2014年05月21日

南太平洋「ファイカヴァの恋歌」民族音楽の地球紀行はノンサッチで


船が桟橋に着いた。
桟橋には島の酒場があった。
男たちが静かに酒を飲んでいた。
ひとりがささやくようにぽつん、と歌いだした。
何人かがそれに続いた。

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(HMVの犬のようで)

時にかけあい、時に独唱を浮かび上がらせる。
波が小刻みに橋桁に当たっては合いの手を入れる。

 ウミアエコ アシアオタタ ウモハタハク オモマヘニィファ
 ヘタギオイアウエ トイタギオイアウエ
 コイカイテオイ ペーアガフィフィ…

男たちがささやく朴訥な恋歌だった。
こんなラブソングを歌われたら、
女はたまらないだろうと思った。
胸にかけられる一杯の甘酒のようだった。

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(コリーヌの父はスペイン人。魚を採りに漁船でラグーンに出て大漁で戻ってきたね)

酒はさらに進んだ。
男たちはタコ釣りの唄を歌いだした。
木の机を叩いて、櫓がカヌーに当たる音を表現していた。
物哀しいその歌は、
旋律を書き留めることができない微妙な音程で揺らいでいた。
男たちの声は風に吹かれて海の彼方へ消えていく。

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(タニヤの踊りは情熱的だけどクールな知性を感じる)

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(夜になると集まってきて練習していた。そのなかに混ぜてもらったけれど、練習の成果が出ている。踊りの気迫と情念を感じて見入ってしまう)

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(アウトリガーカヌーを礁湖に繰り出す。この日のラグーンは荒れていた)

「空と海」より


《オセアニア》南太平洋の音楽~最後の楽園

リンク先で試聴できます
「ファイカヴァの恋歌」を聞いてみてください。
「イメネ・ツキ」を聞いてみてください。
めくるめく南海の孤島の郷愁がひしひしと迫ります。

この盤は一時30万円のプレミアム価格が付いたこともありました。
(残り1枚となっています。好きな人に買っていただけたらと)
20代のぼくを南太平洋へ誘った音楽です。

民族音楽は言葉の壁と時間と距離の隔たりを瞬時に越えて
心に飛び込んでくる。
ノンサッチは民族音楽をソニーの小型録音機を現地に持参して
生のままの音楽を閉じ込めたレーベル。
未来に受けつぐ資産として日本だけで再発売された。
バリのガムラン、南インドの古歌、カリブ海の陽気な音楽、
ジンバブエのシェナ族の楽器の癒し、
声明のようなチベットの仏教音楽など名盤ぞろいの好企画。
http://wmg.jp/special/nonesuch/

いくつか挙げてみよう。

≪バリ≫ガムラン&ケチャ

《ペルー》太陽の帝国~インカ文明の文化遺産

≪ジンバブエ≫ショナ族のムビラ3

≪ブルガリア≫ブルガリアン・ヴォイス RITUAL

ノンサッチ民族音楽シリーズ

posted by 平井 吉信 at 00:24| Comment(0) | 音楽
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