らしの燭台であってほしい。
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追記
阿部地区の隣には志和岐(しわぎ)地区がある。この海浜では地元の保護活動によってナミキソウが初夏に花を咲かせる。
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2023年秋、この志和岐で県外から来られた人が地元の水産振興をねらって新たな会社を立ち上げる。年内には営業が始まると思われる。思いの込められたその企業のご発展を祈りたい。



posted by 平井 吉信 at 12:54| Comment(0) | 里海

2023年10月03日

季節はずれでもえい 雨乞の滝から未来を


このとっころブログの更新がまっこと追いついちょらん。ほんでもて気候もおかしいながよ。ついこないだまで暑い熱いといいよった人たちが、朝晩はひやいと。どーいてこんな地球になったがか。

涼しさをお届けするために、神山町の雨乞の滝に行ってきたき。ぬくい湯豆腐が食べたいぐらいになってもうたけど、ままこな。

この時季はゲンノショウコが至るところで。見ればみるほどす。
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湿潤な遊歩道ゆえサワガニを踏まないようせな。
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カタバミとツユクサ どっちもええけんど、焦点の合わせ方で見え方が違う。
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ここではカタバミ主人公のほうがえいの。

遊歩道入口の彼岸花。縦位置と横位置で見え方が違う。ここでは縦位置がざまに。
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湿った沢沿いの小径はタニジャコウソウの群生。こんなところでひっそりと饒舌に(よく使う言葉だけど)咲いちゅう。
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滝は至るところにあってこんな具合やき。
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道中は苔むして滑りやすい 注意せんとあかん
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雨乞の滝の終点は二重滝となっちゅう
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まだ慈眼寺までの険しい道があるながよ。行かんけど
神山温泉の看板、入りとうなるの。「まったり さっぱり してやったり」のコピーが秀逸なま。
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まるごと高専の生徒さんたちとすれちごたかもしれん。駆け足で上がっていきゆ。えい試みじゃあな。いまの学校教育にない子どもに勇気を未来をくれるような学校じゃき。

まちの商店街から歩いていけるぐらいの距離じゃけど、珍しい生き物にも出会った場所。谷川に足を浸けてノートパソコンで仕事しよる人たちがおるかどうかは知らんけんど(あれはマスコミの「絵」)。

(らんまんロスのみんなに、万太郎の言葉で語ってもろたき。まあ幡多弁もまじっちょるが堪忍)
posted by 平井 吉信 at 22:07| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月30日

夕方の巻雲(すじ雲)は 何もない一日を映す幸福のかたち


近所に買い物に来て車を降りたら夕焼け雲が眼に入った。幸いカメラを持っている。店に入る前に駐車場から。

まずは換算35o(X-T5+XF23mmF1.4 R=準広角)の視野で。下部の蒼灰色の雲は形成されかけている積乱雲(この日は気温が高かった)で右上の白いブーメラン状の雲はこの積乱雲の上部が上昇分離して濃密巻雲となったものかもしれない。
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標準レンズ(X-T30+XF35mmF1.4 R)の縦位置で見てみよう
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この濃密巻雲はもつれ雲の形状
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太陽に近いところでは放射状巻雲が斜めの太陽光で赤く色づいている(X-T5+XF60mmF2.4 R=準望遠)。
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雲は地球の大気の動きを痕跡として見せてくれている。気象は温暖化による異常気象が加速されているが、身近なところで平穏無事に終わった一日と相まって雲は心を映してくれる。ひとことでいうと、何もないことの幸福感。

雲を見ていると、じんわりとひたひたと幸福感で満たされる。かたちあるものの背後にある、かたちのない存在に気付いているから。
posted by 平井 吉信 at 22:22| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月29日

中秋の名月2023年 月の輪(月暈)と木星 


仕事が一段落して外に出た。中秋の名月といわれる今宵の満月が気になっていたから。

すじ雲(巻雲)がかかって月の光輪が出ている。雲に隠れた月が現れるときの感動にも似た心の動きもあれば、観音様の光背のような今宵の名月もまた良し。快楽の神、木星が月の東に惑星の王者の落ち着きで光を置いている。
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日々現れる天文現象、空とか雲とか、星とか。そしてそれが地上に投影された気象や森、水、土、川と海を見ているとすくっと目線の位置(魂の高さ)が上がるような気がする。

さてと、地上から仰ぐ我らゆえ、月と木星にかけて、黄金のきらめきを宿す獺祭を味わいたいところ。

(フジX-T5+XF14mmF2.8 R、f5.6/3.1ss/ISO 800)