2018年01月08日

howatto(伊豆田裕美さん)の焼き菓子の話題を続けて

前頁からの続き
翌日、「ココナツのサブレ」と「ビスコッティ」(チーズ)をいただいた。
今回はおろしたてのさかもとこーひーの豆で挽いた深煎りのコーヒーで。

食べ物を評価するとき、素材の風味を活かしたと表現されるけれど
素材を活かすとはどういうことだろう。
小麦粉をそのまま焼いておいしいかどうかはわからない。
ところが、素材を混ぜてそこに温度の変化を加え
水分が抜けて香ばしさがつくと(すなわち焼くということ)
元の素材のエッセンスが顔を出してくる。

ということは、
素材を選ぶこと、
そのブレンドを代えること、
熟成の度合いをはかること、
熱を加えることで無限の変化が現れる。

素材の味を活かすとは
砂糖を控えるとか、プレーンに近づけるといったことではなく、
数限りなく試行してつくりこんでいくもの。
強いていえば、素材風味をそのまま使うことではなく
雑味さえもブレンドの妙(旨味)に昇華しつつ
元の素材の個性を再構築すること。

例えば、酸味のない甘いだけのトマトはおいしくない。
酸味と甘みと旨味が高度にそそりたっていないと。
おいしいトマトはまず甘みが舌を滑り出し
口いっぱいに立ちこめて酸味が咽を通り抜け
旨味の後味が余韻を残すが、それもいつのまにか消えていく―。
(ぼくがいつも買っているK農園のトマトはそう)

ブレンドによる引き算がうまく働き、
ブレンドによる足し算でピークを動かしながらも
個性と調和が見えたとき、おいしさにつながるのではないか。
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一口運んだとき、ふいにこみ上げるものがあった。
自分が納得いくまでやってみたかったのです―。
作り手の言葉にならないメッセージが届けられた気がした。
posted by 平井 吉信 at 15:58| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2018年01月07日

プレーンなシフォンケーキが描く世界観 「howatto」(ほわっと)の焼き菓子


前頁から続く
ナガヤの母屋には、吉田絵美さんが運営するカフェと雑貨店がある。
この空間の心地よさは場の力というかおだやかな吉田さんの醸し出すもの。
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そのせいか、次々とやって来られるお客さん(女性が多い)が
やわらかい雰囲気をまとった方が多いように思う。

吉田さんのカフェで
毎月第1土曜日に手作りの焼き菓子を出品される女性がいらっしゃるとのこと。
きょうはその定期販売の第1回目。
作り手の伊豆田裕美さんにお話を伺ってみた。
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― ブランド名のhowatto(ほわっと)とはどんな由来ですか?
食べると心がほわっとするような焼き菓子を提供したいと思って付けました、とのこと。

いただいた名刺に書かれていた言葉は、
「おいしい」を大切に、丁寧に。

傍らで素敵なお母様もサポートされていた。
気取らないけれど気品のある方でお話をするのが愉しい。

この日、出品されていたのは以下のWebを参照いただくとして
https://www.howatto.jp/
https://www.facebook.com/howatto/

実は伊豆田さんのシフォンケーキは
おいしい(それもかなり)との評判をさまざまな人から聞いていた。
https://setouchifinder.com/ja/detail/21070
そこでシフォンケーキと焼き菓子をいくつか買って自宅で食べてみた。

まずは、定番のシフォンケーキから。

(ぼくが20代の女性だったら)
とにかく、めっちゃおいしいんです。
もう最初の一口でノックアウト。
とても上品な味でした。などと書くか書かないかは別にして
このシフォンケーキ、別世界に連れて行かれる感じ。
(紅茶は、トワイニングのクオリティ・ビンテージ・ダージリンを3分の香り重視の浅めの抽出で)
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しっとりとした歯ごたえ、
そして口溶けのあと、天国的な余韻を残して消えていく。
甘みは控えめだが、えも言われぬ幸福感。
プレーンなシフォンケーキがここまで人の心を動かせるのかと。
(おおげさと思う人はぜひ自分の舌で確かめて欲しい)。

それはつくっている伊豆田さんが揺るぎない思いで
(関西の菓子メーカーにも勤務されていたらしい)
科学的な根拠と、こうすればおいしくなるという信念でつくられているからだろう。
「おいしい」を大切に、丁寧に、というのは、彼女の世界観と気付いた。

ブログでは伊豆田さんの世界観が身近に感じられる。
https://howatto.wordpress.com/

翌日、冷蔵庫に入れていた「マロンとエスプレッソのシフォン」も。
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(直前に電子レンジ200Wの30秒〜60秒で冷たさも熱も感じない微温に戻している)

コーヒーは千葉県から取り寄せている浅煎り豆をハリオV60ドリッパーで薄めに手煎れ。
こちらは栗とコーヒーが積極的にお迎えに来るというわかりやすさ。
休みの日の朝にコクのある贅沢感が漂う。
(基本のトーンはプレーンと同じだが、舌の肥えている人はプレーンの突き抜けた世界観により驚くだろう)。

地元の素材をていねいに仕上げることから生まれる焼き菓子。
でも、量産することはできない。
ほんとうにおいしさを求めて、ていねいにつくる人にはわかる切なさ。

続く

追記
howattoさんの次回の焼き菓子の販売は、以下の場所です。
→ 直近予定はブログで確認ください。https://howatto.jp/shop/

■9/1㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■8/4㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■7/14㈯ monde jacomo
徳島市東船場町1丁目18番地
11:00〜19:30

■7/7㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■6/28㈭ 天然酵母サンドのお店futaba 
【futaba メロンパン祭り】
徳島市安宅1丁目7-40
9:00〜17:30
焼き菓子の販売

■6/17㈰ なのはなメルカート
徳島市上八万町西山1430-2(なのはな徳島)
9:00〜12:00
焼き菓子の販売

■6/6㈬ frelu 
徳島市南庄町2丁目51
12:00〜18:00
焼き菓子の販売(委託販売)

■6/2㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■5/20㈰ なのはなメルカート
徳島市上八万町西山1430-2(なのはな徳島)
9:00〜12:00
焼き菓子の販売

■5/5㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■4/30㈯ ナガヤ縁日 コーヒーサミット
ナガヤプロジェクト
徳島市沖浜町大木247
11:00〜16:00
可否庵、蛮珈琲、あめつち珈琲、KAMIYAMA COFFEE、いかりや珈琲 &各店舗のコーヒーにぴったりなパン・スイーツ オーバッシュクラスト、寧日、モリグチャウダー、honjima bakery…さん達と一緒に出店します。
​焼き菓子の販売

■4/7㈯ nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■4/1㈰ なのはな祭り
徳島市上八万町西山1275(なのはな徳島)
9:00〜13:00
焼き菓子の販売

■3/3(土)nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247
(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■2/3(土)nagaya. (毎月第一土曜日)
徳島市沖浜町大木247(ナガヤプロジェクト内)
12:00〜18:00
焼き菓子の販売と、喫茶スペースではケーキプレートも。

■1/14(日)ねこねこフェスティバル2018 in ボートレース鳴門 会場
鳴門市撫養町大桑島字濘岩浜48-1
9:45〜16:30

posted by 平井 吉信 at 13:37| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年12月31日

年越しのどん兵衛


別に新聞の全紙広告を見たからと行って
どん兵衛鴨だしを買いに走ったわけではない。
たまたま家にあったから。
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動画のCMはうまいよね。
http://www.donbei.jp/cm/
(えっ、吉岡里帆が可愛いって。そんなことはわかっていますから)

ここにあるのは、どん兵衛をどんな場面で食べて欲しいかということ。
一人の切ない感情をツボを押しながらも包み込み、
(社会の底流を流れる感情をうまく捉えているね)
季節のイベント(非日常)を滑り込ませて
クリスマスだから…、正月だから…いいかと。

日常のひとこまを幸福の場面として見せて
そこに感情移入できるキャラクターを配している。
旬のタレントということもあるけれど
そばにいて欲しいふしぎなVR彼女=どんぎつね(キャラ)=どん兵衛の化身のイメージで
自分で気付いていない「あったらいいな」を掘り起こしている。
(ヴァーチャルではないリアルなぬくもりの象徴としてのどん兵衛)
場面(感情)からものへの転換の方程式に乗せられて
買いに行く人いるだろうね。
ものが売れていくってこういうことだよね、いまは。
(このCMなら騙されててもいい=買いに行ってもいいと思える)

大塚のボンカレーも同じ手法だけど。
https://www.youtube.com/watch?v=qTQCM0OFvO0
(マスメディア広告がソーシャルの感情を取り入れたという震災後のマーケティングの共通項かも)

ぼくは餅を入れて食べた。
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鴨だしの甘みとネギの香ばしさを噛みしめつつ、
まぶたが湯気で曇り、身体はぬくもった。
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(あっ、いまどん兵衛を買いに行こうと車のカギを持った人、いませんか?)
タグ:そば 2017
posted by 平井 吉信 at 23:53| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

年の瀬の香川県小旅行その1 仏生山のうどん店(龍雲)


例年なら除夜の鐘を聞きながら仕事をしているのだけれど
昨日で仕事を納めた。
墓参りの後、神棚と仏壇と荒神棚の清掃も終わった。
(このブログでご存知のように元日は祝詞と読経から始める)

年賀状は書かない(書けない)。
時間的にもそうだけれど
多くの方々と顔を合わす関係で
誰に出す、出さないの区別が不可能になっている。
正月だけ思い出したように年賀状を交わすのは
形式なぞればすべて良しという人間関係の免罪符のようにも見えてしまう。
(お出ししている人を批判しているのではない。人間関係が不器用なのだ)

そこで、それらの人々も含めて
すべての人々、生命(生態系)にとって良きことを
祈るように新年を迎えるようにしている。
(年賀状というかたちはなくても、伝わらなくてもそれでいいと思っている)

大晦日になって外出することにしたのは
数年前からお世話になっている国の機関に属する親しい人が
仏生山の寺のうどんを食べて感想を聞かせて欲しいと言われていたから。
(単に仕事関係を越えて心が通うものを感じるので)

そこで鳴門経由で長尾街道から仏生山へ入り、空港方面へと抜ける。
塩江温泉を通って穴吹から戻るという道筋。
昼近くになって出かけた。

東讃に入って、マルタツの極上のかけうどんを思い浮かべたが
大晦日は休み。
国道11号から長尾街道へと入り、
迷路のような細い路をたどって仏生山公園の対岸にある法然寺へと着いた。

寺の駐車場へ導かれると敷地内にうどん店(龍雲)がある。
13時半をまわっていたが、のれんがかかっていた。
ありがたいと思う。
ここは法然寺ゆかりの社会福祉法人が運営されているようだ。
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外で順番を待つために名前を書く。
テントのまわりにはストーブが用意されている。
(こういうところから違うのだ)
すぐに名前を呼ばれて店内へと入った。
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知人もすすめていた坦坦つけうどんを注文。
大を注文してみると量の多さに驚き。
エビの天ぷらも注文したので
食べきるためにひたすら口に運ぶ(満腹中枢が動き出すまえに)。
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最初はそのままつけて食べて
途中から温泉卵を割り入れ
最後はご飯を入れて雑炊ふうに。
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風味はごまだれの甘辛。
甘さを抑えてもいいかなと思うが、
それよりも感心したのは、お店のスタッフの対応。
靴を揃える、席を回って声をかけるなど
40の客席に気を配っておられた。

お客様は決して神様ではなくあくまで店と客は対等。
むしろ立場の違いを超えて
互いに思いやりを持って接することが大切。
(いただく側と提供する側の共通点は感謝を送りあえること)
客は、店に迷惑な行為は慎むのが自然だし
店は客に価値観を押しつけない。
(店の志と同じ水準の客層が集まる傾向がある)

ここは社会福祉法人が運営されている。
四国では、高知市の土佐茶カフェと双璧。
身障者のスタッフが働いている、という色眼鏡は必要ない。
提供品質そのものがすばらしい。
(世界観を押しつけるマニアックなさぬきうどん店に興味がないので)

お店の繁盛をお祈りします。
posted by 平井 吉信 at 20:01| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年12月10日

冬に摘む南国のお茶の世界がほのぼのと。宍喰の寒茶物語


茶は毎日飲むもの。
玉露や薄茶はたまに取って置いて
番茶(徳島では乳酸発酵させたもので全国的な番茶とは違う)や緑茶が日々の茶である。

ところが正月を迎える頃、茶摘みをする地区がある。
徳島県最南端の宍喰町では、
冬の寒さに負けじと厚い葉をわざわざ製茶して
寒茶と名付けている。

寒茶は野良仕事や食卓で飲まれるもので
ぐらぐらと熱湯で湧かして抽出しても苦みやえぐみが出ない。
それどころか、ほのかな甘みや酸味を感じつつ、ごくごく飲む。

ところが昨今では、茶を煎れて飲む人が少なくなってきた。
さらに、煮て飲むとなるとおっくうになる人もいる。
(そのまま熱湯に入れてもおいしいのだが煮出さないと旨味が出にくい)

そこで、湯呑みに湯を注ぐだけですぐに飲めるようにしてみた。
開発されたのは、宍喰にIターンで来られた方。

湯を注ぐだけで誰でも寒茶のもっとも好ましい風味が瞬時に味わえる。
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それどころか通常の寒茶の抽出法では
このまったりとしたスープのような旨味を出すことは難しい。
一見して普通のティーバッグでありながら
寒茶の本質を引き出したところが秀逸。
(通常の寒茶の茶葉からはこの風味は出せないよ)

具体的には茶葉を目に見えないほどの微細な孔を施すことで
旨味を存分に引き出すことに成功した。
しかも煮出すことがないため、風味が濁らず舌触りがなめらか。
(こくがあるのにすっきりしているのはホンモノの食品の共通点)
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もちろん、カフェインやタンニンがほとんど含まれないので
寝る前に飲んだり体調の思わしくない人にも安心して奨められる。
日本で唯一無二のこのお茶「寒茶物語」は
道の駅宍喰温泉の直売所「すぎのこ市」で手に入る。
このブログでも紹介しているように
徳島県南部には見どころがありすぎるので(だから目的地にたどり着けなくて困る)
ドライブがてら出かけてみては?

すぎのこ市場
徳島県海部郡海陽町久保字板取219-6
道の駅「宍喰温泉」内  080-6388-1831
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→ 四国の秘境、寒茶の里の女たち(日経BP記事)

→ かけがえのないこと 宍喰の寒茶のある暮らし そして甘みと旨味が溶け込んだ「寒茶物語」

追記
ほんものとは、決して自ら語らないし誇示しないけれど
それを見つけて共感するだけでも
生きていく力や優しさになるのでは?

posted by 平井 吉信 at 12:15| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年12月09日

東讃のさぬきうどん店 夢見心地のかけうどん 


東讃のある場所で打ち合わせがあった昼、
数年前に開店したうどん店に入ってみた。

外でメニューを見ていると
「なかでもご覧になれますよ」と。
てきぱきとした応対と笑顔の気配り。
それでもファストフード店と違うのは
若い店主と従業員が愉しそうに雑談をしているところ。
そこにいるぼくも愉快な気分。
仕事が楽しいから笑顔が自然に出る。

さぬきうどんの店に雰囲気は誰も期待していない。
ぼくはセルフ店は好きではないが、ここはセルフではない。
そして飾らないのに居心地がいい。
(うるさい活気の店、静まりかえった店、決まりごとを求める店も居心地は悪いでしょう)

そしてうどんが運ばれてきた。
注文したのは、かけうどんと天ぷらの盛り合わせ。
(両方で600円台だったと思う)
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うどんをいただいて何も書くことができない。
これがうどんの出汁かと思うほど、上品な風味。
あくまで澄んでいるが滋味深い。
目を閉じれば夢幻を漂う心地すらする。
(さぬきうどん店はが後味が悪い店が少なくない)
うどん店で心が満たされた唯一の場所。
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引田と白鳥の中間地点にあるこの店の世界観を味わうために、
来る価値があると感じた。
もうこれ以上のうどんには巡り会わないと思えるし
これ以上も求めたくない。
末長くご繁昌を、と願わずにはいられない。


追記
飲食店の店数評価のサイトはあてにならない。
載りたくないのに載ってしまったと嘆く店主が少なくない。
店の許可がなければ掲載しないなどのルールが必要と感じる。
デビューしたすぐの店は世界観を試行しながらつくっている。
それをつぶしかねないのが例のサイトなのだ。
(点数と実力がまったく比例しないことだけが弊害ではない)。
だから投稿しないこと、評価をあてにしないこと。
そうすることで、良質の飲食店を守ることができる。

飲食店を長年続けることは大変なこと。
毎日の決まり決まったことを
経験で判断して仕上がりを調えていく。

いいお店は良質の客を必要としている。
それでいて客を選んでいない。
うんちくを語らない、客に指導などしない、写真禁止など張り出さない。
いつも変わることなく
湯気の向こうで笑顔を浮かべてこちらを見ている。

posted by 平井 吉信 at 21:00| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年10月24日

停電の立川SA そのとき灯りが戻ってきた


高知へ行く途中にある立川SAはよく立ち寄っている(常連?)。
そば粉100%の立川そばが目的だ。
打ち手の都合で一時中断していたときがあったが再開。

台風が過ぎたものの、JRは牟岐線も土讃線も徳島線も止まって身動きが取れない。
高速バスも発車はするが途中で一部区間は高速を降りるという。
(四国の公共交通機関維持のためになるべく使うようにしているのだが)
時間は決まっていて動かせない。
確実な方法は自分が運転すること。
風は強いが昼に近づくと収まってきた。

吸い込まれるように入り込んだ立川SAだったが…。
食堂の灯が消えている。
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厨房に人がいたので覗き込んでみると、
停電で困っています、とのこと。

そうなが。まあでも、やりゆう。
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店長を中心にお困りの様子。

でも、みなさんいい表情。
ポーズをお願いしたわけではありません。
切り撮ったのはカメラの使い手ですから。

幸いプロパンガスは使えるので
立川そばはできるということでお願いした。

外を見ると、見たこともないほど
団体旅行のバスがつらなって入ってきた。
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そばができたとのことで取りに行く(セルフサービス)。

太い麺を噛む。
出汁がぎりぎりのところで絡んでいる。
手打ちのノウハウで麺の表面に隙間があるのかもしれない。
大衆食堂ふうに七味をかけてすする。
(いいです、これでいいです)。
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ごちそうさま、店を出ようとしたとき、ぱっと点灯。
立川SA、停電から復帰しました!
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おばさんたちの顔に心からの笑顔が戻る。
それを見てぼくは、
きょう一日もよく売れますように!と声をかけて店をあとに。
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タグ:そば 2017
posted by 平井 吉信 at 22:38| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年10月22日

台風に備えたら県西部の脇町まで出かけてみる


台風が近づいているというので
仕事の合間を縫って準備を行った。
・飲料水の確保
・食糧の点検
・必要な機器のバッテリーへの充電
・ガソリンの補給
このようにして台風の準備を行っていると
それもかけがえのない時間に思えてくる。

準備が調ったので
雨が降っているが外に出てみよう。
雨脚が強まることを考えれば山間部や県南へは行きにくい。
そこで脇町あたりがいいだろうと県西部へと出かけた。

先日は直心庵でそばを食べたし昼を食べたあとなので
今回は楽庵へは行かないけれど
おいしいそばを提供することを求めつつ、
それだけにとどまならい心地よい空間をご夫婦が提供されている。
(距離が離れているので常連客ではないが自分の家に行くような感覚)

写真は少し前に行ったとき
さらそば
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生粉打ちそば
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脇町といえば、うだつのまちなみ、みまから、あんみつ館、オデオン座など
観光の見どころはあるけれど
菓子といえば、川田光栄堂ははずせない。

ていねいな菓子づくりはもちろん、新たな挑戦の気風も感じられる。
定番の「麦団子」はあん入りとあんなしがある。
万人向きはあん入りでこれは抹茶やすっきりとした緑茶でいただきたくなる。
あんなしは、菓子の地の魅力をそのまま打ち出した素朴かつ大胆なもので
これを出す店主の心意気が感じられる。

「脇美人」は、赤飯をはさみ、栗を載せている独創的なもの。
今回は、「麦恋し」も求めてみた。
見た目は地味で
流行の正方形の画面では映えないかもしれないが
(Instagramを見たいとは思わない。薄っぺらで)
その世界観は突き抜けていると思う。
素材を磨いて突きだしたかのようだが
そこに滋味あふれる和菓子の言葉が込められているよう。
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.。'.*.'☆、。・*:'★    .。.・'☆、。・*:'★
  .。'*・☆、。・*:'★     .。・*:'☆
 ☆、。 ・*'★ .。 ・':....*.:'☆        .。・:'*・':'・★


雨は降っている。
吉野川北岸をさらに戻っていく。
阿波町に入ってカフェを見つけたので立ち寄ってみた。

お店の入口には山で見かける木が窓の一部だけを隠す。
(というよりは窓からの景色にやさしさをめぐらす)
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店内には厳選された本が置いてある
(お客様がいらしたので撮影はしていない)
窓際に席を取って雨の舗道を眺める

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料理を待つ間に興味のある本を読む
「睡眠負債」について書かれたもの。

新作メニュー、マルゲリータのピザが運ばれてきた
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用の器、素焼きの印象の大谷焼にしては珍しい
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オリジナルブレンドコーヒーに、店主が読み集めた小説や絵本、
お母さんが家族のためにつくる手作りの「ハハゴハン」をご提供することで
「何度でも通いたくなる大人がくつろげるお店」になれればと店主の米倉恵さん。
2016年9月28日にオープンされたとのこと。
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ご自分の店を持つことは、自分の小宇宙をつくることであり
自分が生きる場所(活きる場、ステージ)で輝くこと。

コーヒー×本×ハハゴハン めぐる
阿波市阿波町大道北50-1
(徳島市内からだと、県道12号鳴門池田線沿いでアワーズ、ドルチェ、さらにコメリを過ぎて左手すぐ)
080-9838-2942
日曜定休 
9時〜17時30分(朝ごはん9時〜11時、ランチ11時30分〜13時30分)


雨のドライブも悪くない。
いや、最初から確信していた。
雨の日だからいい。
雨音はショパンには聞こえないけれど
雨の音はしっとりと歌い出すミディアムテンポの音楽のように
平穏なリズムで木訥に刻みながら
次に来る雨上がりを待っている。
雨はいつか上がるのだから―。


posted by 平井 吉信 at 13:49| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年09月30日

トマトラーメンが食べたくて…。


この店舗は店によって味が違う(質が違う)。
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以前は東予(具体的な地名は書かない)にて
出来損ないのようなものが続けざまに出てきた。
それ以来、東予ではこの店に行かなくなった。

徳島ではこの店が一番最初だったと思う。
期間限定で出ていると聞いたので。

以前にこの店で食べたのはこれ。
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三度のご飯よりもトマトが好きなので
カレーやみそ汁、鍋、そうめんつゆにはいつも入れている。
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鶏肉やパスタなどの定番料理もトマトをベースにつくる。
見映えはしないが、風味は佳し。
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トマトを使えば失敗なく誰でもおいしくできる。
魔法の食材といえばトマトでしょ。

この日食べたのは、温かいトマトラーメン。11月上旬までやっているようだ。
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良かったよ。

ところで、なぜトマトかって?
吉野川の夕陽を見たから。



タグ:ラーメン 2017
posted by 平井 吉信 at 23:32| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年09月20日

秋のひとときを洋菓子を眺めて過ごす夕暮れ 


仕事の帰りにふと見かけた洋菓子店。
まだ新しいお店のよう。
外装が落ち着いたなかにもかれんで
つい入ってしまう。
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こんにちは―。

入った店内は木で包み込まれた空間で感性の純度を感じる。
一つひとつ見せていただいてもいいですか―。
ガラス越しに間近でケーキを見つめる。
黄色と赤に彩られたお菓子たちの誇らしげな表情。
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子どもたちに指名されるのを待っている。
「これが欲しい。カップにうさぎさんがついてる」
子どもの声が耳元でこだましたような。
(卵不使用のプリン)
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瀬戸内レモンの果汁を使っている。
からっと乾いた島の風が店内に吹いているようだ。
心地よい酸味がすでに脳内の味覚神経をくすぐる。
(瀬戸内レモンのムース)
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いちごのケーキが寄り添っている。
次は誰が買われていくのかなと。
小さなお店のケーキたちの人生?に思いをはせた。
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九月の風は夏とは違うのだが
ときおりせみしぐれの余韻を運んでくる。
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と思うのだが、風立ちぬいまは秋♪
栗の実をモンブランでほおばってみるのも良いのではとも。
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フルーツではなく「果実」と書きたい。
ケーキの天井を果実畑にしたのは誰?
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さあて、そろそろ決めなくては…
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ふと壁面に目がとまる。
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これは…誕生日ケーキにキャラクターを描いたものですね。
とてもていねいに描かれていますね。

はい、いつも時間がかかってしまいますがと笑う。

秋の主役は、かぼちゃだけが主役じゃないけれど
いたずら好きの子どものためにわざわざ置いてある。
そのまわりの空間がパティシエの笑顔で包まれているような気がする。
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すみません。
わがままな客のひとりごとに付き合わせてしまいました。
これとこれをください、それからこれも。

ありがとうございます―。
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家族のだんらんに置かれたケーキ。
ランプの下で眺めているところ。
若いご夫婦の笑顔のようにやさしく
静かに菓子づくりに励む心のように静かで。
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追記

お店の名前はパティスリーリゼット。
(どんな意味だろう)
徳島市北矢三町にある。
(お店の許可をいただいて掲載しています)
タグ:菓子 2017
posted by 平井 吉信 at 23:20| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年09月12日

あんパンとイチジクの秋


あまい話題です。
嫌いな人はいないでしょう。

東京駅で見つけたあんパンの専門店から。
東京あんぱん豆一豆の豆褒美。
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中を割ってみればこのありさま。
なんともいえんぜよ。
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一転して日和佐のアジュール昭吾堂。
薬王寺前でカフェとともに洋菓子を。
(以前の店舗で売られていたクロワッサンがおいしかったこと)
今回は、イチジクが食べたいときに、なんとイチジクの…(商品名を忘れた)。
 → 季節のタルト(いちじく)
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特に要らないでしょう。
〆の言葉は。
タグ:菓子 2017
posted by 平井 吉信 at 23:10| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年07月30日

野菜を食べるなら よってね市(徳島県勝浦町)


JAの直売所の格差が広がっている。
先日は愛媛県内のある市の幹部から市内の直売所について
現地で状況を伺ったところ。
継続的に品質向上や消費者の視点からの作付を行いつつ
農業や食の啓発を行い拠点として高い志で運営されていることが伝わってきた。
なにより一人ひとりの農家の研究熱心さと良いノウハウはたちまち伝線(模倣)されるところがいい。
産地はそうあるべき。それが個々の農家の所得向上にもつながるのだから。
(でも閉鎖的な農村ではそれがうまく行かずノウハウを抱え込む)
だから、この直売所の理念を感じないまま
レイアウトや地産地消のレストランなどかたちだけ真似てもうまく行かないよ。

徳島県内ではどうだろう。
愛媛県内に匹敵する取り組みは見られないように思うけれど
よく通っているのは勝浦町のよってね市。

夏の野菜を心ゆくまで食べてみたいと思って
梅を漬けたいと思って
トマトを冷やして塩を振って食べたいと思って
これだけ買ったのに1,320円でした。
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適度に山中にあって(標高差をうまく利用できる、虫害が少ない利点を活かせる)
適度にまちに近くて(消費者の感性を汲んで商売ができる)
結果は良い作物を手頃な価格で供給いただいている。
(マーケティングとか演出という感じはしないところがいい。ただ農家の立場からはこれでいいのかとも思うけど)


posted by 平井 吉信 at 14:32| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年07月02日

地元のお菓子(勝浦町 前松堂)を仁淀川の一番茶でいただく 四国の良さって何?

それから数日後、勝浦町の「よってね市」へ出かけた。
1週間で食べきれるかどうかの野菜を買ったけれど
千円でお釣りが300円あった。
家へ帰って30本ぐらい入って90円のシシトウを炒めて食べたら
それだけでごちそうだった。

春の桜が有名な前松堂に立ち寄って
赤飯と和菓子を買って帰った。
可愛い娘さんが上品な笑顔で見送ってくれた。
(ハートマークが点灯しました)

先進のイオンモールもいいけれど、地域の小さな店もいいなと思った。
でも、イオンモールはたくさんの人が支えるのでつぶれないけれど
近所の小さな店は住民が支えることで
これからの暮らしを支えてもらえる。
義理立てて買い物するわけではなく、互恵的な関係を意識しておきたい。

前松堂といえば、店前のこの桜
春が来ると前松堂の桜を思い出す。
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スーパーに並んでいそうな気取らないお菓子
かりんとう饅頭は人気の商品
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2つに割ってみた。
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かりん、という食感と、あんこの妙。
この次は、阿波ういろ豆入りを買ってみよう。

油の多いお菓子なので
仁淀川へ出かけたときに買ってきた「池川一番茶」を飲んでみよう。
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ひとこと言ってもいいですか?
みなさん、茶はティーバッグで入れるのではなく
茶葉を適温で抽出して飲むのが最高のごちそうなんですよ。
無精しないで、茶を飲めば心地よさと健康がついてくるよ(おせっかいでごめん)。
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池川茶業組合
http://niyodogawa-store.com/?mode=grp&gid=795801

池川茶園
仁淀川支流の土居川を眺めながら池川茶や池川茶のスイーツをいただける
http://niyodogawa-store.com/?mode=grp&gid=795800

仁淀川流域は霧の出る地形。西日本でも屈指の条件ではないだろうか。
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いまは仁淀川町だけれど、高知県内では池川町と呼ぶほうがしっくり来る。
この春には池川のひょうたん桜を見たんだ。
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2012年、NHK高知放送局はプロモーションを行った。
それは「仁淀ブルー」。
https://www.attaka.or.jp/info/dtl.php?ID=653
仁淀川でもっとも仁淀川らしいのが幹線道路から離れた鎌井田集落のあたり。
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池川地区を流れる土居川。
商店街の脇にこんな川があるなんて…。
ここは四国の郡上八幡。
(水質は吉田川よりもさらに上だけれど)
このまちはそのうちブレイクすると思うよ。
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仁淀川でもっとも仁淀ブルーの象徴が池川町を流れる支流の土居川(上流は安居渓谷)。
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茶畑は土居川に沿って見られる。
この川の水と霧が茶をつくる。
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四国を好きになるって、どんなことなんだろうね。
posted by 平井 吉信 at 17:39| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年06月25日

県都カフェ物語 静かな感動を味わえること 静かな感動を伝えること


鄙びた場所に立地してSNSで発信しながら
ドライブも兼ねて遠く県外からも集客するカフェ、レストラン、ピザ窯もあるけれど
まちなかのカフェは競合も多い。

特に内装に凝っていない。
外装に至ってはもちろん。
できて2年ばかりということもあって
例の飲食店の口コミサイトにも掲載されていない。
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メニューは2種類のランチのみ。
価格も手頃で850円〜900円。
車も停めることができる。

ところが店内に入ると
リピーターが思い思いに腰を下ろしている。
(さりとてお店とリピーターが会話を交わしている雰囲気はない)

高価なものかどうかはわからないけれど、
華美でない調度品の心配り、
流れている音楽、会話を妨げないその音量、
もちろん紫煙とは無縁。
(飲食店を法律で禁煙にできない国ってなんだろう?)
この店の常連は最初に入店したときから敷居の高さなど微塵も感じなかったはず。
すべてがさりげなく、素っ気なさなど微塵もない控えめな微笑に満ちている。

飲食店は大変である。
どんなに手間をかけても気配りを用いても値頃感(相場)がある。
ぼくは毎年梅酒と梅干しをつくっているけれど
梅酒3本の原材料費(梅、蜂蜜、35度の焼酎もしくは泡盛)は1万円近い。
原価と手間をもとに価格を付ければ少量の瓶で2〜3万円になる。

そして例のつまらぬグルメサイトのコメントで
客の感想がときに店主の心を痛める。

そのようなことは最初から意図していない、
お客様のことを思えばこそ、そうしているのに―。
そんな飲食店の嘆きの声が聞こえてきそうである。
(1億総評論家の時代だからインターネットの情報は信頼できないのだ。そしてまとめサイトやキュレーションサイトがさらに情報の価値を撹乱する)


満足度とは、顧客が期待する成果と
提供される価値のマッチングであるから
相互に理解しなければ(心が通わなければ)不幸だ。

ありとあらゆる人の嗜好に応えるなどできない。
そして当然だけれど、お客様は神様ではない。
(店は客を選び、客は店を選ぶという社会契約が来店である)

ここのお店に入ると
そしてお客様をお迎えする女性店長の慈愛に満ちた表情。
このままテレビドラマになりそうだ。
主演は、いまより少々若い年齢の吉永小百合か松坂慶子あたり。
華があっても品格が楚々と流れているような。
だから、お迎えを受けると
おだやかな気持ちで席に着くことができる。
奥から運ばれてきた料理は一見地味。
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こけおどしの風味や奇をてらった盛りつけの見映えはないから
Instagramに投稿する人は少ないだろう。
しかし一口いただくと、料理をされた方の心に触れる。

素材が口のなかから脳の深いところまでじんわりと広がっていく。
味わいは深くても次の瞬間、舌に残ることはなく消えている。
食事が咽を通らず、外食に気乗りしない体調不良の家人を連れていけば
一心不乱に味わいながら1粒一片として皿に残っていない。
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料理人の技もすばらしい。
旨味の足し算からこの技は生まれない。DSCF8006.jpg

和食の達人がていねいにつくる魂を込めた料理は
さりげなくも切ない。
特に塩の使い方が絶妙である。
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日々の仕事をしずしずと思いを込めてていねいに仕上げるだけ。
そんな心が透けて見える。
(口先だけの政治家を見ていると、市井の人々の至誠が身に染みる)
目標とする売上もなければ、
もっと売れたいという虚栄も感じない。
けれど、いかなるお客もあたたかく迎える覚悟で
店は灯されているように思える。
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不思議に思うのは
どのような力学、思いがあって
この店が存在するのだろう、ということ。
きっと静かで感動的なドラマがあるに違いない。
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これは徳島市内に実在するカフェの話で
何の誇張もしていない。
ただ、お店に入った瞬間から出て行くときまで
店の方もぼくも心の動きを感じあうことができる。

このようなお店なので
店名はお答えしません。
もったいぶっているのではないのです。
このお店に合う人はグルメサイトやSNSと無縁だと思うから。

posted by 平井 吉信 at 17:01| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年04月27日

立川PA 立川そば復活


徳島から高知へ向かう高知道の山中にある立川PAは小さなエリアだけど、
自然度が濃厚でレイアウトが使い勝手がよく
四国のPAのなかでも好きなところ。
ここの立川(たじかわ)そばが目当てで高知出張の際は立ち寄っていたが
数ヶ月前からメニューに乗らなくなった。
(一時、製造を取りやめていたという)
久しぶりに食券に出ているので試してみた。
http://www.kochi-syoku.com/glmet/tachikawa-soba.html

麺はつなぎなしのそば粉100%。
(祖谷そばと似ている)
実は、そば粉には雑菌が多いため、
製粉の段階から菌数管理が重要である。
(製粉まで地元で行っているかいないかは不明)
出汁は以前と違うように感じる。
濁り感のない風味では麺がなじまない。
(もしかして業務用?)。
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別の機会に松山へ出張に行った際、
大街道のまろに立ち寄る。
相変わらず良い出来映え。

たぶん、そばがもっとも好きな食べ物で
次いでカレーかなと思う。
カレーは自分でそのときの気分で風味を変えてつくるけれど
そばは自分で打ったことがない。
やってみたいと思いつつも、時間と道具(場所)を整える機会がなくて。

そばを無心にすすり、目を閉じて味わう昼のひととき。
仕事に向かう足取りを軽くしてくれる。
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夜は、ロープウェイ街の入口のかどやで。DSCF7192-1.jpg

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仕事の後の親しい人との食事でなごめば、明日への活力となる。
タグ:そば 2017
posted by 平井 吉信 at 22:50| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年04月09日

寒い3月のあたたかいラーメン


もう4月があと数時間というのに、高速道路の池田SAは雪景色。
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こんなときはあたたかいラーメンをと、
魚介の出汁をていねいにつくりこんでいるお店へ駆け込む。
たまたまのれんがかかった直後の1番客となった。
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(濃厚魚介らぅ麺 純)
タグ:ラーメン 2017
posted by 平井 吉信 at 00:23| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年03月25日

桜さくら 行き過ぎがたき春の路 いかにか桜餅求めん


勝浦町の和菓子店で桜の精にたぶらかされて
菓子を求め損ねたという物語が数日前のこと。
それが潜在意識にあったのだろう。
通り過ぎようとすれば、散りゆく花びら手水鉢。
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見上げれば桜の枝、それから桜もちの張り紙。
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するりと入れば、本日のおすすめ、とのこと。
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桜ぷりん、も気になるが、
かくしてここに桜餅、煎茶をいそいそと。
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(福屋 盛寿の郷)

彼女はすましてこちらを見つめている。
なんで食べられようか。
文学よりも桜餅―。
(フジ X20)
タグ:菓子 2017
posted by 平井 吉信 at 21:21| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年02月25日

御食国(みけつくに)淡路島で若い力の農業を観る


仕事で淡路島へ行くことになったとある2月の寒い日。
淡路島は丘陵がかった地形が島の中央に横たわり、
それを縦に横に道が走っているから分岐がわかりにくい。
そのため、集落を表示する看板が随所に立っている。
この丘陵を東西に横切って東岸と西岸をつなぐ横断道がある。

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昼間の仕事のあと、夜は意欲的な飲食店にご案内いただいた。
淡路からパスタを全国に発信されている企業のアンテナショップ。
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夕闇に溶けていく海の群青とあたたかい光のたたずまい。
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そして数種類のパスタを赤白のワインとともにいただく。
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きょう初めてお会いした方々とは思えない和やかな雰囲気で食は進んでいく。
(みなさまのご健勝をお祈りいたします)
(Pasta Fresca Dan-Menにて)


その翌日、
地元の方のご案内で中国料理の店に立ち寄る。
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千客万来で中国人と思われる女性がきびきびと接客をしていらっしゃる。
注文したのは冬季限定の酸辣麺(サンラーメン)。
黒酢と豆板醤が血行を良くするとのことで
野外で冷えた身体を温めるために一同注文。

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淡路島の南(南淡)は、玉ねぎと牛、北(北淡)は花卉栽培が盛んとのことで
淡路島の若い生産者の現場を次々と訪れてはお話しを伺っていく。

明石大橋を渡ればそこには消費地が待ち構えている。
典型的な都市近郊農業で付加価値が高く生産者も勉強熱心な方が多い。
だから若い新規就農者が少なくない。

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みなさまのご発展、ご健勝を祈りつつ、伝説の御食国の淡路をあとにした。

(四国へ戻ると38度の熱が出たが、薬は飲まないで翌日には平熱に。念のためのインフルエンザ検査も陰性だった。人に会う旅はこれからも続く。人生が終わるまで)

タグ:ラーメン 2017
posted by 平井 吉信 at 16:45| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年01月29日

スーパーにあらわれた謎のトマト このおいしさは規格外!


これからが旬を迎えるトマトはぼくの大好物。
農園から直接買ってきて、
3kgぐらいをあっという間に食べてしまうこともある。

そんなトマトはスーパーとは縁遠い存在であったと思う。
ところが、直売所(産直市)の野菜やトマトがおいしいかというと
そうは言えないだろう。
集荷量(=売上)だけに目が行く直売所は
そのうち魅力がなくなって売上も低下していく傾向にある。

品質第一を掲げてそれを愚直に実現している直売所は見たことがない。
理念や方針が迷走しているということもあるのだろう。
生産者の高齢化も大きな要因だろう。
かつて売りであった鮮度や価格も直売所優位とは言えなくなっている。
一方で若手が規模を拡大して意欲的につくっている農園もある。
しかしそんなところも量ありきで品質はもうひとつ。
(食への思いが感じられず商売がぎらぎらしていると野菜や果実もそうなっていく)
ここでの品質とは等級や見映えではなく風味をさしている。
そこには農業の持つ構造的な課題があるのではとも考える。
収益を上げることと、品質を確保していくことの両立が難しい。
だから、おいしい野菜や果物は自分でつくっていくしかないと感じる。

そんなことを思うこの頃、スーパーで驚愕のトマトに出会った。
それがこれ。
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1袋257円と安い。
食べてみて驚いた。
ここ数年、これほどのトマトは食べていないと感じる。

消費者は「あまいトマトがいい」というけれど
ぼくは食べたくない。
欲しいのは、鮮烈なまでの酸味と旨味がぎゅっと閉じ込められながら
甘みが絶妙のバランスで追いかけているもの。
おそらく糖度は高い(10ぐらいはありそう)。
とにかく味が濃い。
味の素のような後味が口をかけめぐる。
けれど化学調味料と違って朝の露のごとく消えていく。
酸味はすみずみまで行き渡り
甘みはどこまでも寄り添って
三者の味覚が海となって溶けていく。
土づくりの栄養バランスを前提に
ぎりぎりまで落とす水分調整がうまく行ったのだろう。
(写真を見れば、生産者がトマトを鍛えたことがおわかりになるでしょう)
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おいしい食べ方は、尖ったところをほんの少し落として
お尻から食べること。
縦切り、横切り、さらに包丁の切れ味でもちろん味は変わるが
包丁を使わないでかぶりつくことにとどめをさす。
誰かが止めないと1袋をすべて食べてしまいそうだ。

このトマトは近所のスーパーに売っているもので
量もふんだんに並べられている。
(県東部、県南部だと入手しやすいだろう)

不可解なのは「徳島県産」と書いてあるだけで
産地や生産者の名前が入っていない。
スーパーがどこかの農園に相対で買い付けてPB商品として売っているのだろうか。

このスーパーは徳島ローカルで人件費を抑えて配送センターから各店舗に流通させている。
流行は追いかけずおしゃれ感は皆無だが
固定費がかからないので収益性は高いと見る。

このところ県外資本のスーパーやディスカウント店が小松島にも進出し、連日賑わっている。
それぞれ計画を上回る業績を上げているのではないだろうか。
(地場のスーパー、負けるな)
けれど、ぼくが見て買いたいモノはなかった。

ローカルスーパーは良い農家を発掘、育成し
自店の店頭で生鮮4品+自社惣菜を展開していくことしか生き残りはない。
(香川県の新鮮市場きむらなどはその見事な例ではないだろうか)
そのような力学で切磋琢磨するローカルスーパーと
旧態依然のJA系の直売所では年々差が開いていく。

このトマトがどういう経緯で店頭に並んでいるのかわからないが
おそらく店頭の反応でテストマーケティングを行っているのだろう。
近隣の消費者の反応から顧客の水準をはかりつつ
次の一手を見据えているのかもしれない。
当面、このトマトの売れ行きを見守っていきたい。








タグ:直売所 2017
posted by 平井 吉信 at 13:19| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年01月02日

幸福のゆずジャム 幸福に思いをはせる黄金の果実


徳島と高知はゆずの産地であり
鮮度の高いゆずが手頃な価格で入手できる。
いや、それよりもいただく機会が多いだろう。

年末にいただいたゆずで
おいしい果汁入果皮をつくることにした。
木頭ゆずである。

市販のゆずジャムは
保存性を考慮するとともに、
酸味の嫌いな(=というか砂糖が好きな)消費者向けが多く買う気がしない。
果実の面影がない(感動はない)。
求めているのは、
ゆずの鮮烈なまでの酸味と甘みが濃縮されているもの。
それでいて毎日食べたくなること。
突き抜けた個性と普遍性を高度に均衡させたもの。

数時間後…。
おいしい。
おいしい。
(誰が食べてもこの言葉)
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(フジX-E2+XF35mmF1.4 R)

用途は、パンに付けることはなく
紅茶に入れることを想定している。
あるいは蜂蜜を入れて湯割をして飲みたい。
料理であれば、阿波尾鶏の調味料や他の料理の隠し味として
または鴨料理などのたれの材料などとして
ドレッシングなどの素材として。

作り方は以下のとおり。

ゆず 5個
砂糖 150グラム
水 150cc

【手順】
(1)湯こぼしと刻み
・ゆずを水洗いして1/4カットで絞り器(しぼりーな)にかける。
・絞りすぎないのがコツ。絞りすぎるとえぐみが出る。
・果汁をコップで受ける。
・搾りかすのゆず皮から果肉をそぐ。綿を取り過ぎないように。
・ステンレス鍋で湯をわかして(アルミ鍋は使わない)ゆず皮を入れる(沸騰3分)。
・ゆず皮がやわらかくなるので鍋から打ち上げたときに細かく切る。
・2回目の湯で沸騰3分。
・カゴに打ち上げて3回目の湯で3分。
・種を取っておいてティーバッグ(紙製)に入れておく(ペクチンを取り出して粘度を与える)。

(2)煮る
・湯を沸かす(150CC)。
・ゆず皮(5個分で402グラム=水分含む)、ゆず果汁、種子島洗糖150グラム、種の入ったティーバッグを入れて中火で。
・種は最後まで煮込まず5分程度で取り出す。
・煮立ったら灰汁をすくいつつ弱火で(合計10分)。煮すぎると香りが飛んでしまう。

(3)取り出し
・火を止めたらすぐに耐熱ガラス容器に小分けする。
・熱が冷めると蓋をして冷蔵庫に保管。

【重量換算】
・柚子皮5個分(水分含む) 402グラム
・柚子5個分の絞った果汁全部 210cc(200グラム)
・種(茶パックに入る量)適宜
・水 150フラム
・種子島洗糖 150グラム(ハチミツが使いたかったのだが)

つくりかたは現物を見ながら調整していく。
数字は記録しておいて再現できるようにはしてある。
年末から正月にかけては心ゆくまで料理をつくることができて愉しい。
余っている素材を見ながら、体調や食べたい動機を見ながら変幻自在につくってみよう。

ゆず、ゆこうなどの黄金の果実は幸福の色。
酸味の向こうにお金で買えない世界がある。

タグ:2017 ゆこう
posted by 平井 吉信 at 15:53| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ