まるで梅雨明けの空。太平洋高気圧が居座って腰を下ろした状態。日本列島の北西からはチベット高原の上昇気流を受けたチベット高気圧が日本付近まで張り出し、2つの高気圧のそろい踏みとなる。しかもチベット高気圧は対流圏上層にまで勢力を拡げ、太平洋高気圧は地球規模の大気の循環に由来してこれまた10kmを越える高さにまで広がる。その結果、二階建て高気圧と呼ばれる状態となる。
2024年8月の台風10号の迷走は、2つの高気圧の分布で進路を阻まれたことと、上空の偏西風が通年よりも北に変移したため、台風が偏西風に乗れなかったことが影響したとされる。
それでも24時間暑さを感じたあの頃に比べると、夜の涼しさが違う。太陽の高度が高く夜が短かった夏至に比べれば、9月12日では太陽の南中高度が約20度下がっている。太陽高度が斜めに入射すること、日照時間が短くなったことで日本列島に届く太陽エネルギーは減少する。
地表面が受ける放射強度=太陽定数×sin(太陽の高度角)
太陽定数=1366 W/m2
徳島市で計算すると、
●夏至の日(6月21日)の太陽の南中高度は約79.4度
○9月12日の太陽の南中高度は約57.4度
地表が受ける太陽放射の強さを求めると、
●夏至の日:1366×sin(79.4°)=1341W/m2
○9月12日:1366×sin(57.4°)=1149W/m2
夏至の日と比べて9月12日では、地表が受ける太陽放射の強度は14.4%減少することになる。これに日照時間の減少を加味すると、さらに減少していることになる。
徳島市の日照時間
●夏至の頃:14時間30分
○9月12日:12時間20分
地表が受ける総エネルギーは、日照時間と太陽放射強度の積で求められるので
●夏至の頃:1341 W/m2×14.5 時間×3600 秒/時間=70,000,200 J/m2
○9月12日:1149 W/m2×12.33 時間×3600 秒/時間=51,001,812 J/m2
雲量が同じとすれば、地表が受ける総エネルギー量は約27%少なくなっている。
ここでひとつ疑問が浮かぶ。
夏至の頃は地表が受ける太陽の総エネルギーがもっとも高いのに、気温はそうではないのはなぜか?
それは、地表が温まり、蓄熱が大気に伝わるのに時間がかかるから。それと夏至の頃は梅雨で日照時間が短いため。
よく観察すると、雲がないところの空の色も少し違うかも。梅雨明けの空は、突き抜ける太陽光の紫外線成分を感じるシアンがかった色合いだけど、それに比べるとシアンが抜けて(もしかしたら)マゼンタ成分を感じるというか。
仕事で移動中に撮影した風景を以下に。雄大積雲、塔状雲、かなとこ雲の見本のような空










追記
フジフイルムのミラーレスカメラは、独自のカラーフィルターを採用し色彩の鮮やかさと見た目の忠実性(記憶色)を両立させている。さらに通常のデジカメが水素ガスの発する赤の領域(Hα線656.3nm)を通しにくい設計と比べて、フジは比較的通過させる設計となっている。これが天体写真の赤い星雲に有利とされているが、本来なら可視光の色彩に影響を与える可能性もあるのだが、カラーフィルム時代からの色再現のノウハウを活かして微妙な色彩を見せてくれている。ニコン、キヤノン、SONYなどと比べてカメラとしては欠点が多いが、温帯モンスーンの日本に住んで水と緑、空や川を撮影することが多いぼくにとっては最適のカメラとなっている。
posted by 平井 吉信 at 22:50|
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