2014年02月16日

全国川選手権に備えてチームを編成


池田高校が春の選抜に出場することになりました。
昭和49年のさわやかイレブン、
そしてその後の活躍については言うまでもありません。
蔦文也監督の言葉が耳に残ります。
「山あいの町の子供たちに一度でいいから大海(甲子園)を見せてやりたかったんじゃ」

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さて、全国の各ブロック対抗で
川選手権が開かれることになった。
そこで、四国の監督を任されたぼくは
オーダーを考えた。
ご存知のように、四国は優勝候補の筆頭である。
(以後も空想にお付き合いください)

川選手権の解説者はその理由を次のように説明する。

(解説者)
四国の川が有利な点は、まず水の清冽さです。
おそらく全国トップでしょう。
その理由は、雨が多いから。
四国の山間部の降水量は3千oを越えます。
湿潤な四国山地に降った雨がもたらすのは豊富な水量。

例えば、吉野川の全長は194qで全国第12位ですが、
基本高水(洪水の想定量)のピーク流量では、
利根川や信濃川を凌いで全国一なんです。

同様に、四万十川、仁淀川、那賀川の水量の多さも際だっています。
たっぷりの水量は自浄作用が高いうえ、
流域人口が少ないので生活排水の負荷も少ない。
こうした理由で四国の川の水質が良いのです。

しかし川は流れる水だけが尊いのではありません。
四国の場合、川が人々の暮らしと濃厚に関わっています。
温暖な気候とあいまって一年中、人の姿が絶えることはありません。
まさに365日の川との関わりがあるのです。
四万十川を中心に専属の川漁師という職業があり、
川の恵みを収穫するだけで食べている人々がいます。

風土、風物詩をもう少し繙いていきましょう。
吉野川には全国一の規模を誇る竹林の帯(水害防備林)が
数十qにわたって続いています。
竹林といっても、分厚いところでは幅数qに達し、
中に入れば密林のように方角がわからなくなるほどです。
善入寺島は竹林に囲まれた吉野川中流の中州で、
大正年間まで3千人が住んでいた川中島です。

その独特の言葉の響きとともに、
日本人に忘れられない川といえば、四万十川。
不入(いらず)山に源を発した流れが
窪川で海の近くをかすめて再び内陸をめざし、
蛇行しながら約二百qを旅します。

ダムがなければその水量の多さ、水質の良さ、流れの速さで
名を成したに違いないのが那賀川。

四万十川の影に隠れていますが、
高知県の仁淀川は四国第四の大河であり、
近年はNHK高知放送局が取り上げて全国に放映されました。
(四万十川も1983年放映のNHK特集『土佐四万十川〜清流と魚と人と〜』で
「日本最後の清流」とうたわれたことがきっかけとなりました。


大雨が降ると水に潜る橋を、徳島では潜水橋(せんすいきょう)、
高知では沈下橋(ちんかばし)と呼びますが、
これは四国の川ではごくありふれた、
けれど、なつかしい風景です。

川で遊ぶ子どもを川ガキといいます。
(川ガキの写真家、村山嘉昭さんも度々四国を訪れています)
→川ガキ

南四国の川では、
4月から11月頃まで出没し、夕方まで川に浸って遊んでいます。
自分が子どもの頃は毎日川で遊んでいたので、
川で遊ぶ子どもが好きで、子どもを川で遊ばせない理由はないと思っています。

(私は親しい身内を川の水難事故で失っていますが、それでも考えは変わりません
 それ以上に危険でありながら黙認されていることがもっとあるのではありませんか?)


いずれにせよ、四国は川ガキの天下。
しかし近年は過疎化の進行で
川で遊ぶ子どもの姿が減りつつあるのは寂しいかぎりです。

愛媛県の肱川は注目です。
冬の肱川嵐と呼ばれる突風、鵜飼いの伝統、
支流小田川での川を愛する人々の活動、
河畔に栄えた商人のまち内子など。
ユニークなのは、下流の大洲市から国道を少し南下すれば
源流域という釣り針のようなカタチをしていること。
(これがさっき見たあの肱川?というインパクト大)

解説者、ご苦労様でした。

それでは注目の川甲子園・四国チームのオーダーを発表します。

1番 海部川(徳島県)
2番 野根川(高知県〜徳島県)
3番 那賀川(徳島県)
4番 吉野川(高知県〜徳島県)
5番 四万十川(高知県)
6番 仁淀川(愛媛県〜高知県)
7番 肱川(愛媛県)
8番 土器川(香川県)
9番 安田川(高知県)

代打 穴吹川(徳島県)
   新荘川(高知県)
   加茂川(愛媛県)
   勝浦川(徳島県)
   面河川(愛媛県)
   黒尊川(高知県)
   津田川(香川県)
   吉野川源流(高知県)

説明しましょう。

1、2番は、事実上の四国一の水質と思われる四国東南部の清流コンピ。
隣接しているので息がぴったりです。
なんといっても上質のアユを産出する流れ。
ダムがないため俊足でヒットを打つ確率が高い。
手ですくってそのまま飲めそうな水は人々を魅了する。

3番は、鷲敷ラインの急流を持つ那賀川。
全国最多雨記録を持つ木頭村を源にし、
剣山の水を集めた坂州木頭川と合流。
流れの早さから来る瞬発力、
かつて村長自ら先頭に立ってダム建設を中止に追い込むなど、
クリーンナップの一番手としては十分。

4番は、吉野川。
源流の想像を絶する美しさ。
巨大ダムで分断されながらも四国山地の水を集めて甦り、
国土交通省をして基本高水日本一の値を取らせ、
大歩危小歩危という日本一の長大な渓谷、秘境祖谷を従え、
高校野球で有名な池田町からはくるりと向きを変えて東向きに流れる。
日本の大河で東西に流れる唯一の川であり、
太陽が川から昇って川に沈む。
さらに日本最大規模の竹林が川を囲み、
かつて3千人が住んだ大きな中州を従え、
河口から14キロにある豊かな生態系を誇る第十堰は、
250年間の人と川の関わりの歴史を刻む。
この未来に継承する資産を住民の力で守り、
日本の民主主義の夜明けを開いた。
最後はラムサールにも登録された河口干潟。
シギ、チドリ、シオマネキなどの宝庫で世界的にも貴重といわれる。
これだけの川資源を持つ吉野川なら全日本の4番を打てるでしょう。

5番は、ゆったりと蛇行しながら流れる日本最後の清流四万十川。
川が人々の胸に文学、郷愁として甦る希有の例。
全国からの旅人を癒す働きは長距離砲としての5番にぴったり。
「しまんと」と聴くだけで胸が熱くなる。
源流から河口まで産業振興や環境保全にかける人々の思い(ドラマ)がある。
南四国の雄として永遠にその流れを保って欲しい。
どっしりと構えて、大きなホームラン(全国に向けての発信力)を期待します。

6番は、仁淀川。
特に中流の鎌井田集落のたたずまいは日本の宝。
ゆったりと蛇行するひょうたんのような流域から
算出される豊かな農産物(茶葉や山椒など)を愛用。
吉野川、四万十川のあとを受けられるのはこの川しかない。

7番は、愛媛の雄、肱川。
風物詩と個性は四国一。

8番は、 香川県の土器川。
香川といえば、里山とため池に囲まれたビオトープの宝庫。
満濃池に源を発する土器川は「ふるさとの川」。
讃岐といえば空海。
四国には、千数百年を経て彼の遺徳を辿る旅(巡礼文化)が息づいており、
世界遺産への登録が期待されています。
学問の人でありながら実践の人でもあった空海は
千数百年後の未来へも箴言を残しました。
ため池や棚田,遊水地など伝統の治水から
学ぶべきことがあるはず。

9番は、四国東南部の里の川、安田川。
小さな川ですが、ダムがなく、上流には温泉があり、
ここも良質のアユを産出します。
これでラストから1〜2番までが
四国東南部の清流で打線がつながりました。

次に代打です。
四国一の清流、穴吹川が一番手(なんと贅沢な)。
支流だから代打の切り札にまわってもらいました。

ニホンカワウソの目撃例がある新荘川は太平洋に注ぐ小さな川。
でも旧葉山村の雰囲気はなかなかいいもの。
(でも「ひとりぼっちのニホンカワウソ」、さびしいですね)
http://www.nhk.or.jp/matsuyama/eight/detail_program_08587.html

加茂川は、石鎚山に源を発して愛媛県西条市に注ぐ清流。
うちぬきと呼ばれる水が市内の至るところで湧き出しています。
流域が産する農産物は四国有数の水準を誇ります。
うちぬきとともに、市民の生活に溶け込んでいます。

勝浦川は、四国一小さな町でありながら
元気印の上勝町に敬意を表しました。
棚田をめぐる活動、
木の葉を料亭に出す「彩」(いろどり)
中流の勝浦町のひな祭りなど
思いを実践している流域です。

津田川は、東讃の里山を縫って流れ、
赤土の河原が独特の雰囲気をたたえています。
歩いて渡れそうな水深ですが、
川としてのたたずまいは個性と親しみやすさがあります。

面河川は、仁淀川上流の名称です。
石鎚山の南面の面河渓谷は美のオブジェそのもの。
ぼくの宝物はかつて祖母にもらった面河渓谷の絵葉書です。

黒尊川は、四万十川随一の支流といえるでしょう。
四万十川と合流する口屋内(くちやない)は、
下流にありながら四万十川が山裾を洗う小さな集落。
沈下橋とともに繰り広げられるその桃源郷のような暮らしは
四国の田舎暮らしの白眉。
ブナの森から流れる清冽な黒尊の水が一抹の清涼感を与えるのです。

なぜ、鮎喰川が入っていないのだとお叱りがありました。
徳島市で吉野川下流に注ぐ大きな支流で、
その名の通りうまいアユが釣れる川。
しかも夏休みはカッパ天国となります。

最後に吉野川源流。宝石のような流れは、水の存在さえ忘れさせるほど。

こうして見ていくと、
四国の川は打率の高い清流打線、心を癒す抜群の守備力、
川が人々の暮らしと密接にかかわるチーム力で総合的にはトップクラスですね。

オーダーを組んだあと、なぜ○○川が入っていないのか?
のご指摘、お叱りをいただいております。
例えば、「くじら岩」のある日和佐川なども。
それだけ四国には人の目に触れない宝物が
まだまだ眠っているということでしょう。
Iターンの人、自分だけの四国を見つけてくださいね。

他地域からの挑戦をお待ちしています。
同じようにオーダー組み、理由を書いてお寄せください。
でも四国の川には勝てないだろうな。
降伏して遊びにおいでよ。(降伏=幸福)
(このブログを丹念にお読みいただくとそれぞれの地域がさりげなく紹介されています)
posted by 平井 吉信 at 12:44| Comment(2) | 山、川、海、山野草
この記事へのコメント
四国大好き!!
我が誇り、四国の自然。
徳島で生まれ育ち、松山で学生時代を過ごし、母の故郷は香川の琴平、そして父の仕事は高知室戸の海の恵みをいただく仕事。
こんな僕にとっては“四国”は僕の体そのもの。僕の血肉となって流れています。

四国バンザイ!!
Posted by 村雲雅也 at 2014年02月19日 22:58
村雲さん、こんにちは。
四国4県に関わりがあるのですね。
大街道や銀天街、
海洋深層水やジオパークはいつも近くに感じています。
琴平は小さな頃、家族旅行の泊まりで
行った場所でした。

商業主義ではない
四国の良さを伝えて行きたいと
考えています。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by 平井吉信 at 2014年02月21日 23:32
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