ぼくのカレーづくりは子どもの頃に遡る。好奇心が高じて小学生の頃には一通りの料理はできるようになっていた。どういうわけか、うちの台所は広くて冷蔵庫から電子レンジまで6メートルある。調理器具の主力はガスだが(オール電化にしないのは災害対応のため。アウトドア用の持ち運べるガスバーナーが2機、イワタニのガスカートリッジの高出力機が1台と災害対策も万全)、炊飯器は6台(炊飯専用と保温専用の真空炊飯器、米以外の調理用、マスク乾燥用など)、両面グリルプレート(肉専用)、サンヨーのスチームコンベクション、温度調理電子レンジ2台、オーブントースター1台、スロークッカー1台、ホットデリ2台、精米機1台などが揃っているが、いずれも廉価で全部合せて10万円ぐらいかな。それに測定器(非接触赤外線温度計、芯温計、スケール2台)やタイマー4台が稼働中。
仕事は夜中までやっているが、その合間で調理するのは心がなごむ。といっても、のんびりやっているのではなく、調理中は厨房を走り回る(飲食店のよう。仕込みが終わるとまた仕事に戻る)。調理をすると運動ができる一石二鳥である。
ぼくはグルメでないので外食はほとんどしない。家でつくるので満足していることもある。家人からカレーのリクエストがあったので、きょうは新しいルーを使ってみることにした。それがグリコのZEPPINという商品。
近年の製品改良で減塩仕様となったという
https://with.glico.com/infocenter/column/report.html?number=54748
https://cp.glico.com/foods-tasty/
減塩リニューアル後の商品を、Amazonのレビューを見ると評価が二分されているが、この商品をどう捉えるかで食生活のタイプ、ひいては人生の健康をある程度予測することができると思う。
時間短縮のため、タマネギは炒めず電子レンジとホットデリで仕上げていく。始めて使うルーの味見をしてみると、「これはいける」。ルーはもちろん煮込まない。火を止めて入れて5分放置してかきまぜると、やや冷めるので少し温めて仕上げの香辛料を入れて混ぜたら火を止める。この味だったら、神保町のカツカレーの名店「南海」に近づけるのではとひらめいた。
これはキッチン南海のカツカレー。列はかなり長かったが時間は10数分で順番が回ってきた。黒いカレーが食欲をそそる。大盛りのキャベツも特徴。同店は閉店されたが、後継の店もあるようだ

旨味の冗長さで味が濁るので、頭のなかで味を描く。酸味を付加したいので(南海風ではないが)トマトを入れる(南海のカレーは野菜の旨味が濃厚だが酸味は尖っていない)。素性が良いので足し算が違和感なくできていく。隠し味に高橋ソース(カントリーハーベストのウスター)を加えると少し南海に近づく。仕上げはガラムマサラで香辛料感を出してできあがり(色彩を黒くするのはできなかった)。写真ではおいしそうに見えないがそれが普段の家庭料理の良さでもあり「絶品」というよりは毎日食べられる吸い込まれ感を究めたという感じ。気に入ったので今度は別のアレンジを施してみよう。


あり合わせの豚のこま切れ肉や野菜でつくったので見栄えは良くないが、何杯でも食べられるカレーに仕上がった。ハウス印度カレーなどとともに、専門店の風味に近づけるベースとしてはとても良いと思う。