2017年12月10日

冬に摘む南国のお茶の世界がほのぼのと。宍喰の寒茶物語


茶は毎日飲むもの。
玉露や薄茶はたまに取って置いて
番茶(徳島では乳酸発酵させたもので全国的な番茶とは違う)や緑茶が日々の茶である。

ところが正月を迎える頃、茶摘みをする地区がある。
徳島県最南端の宍喰町では、
冬の寒さに負けじと厚い葉をわざわざ製茶して
寒茶と名付けている。

寒茶は野良仕事や食卓で飲まれるもので
ぐらぐらと熱湯で湧かして抽出しても苦みやえぐみが出ない。
それどころか、ほのかな甘みや酸味を感じつつ、ごくごく飲む。

ところが昨今では、茶を煎れて飲む人が少なくなってきた。
さらに、煮て飲むとなるとおっくうになる人もいる。
(そのまま熱湯に入れてもおいしいのだが煮出さないと旨味が出にくい)

そこで、湯呑みに湯を注ぐだけですぐに飲めるようにしてみた。
開発されたのは、宍喰にIターンで来られた方。

湯を注ぐだけで誰でも寒茶のもっとも好ましい風味が瞬時に味わえる。
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それどころか通常の寒茶の抽出法では
このまったりとしたスープのような旨味を出すことは難しい。
一見して普通のティーバッグでありながら
寒茶の本質を引き出したところが秀逸。
(通常の寒茶の茶葉からはこの風味は出せないよ)

具体的には茶葉を目に見えないほどの微細な孔を施すことで
旨味を存分に引き出すことに成功した。
しかも煮出すことがないため、風味が濁らず舌触りがなめらか。
(こくがあるのにすっきりしているのはホンモノの食品の共通点)
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もちろん、カフェインやタンニンがほとんど含まれないので
寝る前に飲んだり体調の思わしくない人にも安心して奨められる。
日本で唯一無二のこのお茶「寒茶物語」は
道の駅宍喰温泉の直売所「すぎのこ市」で手に入る。
このブログでも紹介しているように
徳島県南部には見どころがありすぎるので(だから目的地にたどり着けなくて困る)
ドライブがてら出かけてみては?

すぎのこ市場
徳島県海部郡海陽町久保字板取219-6
道の駅「宍喰温泉」内  080-6388-1831
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→ 四国の秘境、寒茶の里の女たち(日経BP記事)

→ かけがえのないこと 宍喰の寒茶のある暮らし そして甘みと旨味が溶け込んだ「寒茶物語」

追記
ほんものとは、決して自ら語らないし誇示しないけれど
それを見つけて共感するだけでも
生きていく力や優しさになるのでは?

タグ:寒茶
posted by 平井 吉信 at 12:15| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年12月09日

東讃のさぬきうどん店 夢見心地のかけうどん 


東讃のある場所で打ち合わせがあった昼、
数年前に開店したうどん店に入ってみた。

外でメニューを見ていると
「なかでもご覧になれますよ」と。
てきぱきとした応対と笑顔の気配り。
それでもファストフード店と違うのは
若い店主と従業員が愉しそうに雑談をしているところ。
そこにいるぼくも愉快な気分。
仕事が楽しいから笑顔が自然に出る。

さぬきうどんの店に雰囲気は誰も期待していない。
ぼくはセルフ店は好きではないが、ここはセルフではない。
そして飾らないのに居心地がいい。
(うるさい活気の店、静まりかえった店、決まりごとを求める店も居心地は悪いでしょう)

そしてうどんが運ばれてきた。
注文したのは、かけうどんと天ぷらの盛り合わせ。
(両方で600円台だったと思う)
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うどんをいただいて何も書くことができない。
これがうどんの出汁かと思うほど、上品な風味。
あくまで澄んでいるが滋味深い。
目を閉じれば夢幻を漂う心地すらする。
(さぬきうどん店はが後味が悪い店が少なくない)
うどん店で心が満たされた唯一の場所。
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引田と白鳥の中間地点にあるこの店の世界観を味わうために、
来る価値があると感じた。
もうこれ以上のうどんには巡り会わないと思えるし
これ以上も求めたくない。
末長くご繁昌を、と願わずにはいられない。


追記
飲食店の店数評価のサイトはあてにならない。
載りたくないのに載ってしまったと嘆く店主が少なくない。
店の許可がなければ掲載しないなどのルールが必要と感じる。
デビューしたすぐの店は世界観を試行しながらつくっている。
それをつぶしかねないのが例のサイトなのだ。
(点数と実力がまったく比例しないことだけが弊害ではない)。
だから投稿しないこと、評価をあてにしないこと。
そうすることで、良質の飲食店を守ることができる。

飲食店を長年続けることは大変なこと。
毎日の決まり決まったことを
経験で判断して仕上がりを調えていく。

いいお店は良質の客を必要としている。
それでいて客を選んでいない。
うんちくを語らない、客に指導などしない、写真禁止など張り出さない。
いつも変わることなく
湯気の向こうで笑顔を浮かべてこちらを見ている。

posted by 平井 吉信 at 21:00| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年10月24日

停電の立川SA そのとき灯りが戻ってきた


高知へ行く途中にある立川SAはよく立ち寄っている(常連?)。
そば粉100%の立川そばが目的だ。
打ち手の都合で一時中断していたときがあったが再開。

台風が過ぎたものの、JRは牟岐線も土讃線も徳島線も止まって身動きが取れない。
高速バスも発車はするが途中で一部区間は高速を降りるという。
(四国の公共交通機関維持のためになるべく使うようにしているのだが)
時間は決まっていて動かせない。
確実な方法は自分が運転すること。
風は強いが昼に近づくと収まってきた。

吸い込まれるように入り込んだ立川SAだったが…。
食堂の灯が消えている。
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厨房に人がいたので覗き込んでみると、
停電で困っています、とのこと。

そうなが。まあでも、やりゆう。
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店長を中心にお困りの様子。

でも、みなさんいい表情。
ポーズをお願いしたわけではありません。
切り撮ったのはカメラの使い手ですから。

幸いプロパンガスは使えるので
立川そばはできるということでお願いした。

外を見ると、見たこともないほど
団体旅行のバスがつらなって入ってきた。
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そばができたとのことで取りに行く(セルフサービス)。

太い麺を噛む。
出汁がぎりぎりのところで絡んでいる。
手打ちのノウハウで麺の表面に隙間があるのかもしれない。
大衆食堂ふうに七味をかけてすする。
(いいです、これでいいです)。
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ごちそうさま、店を出ようとしたとき、ぱっと点灯。
立川SA、停電から復帰しました!
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おばさんたちの顔に心からの笑顔が戻る。
それを見てぼくは、
きょう一日もよく売れますように!と声をかけて店をあとに。
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posted by 平井 吉信 at 22:38| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年10月22日

台風に備えたら県西部の脇町まで出かけてみる


台風が近づいているというので
仕事の合間を縫って準備を行った。
・飲料水の確保
・食糧の点検
・必要な機器のバッテリーへの充電
・ガソリンの補給
このようにして台風の準備を行っていると
それもかけがえのない時間に思えてくる。

準備が調ったので
雨が降っているが外に出てみよう。
雨脚が強まることを考えれば山間部や県南へは行きにくい。
そこで脇町あたりがいいだろうと県西部へと出かけた。

先日は直心庵でそばを食べたし昼を食べたあとなので
今回は楽庵へは行かないけれど
おいしいそばを提供することを求めつつ、
それだけにとどまならい心地よい空間をご夫婦が提供されている。
(距離が離れているので常連客ではないが自分の家に行くような感覚)

写真は少し前に行ったとき
さらそば
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生粉打ちそば
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脇町といえば、うだつのまちなみ、みまから、あんみつ館、オデオン座など
観光の見どころはあるけれど
菓子といえば、川田光栄堂ははずせない。

ていねいな菓子づくりはもちろん、新たな挑戦の気風も感じられる。
定番の「麦団子」はあん入りとあんなしがある。
万人向きはあん入りでこれは抹茶やすっきりとした緑茶でいただきたくなる。
あんなしは、菓子の地の魅力をそのまま打ち出した素朴かつ大胆なもので
これを出す店主の心意気が感じられる。

「脇美人」は、赤飯をはさみ、栗を載せている独創的なもの。
今回は、「麦恋し」も求めてみた。
見た目は地味で
流行の正方形の画面では映えないかもしれないが
(Instagramを見たいとは思わない。薄っぺらで)
その世界観は突き抜けていると思う。
素材を磨いて突きだしたかのようだが
そこに滋味あふれる和菓子の言葉が込められているよう。
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雨は降っている。
吉野川北岸をさらに戻っていく。
阿波町に入ってカフェを見つけたので立ち寄ってみた。

お店の入口には山で見かける木が窓の一部だけを隠す。
(というよりは窓からの景色にやさしさをめぐらす)
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店内には厳選された本が置いてある
(お客様がいらしたので撮影はしていない)
窓際に席を取って雨の舗道を眺める

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料理を待つ間に興味のある本を読む
「睡眠負債」について書かれたもの。

新作メニュー、マルゲリータのピザが運ばれてきた
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用の器、素焼きの印象の大谷焼にしては珍しい
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オリジナルブレンドコーヒーに、店主が読み集めた小説や絵本、
お母さんが家族のためにつくる手作りの「ハハゴハン」をご提供することで
「何度でも通いたくなる大人がくつろげるお店」になれればと店主の米倉恵さん。
2016年9月28日にオープンされたとのこと。
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ご自分の店を持つことは、自分の小宇宙をつくることであり
自分が生きる場所(活きる場、ステージ)で輝くこと。

コーヒー×本×ハハゴハン めぐる
阿波市阿波町大道北50-1
(徳島市内からだと、県道12号鳴門池田線沿いでアワーズ、ドルチェ、さらにコメリを過ぎて左手すぐ)
080-9838-2942
日曜定休 
9時〜17時30分(朝ごはん9時〜11時、ランチ11時30分〜13時30分)


雨のドライブも悪くない。
いや、最初から確信していた。
雨の日だからいい。
雨音はショパンには聞こえないけれど
雨の音はしっとりと歌い出すミディアムテンポの音楽のように
平穏なリズムで木訥に刻みながら
次に来る雨上がりを待っている。
雨はいつか上がるのだから―。


posted by 平井 吉信 at 13:49| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2017年09月30日

トマトラーメンが食べたくて…。


この店舗は店によって味が違う(質が違う)。
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以前は東予(具体的な地名は書かない)にて
出来損ないのようなものが続けざまに出てきた。
それ以来、東予ではこの店に行かなくなった。

徳島ではこの店が一番最初だったと思う。
期間限定で出ていると聞いたので。

以前にこの店で食べたのはこれ。
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三度のご飯よりもトマトが好きなので
カレーやみそ汁、鍋、そうめんつゆにはいつも入れている。
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鶏肉やパスタなどの定番料理もトマトをベースにつくる。
見映えはしないが、風味は佳し。
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トマトを使えば失敗なく誰でもおいしくできる。
魔法の食材といえばトマトでしょ。

この日食べたのは、温かいトマトラーメン。11月上旬までやっているようだ。
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良かったよ。

ところで、なぜトマトかって?
吉野川の夕陽を見たから。



posted by 平井 吉信 at 23:32| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ