急流を瀬に浮かび上がるナカガワノギク。
落日を目前に、なお輝こうとするのは
生きることへの切なる憧れか。
生きることに満足しきって突き抜ける数日が
人には来るという。
えもいわれぬ幸福感に包まれるとか。
死の二日前、
父は、それまで見たことのないような
満面の笑顔で歌をうたいはじめた。
♪ むかしむかしのそのむかし
しいのきばやしのすぐそばに
ちいさなおやまがあったとさ…
これこれすぎのこおきなさい♪
幼い頃のお気に入りの歌だったのだろうか。
生命の衰えが痛々しい身体から
軽やかに声が響き
赤ちゃんのような無垢の表情で
天井に目を向けていた。
(ああ、突き抜けたのだと思った)
やがて
言葉を発することができなくなった頃、
家族が握る手のなかで、
閉じた眼から涙が伝うのを見た。

誰もが等しくそのときを迎える。
タグ:ナカガワノギク
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