2014年03月09日

東北に春を告げる「春告げ鳥/山崎ともみ」


春を告げるユキワリイチゲに触発されて
忘れがたい音楽を思い出した。

 春告げ鳥が 野山で鳴いて
 きらきら 雪解け水が
 小川に 注ぐ


その歌は魂がこもっていた。
移動中の車のラジオからニュースを聞こうと
NHKにダイアルを合わせたときのこと。
胡弓の前奏に乗ってしずしずと拡がっていくと、
春を待つ清冽なまでの娘心が歌い出された。

 恋をしました 好きな人がいます
 母さんに まだ内緒です
 母さんに まだ内緒です

 
ハンドルを握る手が止まった。
日本の言葉を慈しむように胸に抱きしめて歌っている。
-この国にまだこんな歌をうたえる人がいたんだ―。
歌の切なさに恍惚とした幸福感さえ感じた。

 短い夏が 駆け抜けて行き
 木の葉が 色づく頃に
 告白します
 おんなじ苦労 させたくないからと
 母さんに叱られるけど
 母さんに叱られるけど

 
初めて恋をしたときのみずみずしい気持ちと
切なさをそのまま閉じこめてしまった…。
なんという歌なんだろう! 
永井龍雲の作品だった。

 夢を見ました 子供の手を引いて
 母さんと 港にいます
 母さんと 港にいます
 大漁旗の 船で肩組む
 父さんと あの人が


(春を告げる蝋梅、神山町)
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山崎ともみさんは岩手県出身で
歌手3年目の27歳の女性だとわかった。
高校を卒業と同時に上京し市川昭介門下生となり、
5年のレッスンを続けて1997年にデビュー。

漁師の父に新しい船を買ってあげるのが彼女の願いだったが、
父は船上で病に倒れて帰らぬ人に。

そんな事情は知らなくても、
亡き父へ寄せる思いの深さが無垢なまま飛び込んでくる。
この曲を聴いて心を動かされない人とは生きていけない―。
そこまで思えたのは、2000年10月に発売されたこの曲。

同じ年齢で大きな夢にかけた女性のことを思い出した。

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春告げ鳥/愛し川

YouTubeで見ることができます。

その後、山崎ともみさんは引退されたと聞きました。
心に届く歌が売れるとは限らないことをたくさん見てきましたが…。

10年後、ご出身の大槌町は壊滅的な被害を受けました。
無事であること、そしてその後のご多幸を祈るばかりです。
この曲でうたわれた小川や港はどうなったのでしょうか。

 
posted by 平井 吉信 at 01:05| Comment(2) | 音楽
この記事へのコメント
平井正信さまはじめまして。
山崎ともみさんのその後は私のブログ「パポちゃんとヨタ8」に書いています。
山崎ともみさんは現在都内に在住です。
東日本大震災の際は津波が実家の手前約20メートルまで押し寄せましたが、奇跡的に被害を免れる事が出来ました。
ご家族も全員無事です。
自宅のガラスケースにはともみさんが高校時代からプロ歌手までの賞状やトロフィーがたくさん飾ってありました。
同じ岩手県大槌出身の歌手で山崎ともみさんの後輩と言えば臼澤みさきさんがいますね。
偶然ですが彼女は2年前にともみさんと同じく有線大賞新人賞を獲得していますね。
ともみさんの分まで頑張ってほしいですね。
Posted by パポちゃん at 2014年12月01日 11:06
パポちゃんさん、
山崎ともみさんとご家族がご無事だとのお知らせ、
ありがとうございます。

四国でも寒くなってきましたが、
まだきょうのような気温だと暖房はなくてもいけそうです。
そちらはいかがでしょうか?

かつて、岩手から青森を旅したことがありました。
東北には縄文までたどる日本の源流があると思うからです。

遠野では、カッパ淵で阿部のおじいさんに
お遭いしました。
早池峰山ではハヤチネウスユキソウに見とれ、
青森では三内丸山に思いを馳せました。

臼澤みさきさんを初めて知ったのは「故郷」です。
同じ「赤とんぼ」をうたっていても
西日本で観る情景とは異なるはずで、
(シンセサイザーを使っている姫神にもそれを感じます)
そんな風土のきらめきと沈着が
歌声にあるように思います。
目の前のことにひたむきでありながらも
遠い視線(未来)を持った歌い手と感じます。

パポちゃんさんの盛岡10-08ナンバーが
軽やかにみちのく路を駈けていく様子を想像しつつ(^^)
みさきさんともども、
ご活躍をお祈りいたします。
Posted by 空と海 at 2014年12月01日 16:57
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