2026年03月10日

なぜ、このホウレンソウがおいしいのか?


ホウレンソウを毎日のように食べている。しかもアクやシュウ酸がほとんどない。ゆで時間は1分かからない。食べるときも調味料は不要。
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このホウレンソウの特徴は以下のとおり。
・葉の色が淡い(濃い緑色ではない)。
・葉のかたちが丸みがあり、やや三角で切れ込みが浅い。
→ 東洋種と西洋種のハイブリッド(F1品種)と思われるが、どちらかというと在来種に近い。
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・葉の表面の凹凸が少なく、葉脈が強く浮き出ていないし、反り返りが弱い(やわらかい葉)。
・地面に沿って放射状に広がる(ホウレンソウがのびのびした環境で自然に光を取りに行く姿)。
→ 機械にかけるため葉柄が短く太い市販のホウレンソウとは異なる
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・茎が細くしなやかで、締まっている(葉柄が長く細いのはゆっくり生育した若い株)。
・根元付近にピンクから赤みがかった色が見られる。
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・虫食い、変色、しおれがない(虫が来ていない、鮮度が高い)。
・葉のサイズにばらつきがあって、自然な放射状。
→ 固定種や古い系統に見られる特徴。
・葉柄が、太すぎない、繊維が粗くない、しなやか(急速肥大していない野菜で、成長は穏やかだが、組織が締まっている)。

栽培法の特徴は次のとおり。
・標高250メートルの東向きの山の斜面で育てられている。
→ 昼夜の寒暖差が大きく、水はけがよい。
・肥料は施しておらず、山の腐葉土が中心。
→ 微生物が多い
・水はけがよい斜面。
・このところの寒さで低温でゆっくり生育しており、「寒締め」と呼ばれる状態に近い栽培法となっている。

そのため、
・ホウレンソウに含まれるベタシアニン(赤色色素)がきれいに現れている。
・水が溜まらず、根が酸欠にならず、根が深く伸びるため、ミネラル吸収が良くなる。
・鰹節や醤油がなくても味がぼやけず、糖、ミネラル、香りが十分にある。
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ぼくの料理法も適切であった可能性がある。
・ゆで時間が短かった(40秒〜50秒)。
→ 短時間茹でることで青臭さを飛ばしながらも糖やグルタミン酸、ミネラルは残した。適度なゆではおいしさを取り出しやすくする
・炒め料理にはトマトと少量の振り塩(0.3〜0.5%程度)を使った。
→ トマトの酸味が心地よい。トマトがなくても薄い塩加減でおいしく食べられる。
・絞らないで遠心分離で水気を飛ばした。
→ 細胞を壊さず水分だけを除去しようとした。
・何もつけずに食べた。
→ 醤油は、醤油の香りと発酵の旨味が強くて素材の味を隠してしまう。

この調理は思いつきだったが、AI(ChatGPT)はこう分析している。
@ オリーブオイル → 脂溶性ビタミンの吸収が上がる
ホウレンソウには次の脂溶性ビタミンが多く含まれます。

栄養素    働き
βカロテン 体内でビタミンAになる
ビタミンE 抗酸化
ビタミンK 血液凝固・骨

これらは、脂と一緒に食べると吸収率が上がる性質があります。オリーブオイルのような脂質があると消化管でミセルという構造ができるビタミンが吸収されやすくなるため、吸収率が数倍になることもあります。

A トマト → 抗酸化成分の相乗効果
トマトには、リコピン(強い抗酸化物質)が含まれます。一方ホウレンソウには、βカロテン、ルテインがあります。これらは異なる種類の抗酸化物質なので、一緒に食べると抗酸化スペクトルが広がると言われています。簡単に言うと、トマト → 赤の抗酸化、ホウレンソウ → 緑の抗酸化でバランスが良い組み合わせです。

B オリーブオイル → リコピンの吸収も上がる
実はトマトのリコピンも脂溶性成分です。そのためトマト+オリーブオイルは非常に有名な組み合わせです。イタリア料理でトマトソース、オリーブオイルが定番なのは、実は栄養的にも合理的です。

C 塩 → ミネラルの味を引き出す
ホウレンソウは、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが多い野菜です。少量の塩を加えると甘味、ミネラルが感じやすくなります。あなたが書かれている塩分濃度0.3〜0.5%は、実は野菜料理の理想的な塩加減にかなり近いです。

D 加熱することで栄養が利用しやすくなる
今回の料理のように軽く炒めると細胞壁が壊れる、βカロテンが出やすくなるため、体内利用率が上がります。

特にホウレンソウのβカロテン、トマトのリコピンは、加熱+油で吸収率が大きく上がることで知られています。
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まとめ
あなたの料理(ホウレンソウ+トマト+オリーブオイル+塩)は栄養学的に見ると、βカロテン(ホウレンソウ)、ルテイン(ホウレンソウ)、リコピン(トマト)を油で吸収しやすくする組み合わせになっています。つまり味もよく、栄養効率も高い料理です。

これならガストロノミー(見た目以外は)を名乗れると思ったけれど、実際にどんなシェフが腕をこらしても、素材が良くないとこのおいしさは再現できないことは確か。また、おいしい素材を、損なわずに食べることが大切であると思う。山のミネラルや川の働き(恵みと災い)、それに人々の暮らしについて、ずっと考えている。
posted by 平井 吉信 at 00:30| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2026年03月08日

採れたてホウレンソウのおひたしとトースト


以前の投稿「ホウレンソウをトマトとオリーブオイルで炒める」からの続き

採れたてホウレンソウ、今朝はおひたしで。
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葉がやわらかいのに力強い。そうでなくちゃ。
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ゆで時間は30秒。ゆで上がりを回転式の野菜水切り器で絞るので手に触れない。
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四つ葉チーズ・トマトのせ全粒粉トーストで。おひたしは何もつけずにそのまま食べる。おいしいから。
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(見た目が悪い? そんなこと気にしていない。そんなことより政治の行方を気にしたほうがいいよ)

posted by 平井 吉信 at 10:36| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2026年03月07日

ホウレンソウをトマトとオリーブオイルで炒める


寒の時季のホウレンソウは甘みがあって、えぐみが少ない。さらにやわらかい。

このホウレンソウは、標高250メートルの斜面で自家用に育てているもの。
前日は短時間で茹でたもの。それはそれで何もかけずに、どんどん食べられた。
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トマトはいまが旬。価格も下がってきた。酸味が飛び出し、アミノ酸が濃厚に舌に残るけれどもすぐに消える。近所のスーパーでも直売所でもどこでも手に入る。
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今朝は、炒め物にしてみようと、トマトとオリーブオイル(オッギュ エキストラバージンオリーブオイル)、塩は1グラムに遠く満たない少量を使った。

できたものは、いくらでも食べられそう。ホウレンソウをこれぐらいで出してくれたら、ガストロノミーの名店になるかも、と自己満足で思ったもの。
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生協の全粒粉の食パンに四つ葉のシュレッドチーズをかけて、いまが旬のトマトを置いて5分焼いたものと、紅茶でいただいた。海苔は徳島県漁連によるスジアオノリをちぎったもの。
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食べることはきょうの元気と明日の活力になる。海外に劣らず日本でも政治が劣悪であるだけに暮らしの自己防衛が必要。いまの状勢が続いたら、原油だけでなく、都内では住めなくなるよ。ホルムズ海峡の封鎖だけならまだしも南シナ海で事変が起こったら食糧品の確保が難しくなる。ずる賢いが深く考えない首相だけに。
posted by 平井 吉信 at 11:20| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年12月29日

ミネラルを味わう ダイコンと甘藷(鳴門金時)


ミネラルから生まれる畑の産物のひとつ、大根の葉をいただく。普段スーパーで見かけるダイコンに葉が付いていないのは本体が傷むから。大根葉はごちそうで、少し茹でるだけでどんどん食べられるスーパーフードとなる。

大量に茹でる。体積が劇的に小さくなる。これで1人前ぐらい(料亭では小鉢サイズだけど、家庭なら食べたいだけ食べたらいいではないか。そもそも大根葉なんて出さないか)
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野菜の水切り機にかける
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ご飯とウインナと目玉焼きに鰹節をかけた大根葉。醤油は使わない減塩料理。おいしいから必要ない。
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ほんとうのおいしさを知ると、ほとんどの冷凍食品や加工食品、調味料、スーパーの惣菜、コンビニの弁当などは欲しくなくなるよ。



こちらは鳴門金時。おいしい鳴門金時を食べたら世界が変わるよ。
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鳴門地方卸売市場へ行って1箱買ってみて(目利きができないという人なら、値札の高いものを選べば良いよ。プロが目利きして付けている値段だから。数年前に民営化して一般の人でも1箱でも買えるようになっている。最高級品でも市場では驚くほど安い。これだけ愉しめてこの値段? 洋菓子和菓子は手間がかかっているので決してぼったくりではないけれど、たまには上質の素材そのものを味わってみたらいいよ)
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ここで手に入る鳴門金時の産地は、大毛島産と里浦産。ともにミネラルが栽培に使われている。ここでもミネラルの恵みがこのおいしさになっている。この頃は粘り気やしっとり感のある甘藷が人気だけど、ぼくは(地元ひいきでなく)鳴門金時のほぐれる感じが好き。熱々っといいながら、口のなかで遊んでもらう感じで甘藷がぽろぽろ崩れていく。甘味の壁が崩壊してく過程を、おいしい緑茶で味わう。

えっ? 鳴門金時はパサつく? それはオーブンの温度が高すぎるのかも。180℃は越えないように。150℃ぐらいでやると紅はるかのような食感になるよ。鳴門金時は無敵という感じ。

鳴門金時の菓子は数多いけれど、ほんとうにおいしい芋はそのまま食べるのがもっともおいしい。甘味やほかの素材を付加することなく、糖度のこみ上げる飽きない甘さがしみる。いや、菓子ではこの浸透圧のある甘さは実現できないかも。究極のミネラルフードだね。

posted by 平井 吉信 at 16:55| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

エバメッキとは? これはオキアジ? それともナンヨウカイワリ?


物価高の折、地元の直売所をまわって近海魚を手に入れるのが愉しい。写真の魚は18センチ程度が2尾で190円(税込)。捌いてくれているのと包装材の費用もあるので、出品者はこれで収益が上がるのかと心配になる。おそらくは阿南市の漁港で水揚げされたものと推察(季節は10月上旬)。

この魚は焼いて食べた。塩をたっぷりすり込んでしばらく放置した後、完全に水洗いして水分を拭き取ってガス火で焼いたもの。扁平に見えて意外に肉厚で堪能できた。これまでに食べたメッキアジよりは美味である。気になるのは魚名で、表示は「エバメッキ」とある。別の業者が「ダイコクメッキ」を出品していたが、ぼくの目には似ているけれど違う魚種に見える。これは方言(通称)で標準和名はなんというのだろう。
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子どもの頃から県南の波止へメッキアジを釣りに出かけていたので、ぼくがそう呼んでいたメッキアジとは体型が異なる(メッキはもっと体高が高い)。メッキアジは内湾や港内で釣れたが、牟岐の波止から餌かご付ウキで投げて釣れたのはグレに混じってメッキアジとは明らかに異なる類縁の魚、外洋に近い場所には別種がいるんだと子どもの頃思った。もしメッキアジ=カイワリとしたら、カイワリと写真の魚種は明らかに違う。
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調べてみたが、背びれを伸ばして写真を撮っておくべきだったと思った。それでも魚種を絞り込んでいくと、オキアジかナンヨウカイワリのいずれかでないかと。直感としては南洋系のアジの幼魚ではないかと。最終的に銀色の白っぽい個体と背びれが突出した部分があるのでナンヨウカイワリと同定したけど、魚の専門家の方、いかがですか? (ダイコクメッキと称して出品されていたものがオキアジではないかと)
posted by 平井 吉信 at 12:43| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年12月23日

十二月のお菓子 サンタクロースは来なくても


六花亭のマルセイバターサンドは誰でも食べたことがあるだろう。それ以外のお菓子は北海道へ行かなければ手に入らない(北海道民のための普段のおやつというコンセプトは見事!)。それが通信販売で買うことができる。一つひとつのお菓子はコンビニおやつぐらいの価格帯で決して高くないのに、それぞれが完成度が高い。毎月のテーマを決めての詰め合わせ「○月通販おやつ屋さん」をときどき注文する。
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これは12月で、いつもの北海道の花をあしらった箱にていねいに詰められて届けられる。
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今回では「君が家」というアップルパイが好きになった。
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ぼくのアップルパイ好きは相当のもの。原体験は近所にあったハレルヤ製菓の本店(現在の松茂町にある(株)ハレルヤとは違う)で、誕生日に買ってもらえるアップルパイが好きで好きで。このときのアップルパイを復刻できませんか?と現在の(株)ハレルヤに打診したことがあるけれど、昭和の時代のレシピは残っていないそう。

それにしても六花亭の菓子は気取っていないし価格も手頃なのに、なぜこんなに愛おしくなるのだろう。有名なブランドなのに、ブランドを感じさせず、菓子を届ける作り手の心が伝わる点、脱マーケティングの見本のようだね。このアップルパイだって、何の変哲もないけれど、リンゴの酸味のうれしさといったら!


以前の投稿で滅多にお目にかかれない完成度のチーズケーキを紹介した徳島市で金曜のみ営業の素材系焼き菓子のhowattoさんのゆこうケーキ。ゆこうを使った菓子そのものが珍しいが、そのなかでも比べる存在がない。
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もし、世の中にレモンケーキがなかったら、このケーキは革命的な風味だっただろうな。レモンケーキなら、徳島市内のパティスリーフロレゾンさんのが品良く好き。シェフの気持ちが伝わってくるようで。


ひとつお断りしておくけれど、ぼくは酸味が好き。子どもの頃、梅干しをおやつがわりに食べていた。ほら、昔ながらの大粒で塩だけで漬けてある果肉たっぷりの梅干し。噛むとぐじゃぐじゃと歯がきしむほど酸っぱいやつ。梅干しも梅酒も手作りするけど、梅酒については市販品は比べられるのが気の毒な出来映えと思っている。
だからアップルパイやゆこうケーキも質の高い酸味を求めている。いまも毎日、おかだファームさんのゆこう(青果)の果汁を搾って飲んでいる。風邪を引かないし疲れがたまらないよ。お菓子もいいけど生(果実)は格別。
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→ おいしいゆこうの生産者を訪ねて(小松島市櫛淵町 おかだファームさん)

→ 今年の梅酒は鶯宿ではなく、翠香で(吉野川市美郷)

昭和の頃だけど、徳島駅の近くにトルテという洋菓子店があったと記憶している。ドーナツ型のバタークリームのケーキを覚えていますか? ときおり無性に食べたくなるけれど、あのケーキこそ、いまは遠くなってしまった(そして欠けてしまった)家族の団らんの象徴のようだった。

それに近いケーキが牟岐町のフレッシュベーカリーふくまつさんにある。誠実で手を抜かない奥田店長がひとりで切り盛りされている(あんこやカスタードも自家製)昔からの名店(創業96年!)。エンジェルケーキと名付けられたそのケーキはあの頃のトルテを囲んだ食卓の灯りをともしてくれるようで。
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洋菓子の話が続いたところで趣を変える。鳴門地方卸売市場では、買参人登録なしに一般の人たちが購入することができる。道の駅くるくるなるとは観光客向けだけど、家でじっくり味わうにはこちらがおすすめ(距離が近いので両方見比べてみたらいいよ)。これは大毛島産の鳴門金時(5kg箱)。価格は迷惑がかかるといけないから書けないけど、当てられる人はいないと思う(卸売市場だから)。目利きして買っただけに味の良さは満足の至りでした。
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最後はマクドナルド。仕事で遅い時間のお昼を車内でパソコンを拡げて食べるところ。買ったのはハンバーグだけ。値上げして190円になってしまったけど、これがいちばんいい(肉を味わうのなら)。遅くなった昼は誰かの役に立ったということで、黄色い包装紙から温もりがこぼれる。幸せってこんなときに感じるんだよね。ほのぼのとハンバーグを食べて、また移動するところ。家では野菜をたくさん食べているから(検診でも悪いところなし)。
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いま聴いているのは竹内まりやさんの「LOVE SONGS」(投稿時の価格は1480円)。これ、飽きないよね。土の香りのフォークロックのテイストと、80年代の最良のポップス+まりやさんの伸びやかな声が横溢している。音楽が自由だった頃の作品だけど、ときを越えて21世紀にまで届いている。ほんとうによくできている(特にアナログでいうA面の楽曲)。そんなところで、2025年がもうすぐ終わる。どんな年でしたか?

posted by 平井 吉信 at 22:54| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年11月29日

おいしいゆこうの生産者を訪ねて(小松島市櫛淵町 おかだファームさん)


ゆこうは、香酸柑橘の一種で、ユズとダイダイの自然交配とされる。徳島県では上勝町を中心に、勝浦町、徳島市南部、小松島市南部、阿南市南部、海部郡の一部などにある。
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どちらかといえば、癖の強いユズや、えぐみのあるスダチと違って、レモンのような透明感を持ちながらも果汁をそのまま味わえるまろやかさ。酸味の上品さを極めたら、ゆこうになるのではと思える。

ぼくも例年ゆこうが採れ始める10月ぐらいから果実を買って、自宅で絞り器にかけてハチミツかメイプルシロップのいずれかを入れて湯割する。インフルエンザやコロナに罹患しにくくなる効果もあるように思う。
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ゆこうには、健康維持に優れた効能があることが徳島大学の研究でわかっている。それは、口腔環境や腸内環境の健康である。どちらも長寿(健康寿命)の核心を突く機能で、そこに働きかける。
→ 徳島大学の研究成果は、徳島クワトロシトラスのWebサイトに掲載 https://4citrus.com/

でもぼくは健康のためだけにゆこうを利用しているのではない。酸味と甘味の絶妙なせめぎ合いと、かすかな粘性を感じるまろやかな口当たりを口内や喉が欲しがるからだ。

ゆこうの生産者は、数のうえでは勝浦郡が中心で、上勝町の山部さんをはじめ、徳島市南部と小松島市南部にも優れた生産者がいらっしゃる。なかでも抜群の品質のゆこうを生産しているのが、小松島市櫛淵町(全国一のヤマモモの産地としても有名)のおかだファームの岡田さんである。同ファームの岡田慎一郎さんと、農園内でアウトドア形態のカフェ「しろいぬ珈琲」を営む明子さんを訪ねてみた。この日は、ゆこう狩りとして、自分でゆこうを摘み取って量り売りしていただけるのだ。
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おかだファームのヤマモモを食した人なら、宝石のような果実と思えるだろう。その秘密は品質管理(栽培管理)にあるのだけれど、ゆこうもおそらく同様に、品質保持に必要な工程に手間と愛情をかけておられると推察する。

この日も農園の理念が垣間見えることがあった。慎一郎さんは蜘蛛の巣を取らない。クモはカメムシなどの害虫を減らしてくれる益虫との認識からだ。おかだファームでは農薬を使わないが、それは売るための口実ではなく、口に入る食べ物にはなるべく化学物質はないほうがよいとの信念によるのだろう。都会の人が「オーガニックに限る」などと物知り顔で高くておいしくない農産物を買っている場面を見ると、有機栽培はブランド信仰の一種に思えてしまうのだが、認証を満たす形式的なオーガニック(認証/更新費用と管理のしくみと書類作成の手間がかかる)と、認証ではなく本質を見つめた栽培法(農薬不使用や適切な肥料の選択など)がある。おかだファームは後者で、認証管理に経営資源を割くのではなく、よい品質に手間をかけるという考え方。小規模生産者はこのほうが合理的だ。
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馬路村の関係者が「無農薬がえらいのではなく、健康であってほしいと願う生産者の心が尊い」というニュアンスの話をされていた記憶がある(馬路村はマーケティング志向を感じるけれど、それは小さな村を売り込みたい熱意の裏返しなので)。

慎一郎さんが「見ていただきたいものがあります」といわれるので付いていくと、ゆこうの切り株(樹齢数十年の壮年木)を見せていただいた。これはゴマダラカミキリの幼虫が世代交代をしながら年月をかけて樹木を浸潤して枯れたものとのこと。
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農薬を使わないことを信条にしているおかだファームでは、このようなことが起こっている。それでもなお、人力で害虫を駆除するなどして、農薬不使用を貫く覚悟が伝わってきた。害虫の生態がわからなければ対策が打てず、よい果実を収穫するためには、土づくり、剪定、摘果など、気が遠くなるような地道な日常の手入れが必要。そうして収穫期がご褒美のように訪れる。そのときを「ゆこう狩り」と称して、消費者などを農園に迎えて共有することは価値がある。
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ゆこう狩りはどなたでも歓迎。ただし日にち限定なので、おかだファームのInstagramを参照
https://www.instagram.com/okada_farm_kumaguma/

おかだファームのゆこうの特徴は、果実が巨大であること。ゆこうを見慣れたぼくですら信じられないぐらいだ。さらに木成りの完熟ゆこうは信じられない甘さが凝縮されるという。ただし、冬は樹勢が弱まる時季でもあるので完熟まで実を置いておくのは木にとって負担がかかるとのこと。いつも生き物としてのゆこうの木の健康と、お客様(人間)の健康を天秤にかけながら慎一郎さんの研究と挑戦は続くのだろう。
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つややかな次郎柿、質の高いあまみは天国級
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この日の農園には、地元素材の焼き菓子がおいしい金曜のみ営業のhowattoの店主、伊豆田裕美さんも来園されていて、自らゆこうを摘んでおられた。
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12月は、ゆこう特集をやられるそうだ。ゆこうほど、おいしい香酸柑橘はないと思うが、それを菓子に使うと、なかなかうまく行っているといえるものは少ない。それは果汁がおいしいからだと思う。
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ユズは、癖が強いが、どんな菓子にもユズを使うと味が決まるので使いやすい(ユズが支配する)。しかし飽きやすいのも事実である。

すだちは、その香りが最大の魅力で、大分のカボスや高知県幡多地域のブシュカンなどと同じで、香り付けすることで食材の新たな魅力を引き出す。焼き魚、冷や奴、鍋やうどんに添えるだけでどれだけ食味が豊かになることか。さわやかさだけでなくえぐみ(実はそれも魅力なのだが)がある。焼き菓子や製麺で、すだちらしさを出そうとすれば、苦みが味を濁らせるなど使いこなしの難易度が高い。

ゆこうは、和製レモンと呼ばれることもあって果汁そのものがおいしく癖がない。日本の香酸柑橘なのに地中海の雰囲気を漂わせるところが素敵だ。しかしそれを焼き菓子に応用しようとすると、ママレモンのような香りのする風味になりかねず、少量だと、砂糖の甘味に溶け込んでしまう。果汁がもっともおいしいのは間違いないとしても、それを活かすには研究が欠かせない。ぼくが考えるゆこうの焼き菓子への使いこなしは、生地に均等に使うのではなく、果汁感が感じられる濃淡を意図的につくりだすことではないかと思う。howattoさんはシフォンケーキ、マフィンなどの専門店だが、どのように提案するかが楽しみだ。

和歌山県の飛び地にはジャバラがあるように、ゆこうは徳島県にしか産しない。ヒトが開発したものではなく自然交配によるものだ。ゆこうと、ゆこうを育てる生産者に明るい未来があればいいなと思っている。この良さがわかるヒトに味わってほしいのだ。
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posted by 平井 吉信 at 22:35| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年11月08日

なんというチーズケーキ、それも栗チーズケーキ


わかりやすいおいしさってあるよね。松屋の牛めしとかCoCo壱番屋のカレーとか。あるいは巷で売れている洋菓子(営業妨害になるので商品名は上げないけど)のなかにもある。

けれど、出会いでおいしさを出し尽くして奥行きがないことも多いよね。それはSNS全盛の世の中でインパクト重視の味と見かけを求めるからそうなる。いわば「味付け」の到達性が高いだけ。

そうではなくて、いくつかの素材が醸し出す食感、時間軸で感じる出会いと溶け込みが作用して言葉にならないいぐらい心が満たされる。食べることの歓びが極まる感じ。

本日はそんなお菓子に出会った。金曜のみ営業の素材系の焼き菓子の製造販売を行っているhowattoさん。商品は、栗チーズケーキ(650円)。
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クリームチーズの部分を口に運ぶと、甘味だけでない塩味やなめらかさがあって、これが栗チーズケーキの基調となっている。2種類のクリームチーズをブレンドしてあるそう。上質の生クリーム(高脂肪)と合わせた生地の脂分が口の体温で溶けだし、立体的なおいしさが時間軸で飛び出す。ほら、大勢が重なり合って次々と一瞬顔を出していくダンスのように。衛生的な専用工房で、基礎をつくって設置した特注の重量級オーブンで焼くそうだ。

クリームチーズに合わせたのは、徳島産の栗の渋皮煮。何度も炊き上げながら洋酒や砂糖をしみこませていくと渋みが抜けて残り香の風味が漂い(ウイスキーのエステリー香のよう)、それが栗の繊維質の甘味へと溶け込んでいく。栗は選別した大粒のものが入っていて、カットの断面となっているので食べやすい。

もっと食べたいとフォークが無言で動く。クリームチーズと栗だけでもごちそう感があるのに、さらに底に敷き詰めた全粒粉のクラッカーが佳い仕事をする。全粒粉を使うのは雑味や香ばしさが魅力だからだそうで、しっとり感だけではない、それぞれの素材が音を立てて響き合う。こうして幸福感のスイッチが押されて5分間の魔法が終わる。食べることのしあわせって、やなせたかしのアンパンマンの世界観のようだけど、ほんとうにそうだね。

残念なのは季節が限られること。よくある限定商法ではなく、佳い素材を吟味して使うと年に数週間(当店の営業日では数回)しか使えないのだそうだ。商品は半冷凍で提供されるので短時間ならそのまま持ち帰って冷蔵庫で数時間後においしくいただける。帰宅まで数時間かかるのなら保冷剤付きの保冷バッグを用意しておく。

単品は650円―この価格で至福の食の体験が味わえる。ホールは予約もできる(税込5,000円は高くないと思える)とのことだが、当面はシュトレンの製造に全力を注ぐとのことで、栗の渋皮煮の在庫を見て考えるとのこと。「もしかしたら12月に再挑戦することがあるかもしれません」とのことで、栗チーズケーキの情報はhowattoのWebサイト(https://howatto.jp/)でご確認ください。数か月かけてつくりこむ2025年のシュトレンもおたのしみに、とのこと。
posted by 平井 吉信 at 16:02| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年09月15日

イトメンの即席麺でつくる昼食 & おいしいスーパーの弁当


近所の量販店で、イトメンの「野菜と魚介のおだしラーメン」(5袋入り)が198円で売っていたので4袋購入。このラーメンはくどさがなく、自分で野菜たっぷり麺をつくるときの基本となり得るもの。近所では売っておらず、通販で買うしかなかったが、この度は大安売り(日にち限定とかではなく売り切れまではやっているのでは?)。

さて、この量販店にはこれまで数回行ってみた。店内をぐるりと回って、何か買わなければ見るだけでは悪いなと思いつつ、買いたいモノがない店であった(ほんとうにないんだ)。しかもこの日まで店の名前を間違って覚えていた(こんなことおもしろくないので読み飛ばしてね)。

ハンバーグの飲食店に、「びっくりドンキホーテ」というのがある(行ったことはないが、これも間違って覚えていた)。そしてディスカウント店に「ドンキーホーテ」というのがあり、これらは「松や」と「松のや」のように同一資本の系列と思っていた。ところが違うと家人に指摘された。前者は「びっくりドンキ」といい、後者は「ドン・キホーテ」だと。まあ、そのうち忘れるけど…。

マクドナルドをどう略すかについて、「マクド」説と「マック説」がある。ぼくは以前から間を取って「マクドナル」と略してみてはと提案している。あるいは「メクダノウ」(ほったいもいじるな式に)と言語に忠実に発音しながら略してみては?と。

それに倣うと前者は「びっくりドン」と略す。後者は「ドンキホー」(ドンキではどちらを指すか決まらない)と略す。あまり短くすると何が何だかわからなくなるので、言いやすさと覚えやすさ、それに百人一首の○字決まりも参考にしてみた。いかがでしょうか?

さて、イトメンには「チャンポンめん」という商品があって、これは入手しやすい。野菜をたっぷり入れたラーメンのベースになるもの(ぼくはもやし1袋+キノコ大量とかキャベツ半玉ぐらいを入れるけど)https://www.itomen.com/brand/chanpon/special/

ところが、イトメンでも初対面の商品を見かけた。ところは土佐町の末広ショッピングセンター。
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地元では土佐あかうしなども扱う地元で有名なスーパーで店頭を見る限り、自社惣菜を中心に意欲的な経営をされているようにお見受けした。よし、と2個食べることとした。これから歩くのだし…と。

チキン南蛮弁当 637円
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ちらし寿司弁当 485円
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店内では徳島県内にはほとんどないCGCを扱っている(徳島では日和佐と牟岐のオオキタさん、高知資本のサンシャイン池田店と海南のサンシャインモアナに置いている)。そのためか、徳島では見かけないNB商品があった。イトメンでは、カレーラーメンと山芋つなぎそばの2種類がそれ(土佐町へ行った理由にはついては後日…)。
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まずは、山芋つなぎそばから。
麺が見えなくなるほどのネギと納豆(北海道産小豆)を載せてみた。自家製梅干しで酸味を加える
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いけるよ、これ。写真を撮ったあとに海苔も浮かべたけど、簡単にできて栄養も問題なし。毎日食べられそうな仕上がり。イトメンの即席麺はそこがいいね。

ところで、高知といえば、芋けんぴだけど、どこがおいしいと思う? ぼくは有名どころを食べてみた結果、南国製菓(窪川の直売店水車亭で買える)かなと思う。澁谷食品(芋屋金次郎)はブランディングが巧み。いま好まれる芋けんぴということで、芋の風味をわざと飛ばして軽く仕上げているけど、黄金千貫の雑味や甘味がしない気がする。地元の人、どう思いますか?

追加
帰ってきてからわかったが、やはり惣菜や弁当では高知県内で有名な店であった
https://kochike.jp/column/86110/

県内で惣菜に力を入れているのは、エムアンドエム・マルナカマート(鳴門市)、自家農園を持つ食彩市場三和(小松島市)、ニシミヤ(海部町)、ビルド産直市わっしょい広場に出品する阿南惣菜センター、さしみならショッピング大黒(宍喰町)あたり。

(ご参考)阿南惣菜センターの弁当(税込)
牛丼 430円
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若鶏照り焼き弁当 458円
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唐揚げ弁当だったかな
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ロースカツ弁当 430円
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エビフライ弁当 430円
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トンカツスペシャル弁当 495円
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豆腐ハンバーグ弁当 430円
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焼肉弁当 430円
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天丼
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サケ弁当 458円
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レバニラ炒め 365円
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おむすび弁当 303円
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辛味噌カルビ丼 430円
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出張の際はいつもお世話になっています、ありがとうございます。

posted by 平井 吉信 at 15:22| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年07月02日

ヤマモモに思いを馳せる6月 野生の酸味とやさしさ甘味と香り高い渋みを味わう(小松島市櫛淵町)


ヤマモモは、ヤマモモ科ヤマモモ属の日本原産の常緑高木で、東アジアにも広く自生する(モモはバラ科モモ属で異なる)。雄株と雌株が存在し、両方が揃って初めて受粉し果実を結実させる。

ヤマモモは古くから日本で親しまれてきた。平安時代には既に食用として利用されていた記録がある。幻の果実ともいわれるヤマモモについての統計資料は少ないが、ヤマモモの主要な産地は徳島県と高知県とされる。徳島県では1965年に「県の木」に指定され、藩政時代には「御禁木」として保護されるなど、ヤマモモが単なる農産物に留まらず、地域の伝統に基づく存在価値を示してきた。高知県においてはヤマモモは「県の花」として指定されている。

なかでも小松島市櫛渕(くしぶち)地区がその中心地である。櫛渕町は、立江川の上流域に位置する集落で、北岸の南斜面が主なヤマモモの産地である。立江川の支流が山を刻んだ狭い谷の平地に集落がある。子どもの頃、親戚のヤマモモ山へ採りに出かけて蚊にさされ蜘蛛の巣まみれになったこと、その後に谷川へ飛び込んだことなどを覚えている。この地区はハミ(マムシ)が多く生息するため、草むらや竹やぶ、道路であっても朝夕の散歩は注意を要する。血縁地縁の濃い地域であり、都市近郊の里山として独特の風情を持つ。また、この地区は菌床シイタケでも日本有数の生産量を誇る。

→ 櫛渕の里山の風情は櫛淵町のタグから

ヤマモモの収穫時期は6月である。旬の時期が2週間程度と短く、収穫が遅れると地面に落下してしまう。農家泣かせなのはお金になる期間が短いこと、短期間に収穫しなければならないこと、収穫作業は非効率でときに危険を伴うことなどである。

その作業はハシゴをかけて手摘みするのだが、ヤマモモの木は上部で横に広がる傾向があるため、細い枝の果実は摘むのがむずかしい。時期がくれば落下するが、地面に落ちた実は商品にはならない。夏本番を前に枝に顔を突っ込んでの手摘みは、ヤブ蚊、スズメバチ、ムカデ、蜘蛛の巣との闘いで、服に果汁が付くと容易には落ちない。さらにヤマモモの木は地元の言葉でサクイ(脆い)ため、毎年のように木から落下する事故がなくならず、なかには落命する生産者もいたという。

これは、実際に体験してみるとわかる。鈴なりになった実を手が届きそうな枝に見つけると、あと少し、もう少しだけと自制がきかなくなる。手摘みの手間と危険、全国的に生産量が少なく、傷みやすいことから青果で流通しにくいため、大多数の人はヤマモモを知らずに過ごすことになる。

その反面、地元の人間はヤマモモを食べたことはあっても、酸っぱくて果肉が少なくやや渋みもあるのでおいしいと思わない人も少なくない。例えばイチゴのように、人に寄り添うように改良され尽くした風味と違って、(飽食の時代ゆえに)野生の強さを宿すヤマモモの酸味と木で熟した天上のやさしさのような甘味は生きる喜びをも感じさせてくれる。

次にヤマモモの食べ方について。ヤマモモの栽培は農薬は使わないため、果肉に白い虫がいることがあるが、これは食べて問題ないとされる。気になる人は食べる前に1時間程度、1〜3%の食塩水に浸けて虫を出して水洗いする。あまり冷やしすぎずに適度に冷やすと良い。

ヤマモモは品種によって風味が異なるので、買い求める際には品種を確かめる。しかも生産者ごとに風味も異なるので、異なる生産者を買ってみて好みを見つけるのも方策。同じ生産者であっても樹木や時期が異なれば、当然風味も異なるし、風味のばらつきを抑える品質管理の技術の差も感じられる。良い生産者はなごり惜しい後味の良さがあり、しかも年代物の古酒のように長く余韻を残す。そんな出会いを求めて直売所へと通うのだ。

櫛渕での代表的な品種は以下のとおり。

瑞光(ずいこう)…ヤマモモでもっとも一般的な品種で、6月上旬から出回る。甘味と酸味が均衡し、栽培しやすさもある。生食用にも使えるが、加工用(シロップ、コンポート、ジャム、果実酒など)にも多用される。昔ながらのヤマモモの風味を代表する。

森口(もりぐち)…生食にも向く品種で、甘味が感じられて水分量も多い傾向があってヤマモモ初心者にもおすすめ。一度購入したら忘れられない体験になるかも。

「大師」と名付けられた粒の大きなヤマモモがある。これが品種なのか商標なのか通称なのかは不明であるが、櫛渕地区からもっとも近い場所にあるJA東とくしまの「みはらしの丘あいさい広場」で見つけたので購入してみた。価格は、瑞光や森口より高い。
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(価格は産地に近い地元の直売所の特例。輸送と鮮度保持に手間のかかる遠隔地での販売や間接費と輸送費がかかる通販ではこの価格設定は困難なことにご留意)

冷蔵庫で軽く冷やして食べてみると、これまで食べたことがないヤマモモの味がする。徳島県人は稀少価値のあるヤマモモであっても路上に落ちている果実を見かけたり、どこかで食べたことがある人が大半のため、やまももといっても、ごちそうという意識はないだろう。しかしこのヤマモモは脳内体験を覆す。
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直径は3〜4センチと大きく、種は小さめに感じる。前歯が種に届く頃には、グジュジュジュジューと果肉から濃厚な果汁が絞り出されて口内に滴る。その酸味の鮮烈さ、糖度の高さが生れて初めてサイダーやラムネに接する幼子の体験にも似ている。そして甘味だけではない、酸味の尖りに加えて、野性味と形容するわずかな渋み。さらに香りが一体となって、それがヤマモモの味わい深さにつながっていることもわかる。
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大師と名付けられたヤマモモでは、自然の果肉の持つ渋みも溶け合った酸味と甘味が果汁の渦となってあふれてくる。その後、数十分から1時間程度はヤマモモの酸味が残る。時間が経過しても唾液あふれる至福の感覚。たまたまやってきた妹に振る舞ったら、感激していた。遠慮して1粒しか食べなかったので、さらに勧めたら大切に持ち帰った。

ヤマモモを加工品として提供している事業所については、情報をさらに集めて追って紹介したい。

最後に、櫛渕地区でのヤマモモ生産者と、この撮影を企画した内村食品工業(株)の内村道子社長、内村社長から依頼を受けたタケアツふぉとの武本淳美さんのご好意で撮影をご一緒できたので、ヤマモモの収穫がどんなものか(困難さを含めて)視覚的に体感していただけたらと思う。収穫作業の撮影をご快諾いただいた地元の方々は櫛渕公民館長の吉岡誠さん、生産者の服部直人さんである。

櫛渕の玄関といえる櫛渕八幡神社
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地区には小さな神社(社)が丘の上に点在する
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タケノコの産地で竹林は空高く萌える
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ヤマモモを摘む際に、どの枝を目標とするか、どこにハシゴを置くかを考える。ハシゴは折り返さず伸ばして使うこともある
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斜面を利用して同じ高さから撮影しているが、高所での手摘みは落下事故のおそれがある
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ヤマモモに身体を預けて樹木と一体化するよう
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光の加減で果実と背景が万華鏡のように見えることがある
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ヤマモモの木の大きさと枝振りがわかる。この樹の品種は、生食として適している森口
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手摘みでていねいに取るのは傷みやすいヤマモモゆえ。画像解析+位置把握+精密制御を持ってしてもヒトの手が持つ繊細な感覚の代替はむずかしいだろう
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ハシゴを伸してさらに枝に足を掛けて木を登っている
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枝を揺すってネットに落とす方法も試みるが、手間はかかっても手摘みが最良であることがわかった。効率的に収穫するには、収穫用の棚(落下防止)を常設して枝の管理を行いつつ収穫期の作業に臨む案も考えられるが、現実的かどうか
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赤い宝石、幻の果実と呼ばれるのは収穫の短さと鮮度保持の困難さによる。でも、温度0℃、湿度100%などの鮮度保持の手法で貯蔵できたら数か月先まで青果として提供できる可能性があるのでは?
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その昔、病床でヤマモモが食べたいとつぶやいて逝った人がいた。夏の太陽は今ほど厳しくなかったとしても、木陰の沢で涼んだ日々は想い出のまま。
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生命の息吹に満ちた里山は、今もそこに息づいている。6月はヤマモモに思いを馳せる季節。
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追記

7月3日の徳島新聞の記事によると、2025年のヤマモモは4年ぶりに豊作となったが、農家の高齢化と人手が足りないため、収穫しきれず生食用出荷量は過去の不作年を下回るとのこと。6月18日に始まったJA東とくしまからの出荷は現時点で最盛期を迎えており、例年より小ぶりで色付きは悪いものの、価格は平年並み(200グラムで400円程度)で、3千〜4千パックの出荷を見込む。やまもも部会の45人中、約20人しか出荷作業に携わっていないとのこと。

ヤマモモは徳島県産が全国の約8割を占め、主に京阪神で販売されているとのことだが、問題の本質は人手不足にある。ただし、今回紹介した収穫風景からもわかるように(菌床シイタケの収穫のように誰でもできるものではなく)繊細な実を枝をかき分けて取る技術が必要でしかも短い期間のみの人手が必要というのが難問。木登りが得意で器用な人なら1日でコツを覚えられるかもしれないので、手伝いたい人(有償ボランティアか無償かは問わず)を受け付けて調整する組織があってもよいかもしれない。あるいは、よい樹木と品種を選んで摘果して選別するのもあるかもしれない(1粒○○円などと)。消費者としては、購入することで間接的に支えながら、初夏の味覚を通して里山に思いを馳せるのもよいかも。

posted by 平井 吉信 at 00:25| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年06月30日

今年の梅酒は鶯宿ではなく、翠香で(吉野川市美郷)


旧麻植郡美郷村は吉野川市に合併したがホタルで有名な川田川がある。山本山という商標があったが、川田川は上から読んでも下から読んでも川田川である。そして美郷を美郷らしくしているのが美郷のみなさんであり、地区が運営する美郷物産館(体験型観光の拠点でもある)である。余談だが、旧美郷村の人は快活で元気な方が多いが、ぎらぎらしていない気がする。

美郷と言えば、梅。標高が高いことと相まって、神山町と並んで青梅の産地。ぼくの梅酒づくりは四半世紀になるけれど、毎年欠かしたことがない。2024年は梅の不作で原料の入手に困窮したけれど、神山町産で賄えた。今年は梅は豊作のようだ。

とはいえ、6月前半は仕事の繁忙期でうっかりしており、気が付くと梅酒に好適な鶯宿が市場から消えていた。そろそろ梅干し用の南高梅が出回り始めているぐらいである。ダメなら仕方ないと美郷物産館に問い合わせたら、梅酒用としては翠香(すいこう)がまだあるかもしれないと、わざわざ翠香の生産者に収穫を聞いてくださって、翌日に入荷するという。翠香は初めてだが、香り高い品種とのことで万難を排して取りに言ったのは言うまでもない。
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梅酒をつくるのは理由がある。まず、おいしいこと。ぼくが飲む限りは自作の梅酒以上の風味には出会えていない。これは当然で良い原材料を理想の状態で使いこなし、1個1個ていねいに処理するからである。原価計算はともかく(計算すると1本数万円ぐらいの値付けになりそう)市販品としては自作のような手間はかけられないので、ある意味では当然のことと思っている(自慢するようなことではない)。
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コツがあるとしたら、よい青梅を探し求めること、そしてそれを1分でも早く処理すること(追熟はむしろ避ける。そんな鮮度感からはスーパーの店頭に並ぶ時間軸では不可で産地に直に買い付けに行く必要がある)。1個1個を焼酎かパストリーゼで拭きながら減菌することで糖度を50%近くまで減らせる。
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抽出時間はやや長くなるし、腐敗の危険も出てくるので市販品では冒険ができないという事情もあるけれど、シロップのような甘い梅酒は夏場に飲みたいとは思えないので。梅の芳香を引き立ててつくると、1年後には得も言われぬおいしさにしあがり、氷の透明な響きと高級ウイスキーのように注ぐ音が響く。夏バテの身心にたまらないと、家族が次々と注いでいく。
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ぼくは夏でもビールは飲まないので梅酒こそすべてと自作の梅干しとともに浸る。睡眠時間数時間の人間でも仕事だけでなくブログの投稿、家事、手づくりは手を抜かない。梅酒づくりは生きる源と感じているから。
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posted by 平井 吉信 at 22:18| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年06月08日

スーパーのピザでもおいしい


スーパーに置いてあるピザといえば、日本ハムと伊藤ハムが多い。そしてときどき特売に出されるのでそれを買っておく。今回は伊藤ハムの「ピザガーデン マルゲリータ」を使って、特売のピーマン1個、特売のトマト1個(いずれも地元産)を載せてみた。
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伊藤ハムの良いところは、食べた後の後味の良さで、旨味成分過多にならず胃もたれしないところ。だから今回のように素材を付加する際に使いやすい。スペシャルティーコーヒーを手煎れしたもので朝食となる。

干し草のような香気と、青い植物の風味を加えるとさらに満足できるものになる。ここでは、ハーブとしてタラゴン、オリーブオイルは常用としていたEVが価格高騰して品質も落ちたので、オッギュのエキストラバージンオリーブオイルを使用。これはカルディで1,000円台で入手でき(特売で購入)、良質で素材を引き立ててくれるし、青いオリーブの魅力も香りたつ。
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調理は、サンヨーのスチームコンベクションオーブンを使って、オーブンで温め、グリルで焼き目を付ける二段構えとしている(スチームは使っていない)。


posted by 平井 吉信 at 11:27| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年04月05日

神保町のあの名店のカレーに近づけるかも


ぼくのカレーづくりは子どもの頃に遡る。好奇心が高じて小学生の頃には一通りの料理はできるようになっていた。どういうわけか、うちの台所は広くて冷蔵庫から電子レンジまで6メートルある。調理器具の主力はガスだが(オール電化にしないのは災害対応のため。アウトドア用の持ち運べるガスバーナーが2機、イワタニのガスカートリッジの高出力機が1台と災害対策も万全)、炊飯器は6台(炊飯専用と保温専用の真空炊飯器、米以外の調理用、マスク乾燥用など)、両面グリルプレート(肉専用)、サンヨーのスチームコンベクション、温度調理電子レンジ2台、オーブントースター1台、スロークッカー1台、ホットデリ2台、精米機1台などが揃っているが、いずれも廉価で全部合せて10万円ぐらいかな。それに測定器(非接触赤外線温度計、芯温計、スケール2台)やタイマー4台が稼働中。

仕事は夜中までやっているが、その合間で調理するのは心がなごむ。といっても、のんびりやっているのではなく、調理中は厨房を走り回る(飲食店のよう。仕込みが終わるとまた仕事に戻る)。調理をすると運動ができる一石二鳥である。

ぼくはグルメでないので外食はほとんどしない。家でつくるので満足していることもある。家人からカレーのリクエストがあったので、きょうは新しいルーを使ってみることにした。それがグリコのZEPPINという商品。

近年の製品改良で減塩仕様となったという
https://with.glico.com/infocenter/column/report.html?number=54748
https://cp.glico.com/foods-tasty/
減塩リニューアル後の商品を、Amazonのレビューを見ると評価が二分されているが、この商品をどう捉えるかで食生活のタイプ、ひいては人生の健康をある程度予測することができると思う。

時間短縮のため、タマネギは炒めず電子レンジとホットデリで仕上げていく。始めて使うルーの味見をしてみると、「これはいける」。ルーはもちろん煮込まない。火を止めて入れて5分放置してかきまぜると、やや冷めるので少し温めて仕上げの香辛料を入れて混ぜたら火を止める。この味だったら、神保町のカツカレーの名店「南海」に近づけるのではとひらめいた。

これはキッチン南海のカツカレー。列はかなり長かったが時間は10数分で順番が回ってきた。黒いカレーが食欲をそそる。大盛りのキャベツも特徴。同店は閉店されたが、後継の店もあるようだ
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旨味の冗長さで味が濁るので、頭のなかで味を描く。酸味を付加したいので(南海風ではないが)トマトを入れる(南海のカレーは野菜の旨味が濃厚だが酸味は尖っていない)。素性が良いので足し算が違和感なくできていく。隠し味に高橋ソース(カントリーハーベストのウスター)を加えると少し南海に近づく。仕上げはガラムマサラで香辛料感を出してできあがり(色彩を黒くするのはできなかった)。写真ではおいしそうに見えないがそれが普段の家庭料理の良さでもあり「絶品」というよりは毎日食べられる吸い込まれ感を究めたという感じ。気に入ったので今度は別のアレンジを施してみよう。
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あり合わせの豚のこま切れ肉や野菜でつくったので見栄えは良くないが、何杯でも食べられるカレーに仕上がった。ハウス印度カレーなどとともに、専門店の風味に近づけるベースとしてはとても良いと思う。


posted by 平井 吉信 at 00:22| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年01月25日

トマトの季節 節約しつつもおいしさを


農作物全体が値上がりしているが、生産者の手取りは増えていないともいわれる。大好きなトマトも2年前と比べて2〜3割ぐらい高くなった印象があるけど、好きなものはやはり回数を少なくしても買いたい。それでもトマトは値上げ幅がまだ抑えられているように感じるのは、施設園芸で出荷量が多いため(競争原理)ではないかとも考えるけど。

地場の生産者では、あいさい広場に出品する樫山農園の「ももりこ」というトマトを買うことが多い。
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糖度、酸味、旨味が濃縮されている。樫山農園さんへは何度が伺ったが、すべてのハウスの栽培環境を遠隔で監視して事務所からパソコンで制御しており(その事務所もITベンダーのような洗練されている)農業のあるべき姿を先取りしている。このほかには鮎喰川の沖積平野の砂地でつくる鎌田農園さん(徳島市国府町)が水遣りの技術とも相まってすばらしい。県内では水の丸高原産もキョーエイのすきとく市に並ぶときに購入する。こちらは高原トマトである。県外ではハローズで常時並んでいる岡山のサラという農場のミニトマトをよく買っている。

スーパーを回っていて、目に付いたトマトがあったので2袋購入してみた(1袋258円は安い)。トマトはこれからが旬であり、楽しみな季節となってきた。

トマトは何にでも使える。少し鮮度が落ちてくると、カレー、鍋、うどん、ラーメンなどあらゆるものに使う。トマトには旨味成分が豊富なので出汁のような役割を果たすが、酸味を付加することで味の輪郭をつくりたいときに使っている。ホールトマトの缶詰は切らさない(ダイスカットよりもホールが好き。調味料要らずでパスタのソースが簡単にできる。隠し味にウスターソースを使うこともある)。

今回は、特売の全粒粉のマフィン(大手パンメーカー)に、たむらのタマゴの目玉焼き、そして岡山のサラトリオ(198円のレタスの仲間の詰め合わせ。値上がりしていないので使う機会が増えた。生で食べると柔らかくておいしい)を挟むこととした。
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調味料はマヨネーズ少々と、キャンドゥに売られているバルサミコケチャップ(少量で使いやすい)。これと手煎れのコーヒーで良い朝食になる。
posted by 平井 吉信 at 12:19| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2025年01月03日

「ゆこう」をつくる生産者に想いをはせて(しろいぬ珈琲/おかだファーム=小松島市櫛渕町)


ゆこうは、徳島県の勝浦川流域に産する香酸柑橘で、スダチとダイダイが自然交配したものといわれる。このブログでは以前から、ゆこうの良さをお伝えしている。この日は、これまで出会ったゆこうのなかで、もっともおいしいと思えるゆこうを生産しているご夫婦に出会って、ゆこうを味わうとともに、お二人のゆこうにかける想いに共感したので記しておきたい。

料理人やパティシエによれば、ゆこうが香酸柑橘でもっともおいしいという人もいる。徳島市の濱喜久さんや、月ケ谷温泉の奥崎料理長、素材系の菓子でいえば、ゆこうのシフォンをつくっているhowattoの伊豆田裕美さんなどはそうおっしゃるのではないか。
→ ゆこうの記事は タグからどうぞ

今回はhowattoさんからの紹介で、ゆこうの生産者で、おかだファームを運営している岡田伸一郎さん(農業はサラリーマンの兼業として)と、農園の広報とカフェのしろいぬ珈琲を担当する奥様の明子さんにお話を伺ったもの。初対面であったのでお話の内容を正確に理解できていないかもしれないが、書いてみようと思う。

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ゆこうとは、スダチ、ユズのような香酸柑橘の一種。その風味はこれまでに知られているどの香酸柑橘にも似ていない。強いて言えば、レモンのようにさわやかな酸味が先行しながらも濃厚なみかん系の果汁のおいしさがふくよかに香る。鮮烈かつ豊潤でありながらユズのような癖はなく、まろやか。香りが鼻腔に立ちこめて、舌だけでなく呼吸によっても味わえる(岡田さんのゆこうは、まず香りで味わってください)。ぼくにとっては、ゆこうのない人生は考えられないぐらい、冬の暮らしに浸透している。ゆこうには、口腔環境や腸内環境を調える作用があることも徳島大学の堤理恵さんらの研究等で明らかとなっている。
→ 研究成果をわかりやすくまとめた資料「徳島クワトロシトロス〜すだち、ゆこうの機能性の探究〜」(PDF)

このブログでも紹介している小松島市櫛渕町(櫛淵町とも書く)は、里山の風景が濃厚な地区。この地で、農業を営む岡田さんご一家は、タケノコ、やまもも、ゆこうを中心に、レモンや伊予柑、甘夏など多品種をいずれも無農薬で栽培されている。おかだファームは、岡田慎一郎さんとご家族で運営している。近年では地球温暖化で冬でも気温が高くカメムシなどの虫害に遭うことが増えたという。虫を防ぐのは人海戦術でやらざるをえない。

それでも無農薬を続けるのは、それが誰かの口に入る食べ物だからであり、手間が掛ってもそうしたいと思っているから。無農薬が尊いというよりは、誰かに食べてほしいと思う気持ちを大切にしているから。いただくときにはその想いを受け止めたい。

おかだファームのゆこうは可能な限り、木なりの完熟で収穫されている。風味の濃厚さはこれまで経験しなかったもの
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おかだファームでも農産物をあいさい広場など直売所に出品しているが、消費者は価格だけで判断しがちである。岡田さんも農園の理念、なぜ、手間をかけてつくっているかという世界観などを伝えていく必要があるかもしれない。

明子さんは、農園に隣接した場所で、おかだファームの果物を使ったドリンクを提供されている。しろいぬ珈琲では、イベントや店先での催事販売も行なっているので、Instagramを参照ください。
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完熟ゆこうと砂糖だけでつくられた飲み物を提供されているが、これまでに味わったことがない濃厚な果汁の凝縮されたおいしさ。ゆこうの魅力が体内の宇宙を音を立ててかけめぐる感じ。
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農園のなかの構築物といっても、薪ストーブもあり、南面のみ開けて冬の北西の季節風を遮るので寒くはない。休みの日にお二人と会話をしながら飲み物をいただくことはかけがえのないひとときとなるはず。ぜひ、一度訪れて、コーヒーやゆこうの飲み物を注文されてみては?
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このブログでは思いや信念を持って行動している人たちを、当事者のご了承を得ないまま勝手に書いている。余計なお世話のブログだけど書かずにはいられないので。

追記
帰りに立ち寄った櫛渕八幡神社のフウの木の紅葉と神社のたたずまいが素敵だった
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追記その2 ぼくのゆこうの飲み方(冬の風物詩)
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絞り器で手絞り(ゆこうを横から見て斜め四つ切りにしておく)
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絞った果汁を蜂蜜かメープルシロップを好みで入れて熱い湯で割る
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口腔環境を調えたり整腸作用がある。風邪の予防にもなっているかもしれない。毎朝の仕事開始時にくつろぎで始められる
posted by 平井 吉信 at 18:39| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2024年12月28日

雪どけ口溶けケーキの場面


おとぎの世界のようなこの一瞬。つくる人がいてこそ。
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雪にとざされた草原の果実のおもむき
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おとなが童心に還る場面の刹那にて
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posted by 平井 吉信 at 19:02| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2024年09月16日

スリランカのカレーも CoCo壱番屋のカレーも 家庭のカレーも みんな違ってみんないい


エアコンなしの夏を何度も乗り切ってきた。それは環境のためでも我慢でもなく、人類は地球温暖化を防げないと見切って、身体を暑さに慣らそうと20年かけて改造に取り組んだため。災害多発期で停電が発生することにも対応するため。

ただし自分はそれでよくても体調の優れぬ家族や高齢者のことを考えてポータブル電源を確保した。エアコンも短時間なら動かせるが、DC扇風機と冷蔵庫を稼働させながら体温を上げさせないことが可能となった。

暑い夏に食べたくなる料理はカレー。そこでスリランカ料理の店、マータラ(徳島市住吉)でカレーランチをいただいた。誰もが描く南アジアのカレーを、日本人向けに調整しつつ最大公約数のおいしさを実現していると思う。シェフはスリランカ人で奥様は日本人(県内のご出身)とのこと。

カレーランチは、ターメリックで炊き上げた日本の米に、チキンカレー、レンズ豆カレー、野菜カレーの3種に、パパタン(豆の粉でつくった塩味のチップス)、なすペヒ(揚げなすのマスタードソースマリネにサラダが付いてくる。徳島では得がたい風味なのに、どこか家庭の味のような親近感。
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その翌日に、CoCo壱番屋のカレーを再現したくなった。店で食べるよりは自宅でたっぷり食べたいので、久しぶりにココイチ再現カレーをつくってみた。

・ハウス印度カレー(定められた分量の2/3)→ 風味も色調もこれをベースにするのが似せやすい
・タマネギはフライパンで炒めず電子レンジで加温後に鍋へ(時間短縮&焦がさない→尖らせないため)
・小間切れの豚肉。ニンニクは焦がさない
・2辛相当に調整するため、赤唐辛子を1本
・夏場なのでジャガイモは割愛(余ったものは急速冷凍するがそれでもジャガイモは避ける)
・ニンジンは中2本(やや多めだが、傷みかけているものを使い切るので。夏バテにはこれぐらいでよし)
・隠し味に、ウスターソース(高橋ソース・カントリーハーベスト)、ムッティのトマトペースト、デカセールのメープルシロップ(グレードAアンバー)
・好みでガラムマサラを追加


オリジナルのココイチの雰囲気を尊重しつつ、家庭用なので具が多いうえ、コクもキレもこちらがあるけれど、べたべた感が皆無でいかにものカレー風味を抑えているので食べ飽きない。胃がもたれないすっきり感と満足感でCoCo壱番屋を上回る

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(何回かお代わりをした後の思い出し撮影なので見かけはご容赦を)
いつもは、スロークッカーや、ホットデリのような通電する鍋を使うのだが、急いでいたのでガス料理のみ。

四国の右下に亜熱帯のグンバイヒルガオが定着しようとしているこの頃、夏が長く秋が短く冬が唐突にやってくるようになったから、カレーを食べる(つくる)頻度が上がっているかもしれない。

posted by 平井 吉信 at 20:56| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2024年06月14日

梅酒とは、いのちの湧き出す泉 


梅酒、梅干しづくりを始めて20年余りになる。梅酒と梅干しは6月の風物詩ともいえるところが、2024年は梅の歴史的な不作。県内では神山町、旧美郷村が産地であるが、徳島新聞の記事では「梅の開花時期の2月中下旬に気温が乱高下した影響で受粉がうまくいかず、実がなりにくかったのが要因」とのことで、「収穫量が例年の1、2割程度にとどまる農家も」とのこと。農家によれば過去半世紀で例がないほどの不作で自家生産用にも事欠く状況とのこと。

美郷地区は梅酒の特区ともなっており、標高の高い生産地でもあるので生産者によっては農薬を使っていない。使っている生産者も安全安心が担保されている。いつもは生産者のお宅に伺って、収穫を終えて戻られる頃を見計らって直接わけていただくことが多かった。電話で伺ったところでは、どなたさまもお断りせざるを得ない状況であるとのこと。

梅の鮮度が香りと味の濃密さに影響していることがわかってしまうと、流通ものでは理想の状況にはならない(生産者が当日出荷している直売所などは例外である)。鮮度の高さは、水に浸して灰汁を取る時間を少なくするねらいがあって、採れたての芳香と相まって酸味が際立ち、雑味がなく透明感が高いのにいくらでも飲めそうな心地よさ。お金を出せば買えるだろうと思われるかもしれないが、やはり自家用と販売用では一粒一粒の手間のかけ方が違う。数万円の梅酒でもこれだけのことはできていないのではないか。誤解を怖れずに(誤解されても構わないが)、すべての飲み物のなかで自作の梅酒がもっともおいしいと思っている。

ぼくは酸味がとても好きで、もしかしてすべての味覚のなかでもっとも惹かれる。トマトやイチゴなども酸味が基本にあって、そこに甘味や旨味が後を付いてくる感じをよしとしている。後味まで濃厚なのに、いつのまにかさっと消えているはかなさ。誤解を怖れずに(誤解されても構わないが)、梅酒のない人生なんて考えられない。

6月になってから直売所を覗き込む。スーパーの地産地消コーナーも見てみるが、価格に驚いてしまう(今年は稀少なので理解はしているのだけれど)。そんなとき、前日に道の駅神山で見たという情報が寄せられた。次の日は日曜なので朝の開店に合わせて来店したところ、潤沢とまではいかないが、かなり並べられていた。数少ない生産量を出品していただけることに感謝しかない。

品種は鶯宿を3袋(約3kg)求めたが、価格は例年と同じぐらいであった。できれば価格はもう少し上げていただいたらと思うのだが。
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袋から出したところ。ありがたさにじんと来る。梅の程度は優秀である(ハネたのは2個のみである)。
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水に浸したところ。水の存在を透明にしているのは梅のつややかな光沢
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4リットル瓶を3つ漬け込んだ。これを1年寝かして1年かけて飲みきるつもり。
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地球温暖化の影響はじんわりとさまざまな影響が出てくるだろう。高齢化が進む生産者が梅の手入れや摘果ができなくなれば梅の木も元気ではいられない。温暖化と農業が直面する問題は食糧自給率が低い日本の最重要課題。ミサイルや戦闘機を増やすカネがあったら真剣に暮らしを考えよ! 消費が増える政策をただちに真剣に実行せよ!
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posted by 平井 吉信 at 23:32| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2024年02月10日

竹鶴12年を再現できないか


酒は飲まないし飲みにも行かない(コロナでなくても)のだけれど、家で少量の酒を味わうことがある。
酒は愉しいときこそ味わいたい。やけ酒や酔い潰れるなんてつまらない。酒は人を堕落させる道具ではないから。

気が付くと、自作の梅酒を筆頭に、日本酒、焼酎、泡盛とそれなりの銘柄が揃っている。ただしビールはアルコール度数0%の龍馬1865と知人のつくるクラフトビール以外は飲まない。

21世紀初頭のウイスキーが売れなくなった冬の時代、西暦2000年にニッカから発売されたのが創業者の名前を冠した初のウイスキー「竹鶴12年」。

ウイスキーブームの現在からは信じられないことだが、ぼくの手元にも山崎12年など現在では数万円のウイスキーがあった(当時は5千円台)。竹鶴12年も2千円少々(1980円のときもあった)で買えた。

その後、NHKの「マッサン」でブームになる頃には竹鶴12年は終売となったが、ぼくの乏しいウイスキー体験ではこれがいまも最上である。初めてこのウイスキーに触れたとき、こんなにおいしい酒があるのかと感動した。食品として表現するなら、甘味、酸味、適度な苦みが次々と顔を出しながらも(ほら、人間が縦に重なって顔を出しながら踊る振り付けのように)、親しみやすく、気品高く、庶民の幸せをボトルに詰めました、とでも言いたげに。

山崎12年の花が溶けてしゅわっと広がる味と香りの洪水もよかったが、基本となる方向性は竹鶴のほうが好きだ。終売となってからは竹鶴17年(4〜5千円)を3本買って、先日その2本目を飲み終えたところ(1本飲むのに5年ぐらいかかっていることになる)。山崎12年の良さを教えてくれたのは、小豆島YHで働いていた青年で料理の腕前が良い人であった。何の話だったかは忘れたけれど意気投合したことを思い出した。

竹鶴17年はもちろんおいしいウイスキーで素人のぼくが語るまでもないのだけれど、ぼくは竹鶴12年のほうが好み。想像するに、ウイスキー冬の時代の製品なので、若くても12年の原酒を、なかには20年を超えるようなものも混ぜていたのかも。さらにモルトを引き立てるグレーンの役割が大きく、飲みやすさにつながったのかもしれない。

竹鶴は余市と宮城峡のモルトを使っているとされるが、余市10年を飲んだとき、これまたピートの苦みという先入観ではなく、ミルクのような浮遊する甘味を感じて驚いた。宮城峡12年(まだ半分は残っている)では濃厚に詰め込まれたウイスキー成分を味わう際に、まずはそのままで、そして少しずつ加水しながら開かせていく楽しみがある。

竹鶴12年を既存のウイスキーのブレンドで再現できないかと思って、候補に選んだのがブラックニッカ(スペシャル。近所のスーパーで税込1600円ぐらいで売られていた)。親父は酒飲みではなかったが、応接室にはブラックニッカが置かれていて、ときどきはコーラ割りなどを楽しんでいた。21世紀初頭はウイスキーが潤沢に選べたので、ニッカからはオールモルトという商品もよく買っていた。顔なじみのブラックニッカ(派生ではないオリジナル)はいつでも買えるだろうと思っていたので。つまりブラックニッカ人生初体験(2024年)なのである。

ブラックニッカ(スペシャル)はシリーズのなかで唯一オリジナルを継承している。その風味も飲みやすいが、決して甘味ほやほや路線やハイボールの引き立て役ではなく、単独でも存在感がある。ある意味では、竹鶴12年の突き抜けたバランス感をやや下げて実現しているように思う。密度感があって香りの開く奥ゆかしさとふくよかであって透明感がある竹鶴12年には及ばない。そこでブラックニッカと竹鶴17年をブレンドしてみたのだ。

その結果、マッサン当時の竹鶴17年(2010年代半ば)と、ブラックニッカ・スペシャル(2024年)を1:2でブレンドしてみたら、竹鶴12年の感覚が味わえたのだ。
良いウイスキーはそれを味わっていた当時の人々との交流を思い出させてくれる。
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追記
サントリーの知多は、新しい銘柄で近所の店で4千円少々で販売していたもの。トップの発言の不快感からサントリーの不買運動を続けているが、これは例外にしてシングルグレーンのウイスキーという新境地を見たくなったので購入。これはこれで新たな地平線を開いたと感じる。ウイスキーの多様な生態系のひとつとして評価される製品と思う。


posted by 平井 吉信 at 12:05| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2024年01月08日

被災地でコーヒーを愉しむ機会があるとしたら


まずは、水、食糧、暖房、風呂とトイレが充足されるのが先決だけど、おいしい水と熱源が確保できたら、熱いコーヒーでしばし気分が良くなることがあるのではと。

そのときのコーヒーは、手軽に入れられてゴミが出ないインスタント。カフェインが苦手な方や夜でも飲めるカフェインレスが望ましい。

そう書くと、味に期待できないと思われるでしょうが…。
カフェインレスのインスタントコーヒーに期待せずに人生を過ごしていたのは同じでした。

ぼくは空腹時にカフェイン(コーヒー)を飲むと胃の調子が悪くなるというか、空腹感が増すのに食欲が落ちるとでもいうか。食前と夜のコーヒーは避けていた(欲しくもならない)。

それでもコーヒーを飲みたくなるときがある(普段は県外から取り寄せた数種類のスペシャルティコーヒーのみを飲んでいます)。仕事を夜遅くまで続ける場合や脂っこい味の濃い料理を食べたときなどにすっきりしたい。

そんなときに、豆を計量して、湯を専用ケトルで沸かしつつ、手動ミルでガリガリと豆を挽き、ハリオのV60ドリッパーにフィルターを装着する。ハリオはあっさり感が出るが、落とし方が早いと酸味が目立つ傾向がある。そんなときはハリオ専用フィルターを使わずに、汎用フィルターで抽出速度を落として煎れる。

いずれにしてもこの段取と手間が億劫になる。ゆえにインスタントでいくつか試してみたが、どれも焦げ臭いのやら酸味の質が悪いのやら苦いだけでコクがないのやら(誰もが知っている著名メーカー数社のブランド)。

そのなかで期待せずに買ったこの製品だけは違った。
このインスタントコーヒーは、ほのかな甘味すら感じるプリンのカラメルのような心地よい香りと苦みや雑味、嫌な酸味のない優れた後味が得られた。作り方は熱湯を注いでかき混ぜるだけ。その際に薄めにつくるのがコツ。そうすると前述の特徴が湯のなかに解きほぐされて堪能できる。ウイスキーをストレートで飲むよりも水割りでやるほうが新たな味が見えてくるあの感じ。

ときに続けて飲みたくなることもある。後味の良さ、ざらつきのないまろやかな透明感、それでいて口当たりのやわらかい芳醇ささえ感じた。いったいどんな技術が使われているのだろう。
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クライスカフェ「カフェインカットのおいしいコーヒー」
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レインフォレスト・アライアンス認証農園産コーヒー豆を100%使用。カフェインはほとんどカットしてもポリフェノールはカットしないとか。

追記
このコーヒーは、近所で売っている自家焙煎のスペシャルティコーヒーよりもおいしい、というとほんとうかなと思われそう。例えば、ノンアルコールの龍馬1865とはヘニンガーのゲステルが通常の缶ビール(アサヒとかキリンとかの著名な銘柄)よりおいしいと思う人はきっと合うはず。コーヒーは焦げ臭いぐらいガツンと来るのがうまい(←ほとんど豆の味がしない)と思っている方は止めておきましょう。




posted by 平井 吉信 at 22:27| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ