対角線に移動するのなら四国は広い。
時間距離ではグアムに行けてしまう。
東へ向かえば静岡辺りか。
その四国を40日かけてめぐるのが四国巡礼。
空海の遺徳を偲びつつ四国の風土と人々の思いにふれるうち
蘇生して戻っていく。
仕事で宇和島へ行くことになった。
前回は2008年11月だったので久しぶりとなる。
距離が長いので公共交通を使いたい。
車内で仕事ができるし
何も考えずに車窓の風景に浸る極上の時間がある。
物思いにふけるのも一興。
ときどきうつらうつら。
クルマではこの楽しさがないのだ。
高速バスとJRを乗り継ぐこととした。
車窓から印象的な風景を拾っていく。
茶畑と集落がミニパノラマのような里山(阿波池田)。

重信川沿いの麦畑と豊かな木陰を小径に落とす河畔林。いつ見ても惚れ惚れする(川内付近)。

特急宇和海に乗り込む。美人の車掌にときめきつつ、
肱川と大洲城を上手に鉄橋を渡る(伊予大洲駅通過後)。

卯之町(山田屋の本店があったはず)を過ぎて宇和島に到着。
宇和島駅前通りの商店街

歴史的建造物を活かした木屋旅館
中を見せていただこうと思ったがお留守であった。
http://kiyaryokan.com/

宇和島といえば、真珠、闘牛、リアス式海岸、柑橘類、じゃこ天、鯛めしと名物揃い。
あいにく木曜日に訪問したので商店街は定休日のお店が多かった。

良い雰囲気の花屋さん

夕暮れが迫る。宇和島の賑わいは「きさいやロード」(アーケード商店街)から。
この地域の独立商圏を担う商都であり、
通常の地方都市の商店街のような最寄品ではなく
着物やアクセサリーなど買回品の店が並ぶ。
かつては南予一円から集客したという。


宿泊したビジネスホテルが奥に見える。
施設は古いが心配りが行き届いた宿で
もう一度泊まりたいと思える宿だった。
風情のある川沿いにあり、川を下ったところの料理屋に行くことにした。

街なかを流れるのにこの水質。

もちろん鯛めしを注文。
自分で醤油漬けの鯛やわかめをご飯に載せて食べる。


翌朝、市街地にある宇和島城へ登ってみた。
実は夕方訪れたところ、時間切れであった。
宇和島城は国宝のため、城はふもとの門で施錠される。
管理人の方から宇和島城の由来などを聞かせていただいた。
朝6時には門を開けるとのことで
ジョギングや散歩の市民が多数訪れるという。

石段をどんどん登っていくと城壁が見え隠れする。

宇和島城の井戸がある。かつては城の直下まで海であったが
いまでは海岸線が後退してまちになっている。
裏を返せば土地が低いので津波の心配はある。
ただし、宇和島は湾の奥にあるため、
津波が弱まる可能性と狭窄部で高くなる怖れの両面があると推察。

ここは山野草の宝庫。
ていねいに標識をつけてある。
ドクダミは清楚な花を揺らしている。

ついに天守閣が姿を現した。

臨海部はバイパスが通る。

国宝宇和島城


緑に染まる石垣

木陰で舞う踊り子草。

おお、ユキノシタ。
毛の生えた葉は天ぷらにすると美味。
かつてよく野山へ採りに行った。


宇和島駅で買ったのは
唐饅頭と浜田三島堂の善助餅。
どちらも「全国五つ星の手土産」に選ばれたとか。


海岸沿いの集落。かつて南予ではニホンカワウソが多数目撃されていた。

おっ、この川は? 伊予の大河、肱川ではないか(卯之町駅周辺)

小さな小川をJRの鉄橋がまたぐ。実はこれも肱川。
なんと源流は開けたまちと田んぼを縫って流れる里の川。
これから太平洋をめざして南流する。

ところが、北上するJRと出会ったのは、またもや肱川。
(南の太平洋をめざしていたはずだが…)
さきほどの里の川の面影はない堂々とした大河。
(いったいさっきの小川がどこでこんな姿に成長したのか?)

南流する小川を動機付けしてここまで来させた動機とは?
答は全国川選手権に備えてチームを編成で。
JR伊予大洲で下車。
今回は時間がなくて以下の場所は訪問できなかった。
・地域の観光案内と特産品の拠点「まちの駅あさもや」。
(観光への熱心な取り組みで知られる)
http://www.kurarinet.jp/asamoya/
・江戸時代の面影を残し、連ドラの舞台ともなったおはなはん通り、
http://www.city.ozu.ehime.jp/sightseeing/map/ohanahan.html
・昭和レトロのポコペン横丁。
http://www.city.ozu.ehime.jp/sightseeing/map/pokopen.html
架け替えが予定されている肱川の橋から大洲城と鵜飼いの舟。
橋の拡幅で歩道が整備され、
肱北(肱川の北岸をこうほくという)と肱南(こうなん)地区の回遊性が高まる。

昔ながらの商店街


銘菓「しぐれ」を扱う「山栄堂」。ていねいなお菓子づくりをされていると感じる。


JR松山駅近くで食事 ハンバーグステーキを注文。あらゆる点で納得(時計台)

高知県が誇るRYOMAの休日とそのラッピングバス(吉野川SAで停車中)
そのうち「高知家」のバスも出現するのでは?

吉野川の屈曲点。印象的な川風景(吉野川SAから下流へ)。

吉野川沿いの分厚い竹林を見ながら。

訪問先での商店街やお店を訪問し、
車窓から見える人々の暮らしに思いを馳せる。
どんなところにも人がいる、住んでいる。
四国がまた好きになった。
追記
JR徳島駅に到着(ワシントン椰子とクレメントホテルは宇和島駅と同じ)

おっとここにもラッピングバスが(徳島市のトクシィ)

テレビでは「さぬきうどん融資課」を放映中。
(有志や業界がわかる人がシナリオを書いているようだ)。
四国は広い。四国はみんなちがってみんないい。
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