2024年12月21日

冬のブルーモーメント


空気が澄む冬の薄明は紺碧に沈み込む。寒さの証し(放射冷却)のような透明度
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2024年11月04日

見上げた東天の冬の星座 オリオン舞い立ちすばるはさざめく夜


透明度の高い冬の空の特徴が現れ始めたが、この夜の気温は高め。部屋着のまま自宅から三脚を据えて冬の星座を捉えてみた。

中学時代、川沿いの土手を星夜に照らされて冬の帰りみち。自転車の発電機が仕事をしていることが脚に感じられ、1メートル前方の空間が地上の視界。

見上げると初冬の星座、自転車を停めれば一寸先も見えない地上に星夜が降り注ぐ。大気の震えで星がいっそう瞬く。

寒さを忘れて見とれていたのもしばし。静寂を打ち破るようにペダルを漕ぎだす。ほのかに照らされだんだん明るくなっていく。暗闇の燭光のように星が自分を見つめている錯覚。オリオン舞い立ちすばるはさざめく…。そんな夜を思い出す今宵の星夜。

東から昇ったオリオン座の左上には木星。オリオン座の左上の赤い輝星は、α星(星座で明るい順にギリシャ語のアルファベットを割り振る)のベテルギウス。ただしここ数年の光度は2等星相当に暗くなっているとされる。右下にあるβ星のリゲルは青白い巨星でいまはこちらが明るい。

実は赤色巨星に分類されるベテルギウスは10万年以内に超新星爆発を起こすのではと予測されている。そうなるとオリオン座のかたちが変わるか、現在のベテルギウスの位置に三つ星の下にあるM42(オリオン大星雲)のようにガス星雲が現れるかもしれない。
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そしてすばる(プレアデス星団=M45)。子どもの頃から、空にある東京タワーと思っていた。明るい天体ではないのに群がるこの並びは目立つ。清少納言は「星はすばる ひこぼし ゆふづつ」と記したように、プレアデス星団、わし座のアルタイル、宵の明星(金星)が趣のある天体とする。清少納言に「いいね」を送りましょう。平安時代にSNSがあれば彼女はインフルエンサーになっていたでしょう。自動車のスバルのエンブレムがこの星団を象っている。スバルのクルマは好きだけど。
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散開星団プレアデス星団の下にあるのは、おうし座のα星アルデバランを含む広がった散開星団ヒアデス。左端の輝星はぎょしゃ座α星のカペラ。ぎょしゃ座の五角形のなかに散開星団M38、M36が写っている。

冬の星座を5センチ7倍ぐらいの双眼鏡で見るのも一興。寒さ対策とカップラーメンを準備して、ヘリノックスの椅子にもたれて見たら、散開星団や散光星雲に混ざって、ときどき視野のなかを人工衛星や暗い散在流星が横切るかもしれない。

追記
フィルム時代なら、6×7版、6×9版のカメラ(ペンタックスとかマミヤ)を赤道儀に同架して長時間露出したのかと思われる鋭い星像(Webに縮小する前の元データ)だが、三脚にAPS-Cの小型カメラで静止数秒間の静止撮影をしただけ。技術の進歩の恩恵といえるけど、40M画素のセンサーで画素ピッチが細かいフジX-T5では、解像度の高さゆえか準広角レンズといえでも10秒でも星像が流れる。

別のカットのオリオン座を追加。オリオンの左にはバラ星雲がかすかに写っている。オリオンの下の白いもやは地球の雲
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〔撮影データ〕
フジX-T5+XF23mmF1.4 R→f2.8 ISO3200 露出6.5秒 
(ともに一部をトリミング)
タグ:星夜

2024年10月17日

同じ場所で見えた雲のカタログのような空


彩雲となった巻積雲 
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左端は飛行機雲 左下の黒い雲は巻積雲の下層にあるちぎれ雲(高積雲)
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房状の巻積雲 中央には毛状巻雲
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コンコルドのような巻積雲
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巻雲と巻積雲が交錯するように重なった二重雲
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太陽活動、大気の流れ、地球規模での気候の変動などをもっとも端的に表す雲について観察を続けていく

2024年10月16日

速報 紫金山・アトラス彗星(2024年10月16日)


中国の紫金山について知らない天文ファンはいない。国は違えど輝かしい功績を残している天文台である。場所を改めて調べてみると上海の西に位置するようだ。これでは東天は全滅、光害の影響で暗い天体の観測は難しいのではないか。

2024年秋に地球に近づいた紫金山・アトラス彗星(Tsuchinshan-ATLAS彗星)を見たいと思っていたが、なかなか時宜を得なかった。

10月14日の西の空を写してみた。前日に近地点(地球にもっとも近づいた)を迎えたので、高度は低いながらも肉眼で見えなくても尾を引く淡い天体が写し出されているのではないかと思ったが、向けている写野が違うのか、淡いからか彗星の姿はなかった。それでも墨絵のように美しい夕空を鑑賞できた
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それから数日間、悪天候で参ったなと思っていた。16日も曇りとのことであったが、仕事で移動中に空の一部が晴れて太陽が薄日を射したのを見て、もしかしていけるのではと思った。

夕方を迎えて徳島県東部でもっとも条件が良いと思われる山中に陣取った。少しずつ日が暮れていく。集まった見知らぬ人たちが双眼鏡やカメラを構えつつ情報交換を行う。一昨日は特に明るく見えたそうだ。

17時59分 現場へ到着 南西の方角へ向ける(XF35mmF1.4 R)
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18時00分 東天の十三夜の月に彩雲がかかる(XF35mmF1.4 R)
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18時5分 金星が浮かぶ南南西の方角と市街地(XF35mmF1.4 R)
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18時20分 標準レンズで市街地を入れた構図の上部に彗星が現れる。思ったより高度が高い(XF35mmF1.4 R)
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18時25分 標準レンズの縦位置で捉えると、大きさや位置関係、高度感がわかる(XF35mmF1.4R→f4、1.1秒、ISO3200)
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18時28分 レンズを中望遠に換えてみた(XF60mmF2.4 R Macro→f3.2、0.91秒、ISO3200)
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薄雲が彗星を覆いだしたので東天の十三夜月にかかるおぼろ雲や市街地のまちなみを見つつ、山頂をあとにした。明日はスーパームーンだ
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2024年09月18日

月をめでる日本人になって宙を見上げる宵(中秋の名月)


地平線から昇ってくる姿は濃い月力(がちりき)を感じさせたが、夜半過ぎに天頂にさしかかると、そのまどかなる月輪をさらにさらに輝かせて涼やかにたたずまう。
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(ニコンD7200+AF-S 70-200mm f/4G ED VR、200oF6.3、1/500秒の手持ち撮影、ISO200 マニュアル撮影を一部トリミング)

2024年07月27日

天気の子 夏の空は雲を愛でる季節

梅雨明け後の太平洋高気圧の張り出しは例年のこととはいえ、太陽の大きな熱量がもたらす目玉焼きができそうな熱射とその後の上昇気流で夕立が訪れる。

雲の成長も早い。積雲が雄大雲となり、積乱雲、その上部が水平に折れ曲がる、かなとこ雲などに変わっていくが、地平線に湧き出して変形するのにほんの数分のこともある。けれど巨大な積乱雲は雷雨をもたらすとしても1時間程度で収まる。例外は超巨大積乱雲(スーパーセル)で局地的豪雨を数時間もたらすことがある。

「天気の子」は雲を愛する気象予報士の荒木健太郎さんが(おそらくは作画で)監修を行っているそうだから、描画される雲を見ると、かなとこ雲やスーパーセルが出てくるかもしれない。冒頭での船の場面ではスーパーセルがもたらすダウンバーストと思われる場面が描かれている。

※ぼくも持っている荒木さんの著作「雲を愛する技術」はマニアックかつ初心者向けの本で愉しい。

だから夏の雲は見飽きることがない。見飽きないのは良いとしても人の根気が続かないのは暑さのため。この暑さを鎮めるために誰か人柱になってくれないだろうか(その必要はない、というのがアニメのメッセージ)。

ところで、エアコンも使わず水分もあまり摂らないぼくがいうのは説得力がないが、熱射病対策にスポーツドリンクは効果がない(むしろ良くない)という専門家の見解がある。

毎日新聞デジタルで拝見したその記事によると、夏にテーマパークを訪れた男性が大量のスポーツドリンクやジュースを飲んで自宅へ戻ったところ体調が悪化した。救急車で運ばれた病院で検査した血糖値が正常値の15倍にもなっていた。このような状態では死ぬこともあるそう。血中の糖濃度が上がりすぎて血液がドロドロ状態となり、循環器の急病などに陥るおそれありという。高い血中の糖を薄めようと細胞から水分が奪われて脱水状態となる。「高血糖高浸透圧性昏睡」あるいは「ペットボトル症候群」などと呼ばれるそうだ。

そのため、飲むとしたらスポーツドリンクではなく、水や茶を勧める専門家は多いとのこと。塩分については普段から過剰摂取の可能性が高い日本人は意識して摂らなくても良いという見解であり、ぼくもそう思う。山へ行くときは凍らせたペットボトルの緑茶、麦茶が有効である。緑茶は腐敗しにくくタンニンが活力をもたらすだろうし、カフェインを含まない麦茶は体力が落ちた場面での水分補給にやさしい。

夏の空を見上げてみよう。梅雨明け前には見られなかった雲が出現して時の経つのを忘れそう。

JR牟岐線のローカル列車はまもなく立江駅に止まります 
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頭を下に尾羽を上に伸ばした巨大な不死鳥のように見える。ほとんどが高積雲で構成されている
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左の雲は塔状に発達している
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地上にまで伸びる尾流雲となって雨を降らせている雲
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飛行機雲由来の巻雲が肋骨状に拡散している(肋骨巻雲)
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積雲の断片
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那賀川河口から見た紀伊水道上にて。発達した積乱雲が弱まって上部が濃密巻雲となって拡散
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日中の上昇気流でできた積雲が子どもの夢を載せて運ぶ乗り物のよう。巻雲と飛行機雲も同じ視野にある
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夏休み、海に向かう田んぼの小径の向こうには必ず入道雲がいるという青春の構図(阿南市才見町)
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澄んだ水の用水路と田んぼの畔と早稲。自然地形にこの水路の供給源(山)が見当たらないが、おそらくは桑野川から引水して富岡町を経由してここを流れているのでは? この水路は打樋川へと注ぐ
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田んぼのツユクサ 初夏から咲いていた
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東(紀伊水道方面)が開けた場所として那賀川河口左岸(北岸のこと)にやってきた
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発達している雄大積雲とその上部が濃密巻雲となっている。紀伊水道の和歌山寄りを流れる黒潮が上昇気流をもたらしているのだろうな
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雲は多様性がある。しかも変化していく。未だにJGBTや夫婦別姓を認めたくない偏った意見もあるけど、雲を見てみなよ。みんな違うぞ
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横須松原へ続くこの道の向こうにも積乱雲(雄大積雲)
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夏こそ雲を見よう。暑さゆえの物語が地上数百メーチョルから1万メートル越えの空の高さで繰り広げられている。それを見ていたら暑さを忘れてしまいますよ。え? よけいに暑くなるって? その可能性も多少あるようです。

タグ:阿南市

2024年07月18日

雲三態


風味絶佳な雲じゃなく、日常の一コマで心に残った雲。このところの梅雨前線と太平洋高気圧の狹間にあらわれた。

もやっとした雲と夕方の太陽。といっても夕暮れではない
スーパーに買い出しに来て車から降りたときに気付いた
(このスーパーには美しい黒髪の店員さんがいる。だからどうした?)
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雲は地上の電線を意識して並ぶ
(ヒトは雲を擬人化したり精神の象徴化が好きですから)
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午前5時の東の空 朝焼けにならず、もう明るい。
(モネの日傘を持った女性の背後にある空のような色彩。タッチは違うけど)
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雲三態では物足りないので、梅雨初期に見られた夕焼けを3枚(南から北へと続く空)
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2024年03月31日

夜に光る雲 東から西へ移動していった


2024年3月29日の夜更けのこと。
黄砂が飛来しているそのピークの夜、深夜の東の空に青白く光る雲を見た。
写真に写すと実物より明るく写ると思われるだろうが、実際に見た目どおりの明るさである。空を見ようとしなくても気付く異常な明るさであった。

23時5分25秒
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23時6分22秒
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23時7分9秒
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(時計はカメラ内蔵時計の記録ゆえ正確とは限らないが、相対的な時間差は正しい。縮小のみで画像補正なし。フジX-T5+XF23mmF1.4 R)

下から照らされている部分が光っているのだろうか?
けれど光っている部分は移動している。それも比較的短時間で。

そもそもどのぐらいの高度なのか、昼間なら雲の種類がわかり、それによって高度が推定できるが(層積雲のような低い雲と推察)。この雲は東から西へ移動しており、黄砂を運ぶ偏西風とは向きが違う。夜光雲と異なり高度は低いように思える。

黄砂によってなんらかの帯電を誘発したのか? ―雷鳴や稲妻はない。わからない。

2023年09月29日

中秋の名月2023年 月の輪(月暈)と木星 


仕事が一段落して外に出た。中秋の名月といわれる今宵の満月が気になっていたから。

すじ雲(巻雲)がかかって月の光輪が出ている。雲に隠れた月が現れるときの感動にも似た心の動きもあれば、観音様の光背のような今宵の名月もまた良し。快楽の神、木星が月の東に惑星の王者の落ち着きで光を置いている。
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日々現れる天文現象、空とか雲とか、星とか。そしてそれが地上に投影された気象や森、水、土、川と海を見ているとすくっと目線の位置(魂の高さ)が上がるような気がする。

さてと、地上から仰ぐ我らゆえ、月と木星にかけて、黄金のきらめきを宿す獺祭を味わいたいところ。

(フジX-T5+XF14mmF2.8 R、f5.6/3.1ss/ISO 800)

2023年09月25日

9月24日朝のおもしろい雲 ベランダで1日過せそうな気分


春は足下ばかりを見て歩いている(すみれ)。夏は波を見たり渓流や河畔林で読書をしながらうとうと。秋は空を見上げる。夏の雲も好きだけど秋の空もいい。

この日の朝に現れた雲だけ見ていても飽きない。それもたった数分の間。

まずは、このU字型の雲(8時5分)。おそらくは馬蹄渦という。背後に見えているのは高度10kmぐらいにある巻雲(すじ雲)だけど、写野にはないが、巻雲の下層に積雲(わた雲)があって、その一部が渦巻きの気流でちぎれて漂っている雲ではないかと思う。速い速度で移動してあっという間に見えなくなった。珍しいそうだが、たまたま見上げたら飛んでいた(レンズはすべてトリミングもレタッチもなし。XF60mmF2.4 R)。
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次は、房状巻積雲に隙間ができて空が見える(8時19分)。大魔神が通った海のようだね。飛行機が巻雲を突っ切ったことがきっかけとなったのではないかと。絵としては右半分に2羽のトンビが飛んでいること、左にやや灰色を帯びた積雲(わた雲)が浮かんでいるところがおもしろい(XF60mmF2.4)。
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広い視野で見るとこうなる。写野の右に太陽があるので除けている(XF14mmF2.8 )。
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火の鳥が2羽飛んでいるように見える巻積雲(8時20分)(XF35mmF1.4 )
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巻積雲(うろこ雲)(8時36分)。巻雲に次いで高い場所にある。この雲は波状雲となっている(XF60mmF2.4)。短時間にさまざまな雲が現れて飽きないね。
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その一部の太陽に近いところが彩雲となっている(8時40分)。黒いのは自分の手。こうやって太陽を隠して(疑似日食)撮影しないとレンズ接合面やセンサーが焼けてしまうからね(XF60mmF2.4 )。
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巻積雲の手前(下層)を脱兎のごとく走り去る灰色の雲(8時42分)。数分で消えてしまった(XF60mmF2.4)
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その一部が徐々に蒸散しつつある様子(8時38分)。穴が空いて人の顔のようにも見える。「なんだ、これは!」と岡本太郎が喜びそうだ(XF14mmF2.8 )
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波状巻積雲雲(8時40分)がちぎれて右へ行くほど大きくなっているけど、これは見かけ上の理由でほんとうはほぼ等間隔、同じ大きさなんだろうね(XF14mmF2.8)
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巻積雲の一部が下に向かって垂れている。これは乳房雲という解釈で良いでしょうか?(XF60mmF2.4)
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房状の巻積雲(9時24分)。秋の雲というわけではないけれど秋を感じる(XF60mmF2.4)
朝だから夏の名残のような積乱雲(入道雲)やら雄大雲は出ていない。
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雲というより水蒸気のムラといいたいようなはかなげな雲も好き
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すみれ(山野草)を見ているだけで数時間過せそう。
波を見ているだけで半日過せそう。
雲を見ているだけで一日過せそう。
人生は決して長くないのに困ったものだ。

追記
気象予報士の方、素人の雲観察ですので正しい解釈があればご教示を。
タグ:

2022年11月08日

速報 皆既月食 天王星食


仕事で県南部へ出張の帰り、すでに皆既月食は始まっていた。
家へ戻って夕食をかけこんで外に出ると皆既中となっていた。

標準レンズの画角では左下にすばる(プレアデス星団)
(フジX-T30+XF35mmF1.4 Rの一部をトリミング)
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雲とプレアデスと皆既中の月と飛行機
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望遠レンズでは左下に青い天王星が見える
(ニコンD7200+AF-S 70-200mm f/4G ED VRの一部をトリミング)
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タグ:皆既月食

2022年08月16日

ペルセウス座流星群 満月下で見えたけれど条件悪し


13日は深夜に部屋から寝そべって大流星を見た。
14日はさらに条件が悪化したが、月が雲に隠れがちとなる間に天頂付近で写真撮影を行ってみた。
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ベランダに蚊取り線香と三脚を立てて野外イスから空を眺めた。
肉眼では流星を認めたが、写野には写っていない。しかし星と流れる雲の静止画約100枚を擬似的につないでみた(動画ではなく連続した静止画)。



(フジX-T2+XF23mmF1.4 R。満月が邪魔をするので、微光星を拾いつつ空のコントラストを落とさないためにこれ以上の広角は使えない)
タグ:流星

2022年08月13日

ペルセウス座流星群 うお座に大流星 目撃者はいますか?


8月12日の深夜から13日の未明にかけてが2022年のペルセウス座流星群の極大となっている。翌日が土曜日ということで流星群を見ようとしたが、薄曇りと金曜日の仕事疲れで部屋から網戸越しに灯りを消して見ることにした。

窓からは東南の空が見える。窓の中央に木星の輝きがある。木星は射手座の守護星。しばしその瞬きに浸ろうと寝っ転がってほんの数分のできごと。

2022年8月12日、25時25分(8月13日、1時25分)、うお座を横切り木星の近くを薄雲をものともせずつんざくように大流星が流れた。北(天頂)から南(地平)へと流れたので輻射点から散在流星ではなく群流星は明らか。木星の光度から遙かに明るく、マイナス6等以上ではないかと見積もった。音はせず流星痕も認められなかったが、天の裂け目から鋭いマグマのような閃光だった。残念ながら写真は撮っていない。

薄雲と満月の光芒のせいか周囲に2等級以上の輝星は認められなかったため、星座早見で星座を確認したところ、うお座と判断。

四国東南部でほかに目撃された方はいますか?

日本天文学会編による星座早見。大流星が流れた時刻の星夜を再現
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いま欲しいのは渡辺教具製作所によるこの星座早見。主な星雲星団や恒星のスペクトル型まで記載されている。この早見盤が平面ではなく湾曲したものだったらさらに良かった。



お椀型はこちら。南天の歪みが少なくなる。天空を平面に展開するとどうしても南天で星座が横に広がってしまう。お椀型でも歪みは残るが平面よりは少ない。学校で見ていた懐かしさを覚える人もいらっしゃるのでは?






天球儀では空間の歪みは解消されるが、地上(特定の緯度経度)から眺めた星空が想像しにくい。プラネタリウムは半球に投影するのでとても優れた再現方法だときどき眺めてみたくなる。
徳島ではあすたむらんどと阿南市科学センターにあるね。

あすたむらんど徳島のプラネタリウム
https://asutamuland.jp/instits/planetarium/

阿南市科学センターのプラネタリウム
https://www.ananscience.jp/science/planetarium/planetarium.html


追記(小咄)
若い頃、友人知人を誘って(知らない人もたくさん来てくれた)流星群を見る集いをやっていた。ブルーシートに寝っ転がって、夜食も食べたりしながら寡黙に、ときには星そっちのけでおしゃべりをしながらも空を眺めたもの。

流星群なので流れるときは1時間に数十個はみられる。せいぜい1秒未満の刹那に誰もがねがいごとをかける。

ある流れ星の瞬間、若い女性の声で「カネオトコケンコウ」とのつぶやきが聞こえた。誰かが「いまつぶやいたのは誰?」と叫んだ。たいがいは小さな声か口のかたちの願いなのだろうけど、ふいに流れた明るい流星に思わず声(本音)が漏れたのだろうと推察。

富と異性運は理解できる。けれど女性も30歳前後になると健康が願い事に入ってくる(少しずつ調子の悪いところが出てくるんだろうね、肩こりとか腰痛とか)3番目だけれど。庶民のささやかな、いや、実利を追求した現実的なねがいごとに「そうなのか」と頷いた。

でもそんなのどかな時代からすると、いまは自分のことよりももっと大きな枠組みやら社会のあり方を変えていく必要がある。その一方で一人ひとりの生活を尊重する公助の充実が前提。

国は要らないこと(布マスクの配布や補助金やら国葬やら)はするけれど、切羽詰まった人は救わない。貧しい家に生まれた子どもは一生かけてもスタート地点の遅れは挽回できない。少なくとも教育だけは同じ機会を提供するのが国家の役割。そのことが国の経済力を高めたり社会的費用を低減したりすることにつながるのに。つまらんものにカネを使って必要なものに使わない政府を選挙以外にも見つめて声を挙げていかないと。
タグ:流星

2022年08月01日

一目見し人の…


高気圧の頂点で気温が高かった日中の夕暮れは残照が消えゆくさまが糸を引くような夕暮れとなる。
ほのかにも空に置いた絵の具は決して消えぬ。
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今宵は三日月、一目見し人の眉引思ほゆるかも、と家持の心地する。
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糸を引いた飛行機。平穏というよりは倦怠と喧噪を織り交ぜた明日を予感させるよう。
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2022年07月25日

夏の大三角 ATLAS OF THE HEAVENSの思い出


はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルを結ぶ天空の三角形を夏の大三角という。中国と日本では天の川を挟んで、織女(織り姫)と牽牛(彦星)が逢瀬を待ちわびる七夕伝説になっている。

星座では見かけの明るさの順番にアルファ、ベータ、ガンマ…と呼ぶ。夏の大三角の星々はそれぞれの星座のアルファ星である。1等星のデネブ(α Cyg)は変光星で1.21から1.29等の明るさを繰り返す。ベガ(α Lyr)は0等星(0.03等)ともっとも明るい。アルタイル(α Aql)は1等星(0.76等)。
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この写真では、上から時計回りに、デネブ、ベガ、アルタイルである。大三角の間を流れるのが天の川。これは銀河系の円盤を横から眺めている感覚に近い。左下で銀河が濃く(明るく)なっている。星座本体は沈んでしまったが、射手座方向である。

デネブの近傍(左斜め上)にアメリカ大陸のような赤い星雲が見える。通称北アメリカ星雲(NGC7000)という。夏の大三角を余裕で収めるこのレンズの画角は90度で肉眼では眼球を動かして見ることになる。

ベガは地球の歳差運動(24,000年周期の自転のブレ)により12,000年後には北極星の役割を果たすという。人類がそのときまで生存していたら北極星は随分見つけやすくなる。それには温暖化対策をやり遂げなければならない。隕石が衝突しない幸運も祈るばかりである。

巷は猛暑だが、夏の大三角が天頂を過ぎていくともう秋だなと感じてしまう。
散在流星を見かけたが、写真には写っていなかった。あと半月でペルセウス座流星群である。
(フジX-T2+XF14mmF2.8 R、絞りf3.5、露出25秒、三脚固定、ISO4000、撮影地:徳島市南部)

追記
星夜を眺めたり天体観望を行うのに欠かせないのが星図。
ぼくも誠文堂新光社の全天恒星図、ノートン星図などを使っていたが、
どうしてもチェコの天文台が発刊したスカルナテ・プレソ星図(ベクバル星図ともいう)が見たくて
梅田の丸善まで買いに行ったことがある。当時の価格でも1万円程度したのではと思う。
この星図は銀河が色分けされ、主要な星雲星団と7.75等(だったかな?)までの約4万個の恒星が掲載されていて眺めるだけでも至福のときを過ごせそう・

そのタイトルも、ATLAS OF THE HEAVENS(天空の星々の地図)
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プリントされた文字の静かなたたずまい。
1950.0年分点。地球の歳差運動で天の赤道と黄道の交点は動いていく。星図では1950年分点と2000年分点がある。
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はくちょう座付近
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オリオン座と冬の銀河。オリオンを囲むバーナードループが記されている。Hα線(656.3nmの波長)に感光する103αEやフジクロームR100などでのリバーサルでも映すことができた。理想の画角は85ミリレンズ。このため、ペンタックスSPFではSMCタクマ85mmF1.8,ミノルタX700ではMD85mmF2を風景でもよく使っていた。恒星のスペクトル型や光の波長、ケフェイド型変光星、レーリーリミット、ダークマターとハッブル定数、球面収差、コマ収差などザイデルの5収差、アポクロマートなどの色消し理論などは中学時代の日常の言葉。高校の地学の教科書すらあまりに易しすぎて(勉強せずに100点を取っていた記憶)。
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いて座付近の南の銀河面。濃い銀河に無数の星雲星団が浮かぶ星の海。タカハシ10センチ反射赤道儀にオルソ40mmのアイピースで×25の視野で流すと時間の経つのを忘れた。7×50のニコン双眼鏡もよかった。
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カシオペア座周辺。右斜め上にペルセウス座の二重星団(NGC 869、NGC 884)がある。このような番号も主要な天体では覚えていた
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スカルナテプレソ星図が廃刊になったのはなぜだろう。1990年以降に東欧諸国がたどった苦難の道筋と関係あるのかもしれない。いまは星図もアプリベースで自動導入が内蔵された赤道儀などアマチュアの天体観望にまで自動化が進んでいるが、ファインダーと星図を頼りに淡い小宇宙を導入し、視野を動かしてかすかな光班を瞳孔が捉えた感激は忘れない。


タグ:流星

2021年11月20日

木枯らし途絶えてさゆる空に部分月食の星夜


冬の星座、覚えていますか?
おうし座、オリオン座、おおいぬ座…、
冬の銀河と冬の大三角、
南極老人星カノープス(りゅうこつ座α星)。

カノープスは全天で2番目に明るい恒星だが
真冬の20時頃に南中するも高度が低くすぐに沈んでしまう。
ゆえにこの星が見えたら長生きできるという。
(カノープスを見つけた子どものぼくは家族全員を外へ連れだして見せた)

四国東南部では老人星を見つけるのはむずかしくない。
(緯度が小さくなるほど、つまり北半球では南へ下るほどカノープスの高度が上がるのだ)
南中する時刻と高度を知っていて、雲が懸からなければ毎晩のように見ることができる。

高知県からは南十字星のもっとも北に位置する星さえ見えるというが、星座のかたちなくして同定するのは困難である。

冬の星座、文部省唱歌。
ものみないこえるしじまのなかに きらめき揺れつつ星座はめぐる。


へイスの楽曲に堀内敬三の名訳詞がついたもの。
日本語としての美しさが冬の星々のように結晶化して
文部省唱歌のなかでももっとも詩的な楽曲のひとつ。

そんな情景を撮れないかと、とくしま植物園に来たらこんな風景。
今宵の天文現象の舞台となる星夜が想像されてしびれてしまったのだ。
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11月19日の部分日食で皆既に近づいた時間帯に撮影した樹間の星夜
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私立中学に通っていた頃のこと。
大松川沿いの真っ暗の道をたどる帰路に「冬の星座」を口ずさみながら木枯らしを温めるように自転車を漕いでいた。
学校には五藤光学の口径20センチ2枚玉アクロマートレンズのドイツ式赤道儀を備えた天文台があった。
遅いときの帰宅は20時を過ぎていたと記憶している。
疾走する風を受けて鼻水が止まらなかったが、身体の奥は温もりを感じていた。
家に戻れば夕ご飯と風呂に入れると思うことがペダルを漕ぐ力。
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ほとんど皆既(ほぼほぼ皆既とはいわないで)となったこの日の月を撮影してみた。
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(地平線付近の光跡はしし座流星群ではなく飛行機)

宵が進むうちにすばるを従えて少しずつ高度を上げてきた。
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オリオン舞い立ちすばるはさざめく


清少納言も「星はすばる ひこぼし ゆふづつ…」と讃えた(すばる、彦星=わし座のアルタイル、宵の明星が趣がある)。
だからぼくはすばりすと(スバリスト)である。
(主義を意味する-istは使いたくない言葉だが、唯一の例外として自分に用いている)

部分食が極大に達すると背後の星々が光輝を強め、
すばることM45、プレアデス星団が月の左に並んだ。
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追記
昨日から五輪真弓が心のなかで奏でる。
アルバム「恋人よ」。
でもぼくはあのヒットシングルではなく、それ以外のアルバム収録曲が好きだ。
日本を代表する歌い手だよね。




2021年10月02日

もうオリオンが東の空に

仕事を終えて外で出てみたら東の空にオリオンと下弦の月。
空高く―。
そんな季節になったな。
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2021年09月04日

昨夕の空(全天)を見ましたか?


道路がやけに朱い。
見上げるとセピアがかった朱色(桃色)と地平近くの透明度の高い青。
(ほとんど見たままに写っている)

こちらは東の空
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北の空
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西の空
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2021年09月03日

去りゆく夏の銀河


銀河系の中心は射手座の方向にある。
銀河(天の川)の濃いのは無数の星雲星団と恒星が見かけ上(銀河系の円盤の端から中心を見るため)も物理上も集まっているからである。
南の銀河面には、無数の散開星団、散光星雲、暗黒星雲、球状星団が点在して濃い銀河に浸る。
ここでもM8やM20が見えている。
これらは7倍50oの双眼鏡で眺めるとときの経つのを忘れるほど。
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春の深夜に銀河を先導するように昇るアンタレスを見るときめき、
夏祭りの宵に南中する天の川は熱気を帯びてときに甘酸っぱい青春の投影。
でも、鈴虫の声を聴くと夏の銀河は秋の大気に溶暗していく。

まちの灯火に近く空の透明度も靄がかりだが、器材の進歩なのかこれだけ写った。
三脚に固定しただけのお手軽撮影。
(X-T2+XF23mmF1.4 R、f2.8、14秒 ISO6400)
タグ:星夜

2021年06月19日

梅雨空の明日は晴れると好転する気圧配置がもたらす夕暮れ法


直訳すれば、梅雨空で朝から雨が降っていたけれどだんだん雨が止んで気圧が高くなって天候が回復傾向にある途上で一日の最後に現れた夕焼け空は明日の晴天を約束するとともに人々の心に晴れやかな記憶を刻むことができるという証しの色でもあるという意味のようです。
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