2014年05月25日

黒沢湿原に舞う朱色の花弁 また湿原に遊んでもろた


日中は初夏の陽気が感じられるこの頃、
身体感覚がようやくほぐれてきた。
道を歩いていても
ナンバ歩きで風をするりと抜けていく感覚。

宇宙の方程式はかなりの部分が解明されてきたが、
人の方程式はどうだろう。
高校の教科書で習ったのは、
人の生き方=f(x)kn(どう認識する)×1/2(Σやるorやらない)

記憶では、
経験知に基づいて事象をどのように捉え(認識)
次に何をする(しない)の選択肢の連続する時間軸を座標にしたものでなかったか。

この方程式を変形すると、人生が認識指数と経験密度の積の極大化となり、
長く生きることの価値として健康や生活環境に気を配り、
充実感や使命感を持って生きることことで利他指数も上がるというもの。
忘れかけていたが、思い出した人も多いだろう。

5月のとある晴れた土曜日、
池田町の山間部の標高550メートルに位置する黒沢湿原が呼んでいる。
ということで昼を過ぎて自宅を出た。
(午前中は自宅で密度濃く過ごしたので)
高速道路を使うことで経験密度が希釈されないように配慮。
そして14時半頃に現地に到着。

D7K_9650_NX2.jpg

ここで黒沢湿原について簡潔に記述。
四国で最大規模の湿原でかつては水田があり、
胸まで泥につかりながらの農作業であったという。
1965年にサギソウを含む黒沢盆地を県の天然記念物として指定。
その頃には、サギソウを守る会、黒沢観光開発協会などの地元有志の活動があった。

転機となったのは1990年。
湿原の周囲の山をゴルフ場にするという計画が持ち上がり、
(周辺の山が裸になれば湿原は存在しなくなるだろう)
黒沢の自然を考える会では啓発の勉強会や立ち木トラスト運動を展開。
(地元ではほとんどの人が計画に反対であった)
さらに徳島県自然保護協会の見解や署名活動等により
計画は白紙撤回された。
この運動に縁のある方からいただいた書籍(写真集)が
黒沢湿原 野草百花」(著者・発行者:頭師喜久夫氏)。
希少種だけでなく
黒沢湿原に見られるほとんどすべての山野草を掲載する
意欲的な編集がなされている。
→ 四国放送の記録を参照
http://www.jrt.co.jp/tv/asa630/2004/0404spot/04081.htm


5月も下旬になると
トキソウの季節が始まる。
(サギソウは8月でまだ早い)
トキソウは、ラン科の植物で湿原などの日当たりの良い場所に自生する。
日本の国鳥トキに似て優美でコケティッシュな媚態を見せるが、
野草マニアの乱獲などで各地で絶滅の危機に瀕している。
黒沢湿原では、黒沢湿原を守ろう会が保全や啓発の活動をされている。
→ http://kurozoumamoroukai.web.fc2.com/index.html
YouTubeでの活動紹介
→ http://www.youtube.com/watch?v=2rMQ0tl8DX8

同会のWebを見ると
相変わらず山野草マニアの盗掘が絶えないとのこと。
盗掘しても育てることができないで枯らしてしまうだけ。
生態系の正しい知識があれば持ち帰ることはあり得ない。
遠いようでも生態系について幼少時から学習する機会を設けることと
場合によっては監視カメラの導入なも仕方ないと考える。
(一部の心ない連中のためにため息が出る。大多数の人は静かに見守るだけ)。

そのトキソウを眺めつつ
湿原の初夏の空気に浸ってみたいと思って出かけた。
でも、花の時期よりも早いのでもしかしたら見つからないかもしれない。
(行けるときに行かないと人生は後悔するという方程式に従ったので)

ウマノアシガタ? ミツバツチグリ? 
それともヘビイチゴ?
花のかたちからは区別が付かないが、
頭師さんの著作を参照すれば一目瞭然。
葉の形からミツバツチグリとわかる。
DSCF1806.jpg

湿原の木道を歩く。
湿原から周辺の山へと続く踏み跡がいくつかある。
湿原を見下ろす展望台もある。
ここへ上がれば
湿原と違うさわやかな風に吹かれる。
今回は森の踏み跡も辿ってみようと思う。
DSXE2955-1.jpg

D7K_9136.jpg


歩き始めてすぐに心のありかが変わる。
自由な空の下、萌える湿原の輝きを感じながら歩く。
緑の照り返しは湿潤な目薬のようにしみる光となり、
太陽の光に反応する皮膚の温度は生命の温もりを発散。
木道をコツコツと響かせると
春ゼミが通奏低音で支える。

DSXE2957-1.jpg

歩き始めてとある一角でトキソウを見かけた。
今年一番早い花かも。
木道の近くだけど拡大したいので一眼レフに望遠レンズを付ける。
手持ちで微妙に角度を変えつつ
手前の草をフレームアウトさせる。

どんな山野草にもいのちがあるけれど
稀少な山野草はやはり特別な扱いが必要。
木道にしゃがみこんでトキソウの目線で眺めたり
ファインダーごしに風のやむのをじっと待つ。

このような状況では大きな一眼レフは使い勝手が悪い。
(どうしても前に草が入ってしまう)
ならばと小さなデジカメで木道から手を伸ばして
細心の注意で花の前でシャッターを押してみる。
カメラはフジのX20。花に1pまで接近することもできる。
焦点距離が短いので手ぶれしない、
ミラーがないのでショックがない、
ミラーレス一眼のフォーカルプレーンシャッターよりも揺れが少ない。
結果、映し出される写真は活き活きとしている。

しばらくはカメラやレンズの違いによるトキソウの姿を。

ニコンD7000と望遠70-200/4
D7K_9172-1.jpg

D7K_9183-1.jpg

D7K_9245.jpg

D7K_9252-2.jpg

フジX-E2は生態風景として
DSXE3019.jpg

機動力のあるフジX20

DSCF1686.jpg

DSCF1689-1.jpg

DSCF1719.jpg

DSCF1757-1.jpg

DSCF1767.jpg

DSCF1815-1.jpg

湿原は希少種だけが見物ではない。
湿原そのものが天然の癒しの舞台装置である。

歩道の角を回ると新たな光景が飛び込んでくる。
行きと帰りでは散策の向きが変わるが光の具合も変わるため
別の風景にも見える。
愉しい。飽きることがない。
気がつくと夕方だった。
ひとりで3時間も回遊していたことになる。
(それでもこの日は数人の人に出会っただけ)。

一眼レフ(D7000)とマクロはクローズアップ用に。
日陰で群生しているのはムラサキサギゴケ
D7K_9139.jpg

見落としそうな小さなヒメハギ
D7K_9141-1.jpg

野アザミが噴火口のよう
D7K_9266.jpg

D7K_9274.jpg

ニワゼキショウ
D7K_9268.jpg

ミラーレスのフジX-E2は光と影が明滅する風景に。
DSXE2979.jpg

カエデが湿原の影絵となる。
PCの画面で気付いた。左上で妖精が戯れる?(D7000+70-200/4)
D7K_9220-2.jpg

湿原も一部では乾燥化が進んでいるような気がする。
山の保水力の問題か、堆積物の増加による水深が浅くなる現象か。

枝分かれする湿原を辿っていく。
DSXE2941.jpg

針葉樹の森を向けて平坦な森に出るとそこは湿地。
DSXE2949.jpg

さらに湿地を下るとあずまやに出た。
ここは湿原北部のはず。
小径をたどりながら湿原とまわりを囲む丘の
立体構造を頭に描いていく。これが愉しい。
DSXE2952.jpg

湿原の細い水路はやがて湿原の南端で2つの滝となって落ち
松尾川に合流する。松尾川は祖谷川に、祖谷川は吉野川に、
吉野川は紀伊水道に。
水の輪廻転生が見える。
DSXE3002.jpg

湿原の一角で木が倒れて土がめくれあがり
水面に影を落とす。
明るさの極まりに在る幽玄の美しさ。
DSXE2996-1.jpg

DSXE3012-1.jpg

DSXE3013.jpg

DSXE3016.jpg

白の貴公子のような蛾(D7000+60/2.8micro)
D7K_9264-1.jpg

ノアザミは湿原に何を訴える(X-E2+14/2.8)
DSXE3054.jpg


大きなシダはミニチュアの森のよう(X-E2+14/2.8)
DSXE3055.jpg


これはユリ?
DSXE3007.jpg


山に囲まれた盆地の湿原に影が長くなってきた。
夕方までに自宅へ帰らなければならない。
また、湿原に遊んでもらった―。


→ ハスづくし、真夏の湿原 阿波池田の黒沢湿原(2013.7.13)

→ 真夏の湿原再び 黒沢湿原でサギソウと仲良しのキキョウを見た(2013.8.3)
posted by 平井 吉信 at 19:16| Comment(2) | 山、川、海、山野草
この記事へのコメント
このシダの名前は知りませんか?
Posted by ちごゆり嘉子 at 2018年12月07日 08:09
コメントをいただき、ありがとうございます。
残念ながらわかりません。
牧野博士がいればすぐにわかるのでしょうが…。
Posted by 平井吉信 at 2018年12月07日 10:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: