2013年10月13日

海、山、川を眺めながら60km彼方の美容室に通う心地よさ 

徳島県南部へは数え切れないぐらい訪れている。
千回を優に超え、人生の一部にさえなっている。

海部川、南阿波サンライン、日和佐川、赤松川、御世山、鬼ヶ城山、
それから、由岐、木岐、日和佐、牟岐、海南、海部、宍喰の街並み。
渚から岬、海崖、洞穴、島嶼までさまざまな表情を見せる室戸阿南海岸。

きょうは、美容室へとクルマを走らせている。
自宅から60km離れたその美容室には、
ぼくがゴッドハンドと呼ぶ美容師(Hさん)がいる。
還暦を超えた方だろうか。
いつも明るくニコニコ。
でも、手先が見事で惚れ惚れする。

前回の南海地震(昭和21年)のこと、
徳島県南部の浅川の集落に津波が襲い、
大きな被害を受けたことがあった。
赤子や老人など動けない人を自宅から運べず
涙をのんだ家族もいたと伺った。

Hさんはそのことに心を痛めていた。
そこで、力が要らずに誰でも簡単に人を背負える道具を考案した。
数年前、発明協会に出品して徳島県知事賞を受賞した背負い具である。
東日本大震災の数年前のことである。

Hさんは無欲でいつも人を喜ばせようとしているように見える。
だから、曇りのない目でものごとを洞察し判断できる。
そんなHさんが編み出したのが「技シャンプー」である。

この洗い方をすれば、白髪が黒髪になる。
猫の毛のような薄い毛が強い毛となってふさふさしてくる。
それも特別なシャンプーは使わない。家庭でもできる。
(Hさんはやり方をお教えするので家でやってみては?という)
その原理を尋ねてみると、まさにコロンブスの卵。
シャンプー液は、何に対して作用すべきか、すべきでないかを
明確に分けることが可能となるやり方と言ってもいい。
ぼくは理論的に正しいと感じ、納得できた。
なにより美容室で数多くのお客様に接してきたご経験(実績)がある。

もし、そのやり方を本やDVDで広めたとすれば、
髪の問題で悩む人たちに朗報となるし、
簡単ですばらしいノウハウなので、
もしかして印税や講師収入で大金持ちになれたかもしれない。

しかしHさんはそんなことをしなかった。
「技シャンプー」は1000円程度で誰でも受けられ、
その指の動きを真似してやってみたら、と勧めてくれる。
欲のない人なのである。

いつものように気持ち良くカットが終わり、
帰ろうとしたとき、
例年なら年の暮れも迫る頃に渡されるカレンダーを持って
Hさんは、にこにこしてレジに立っていらっしゃる。

そのカレンダーには、衝撃の結末が書かれていた。

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しばらくは話題転換をお許しを。

ぼくの乗っているスバルは、2000ccの4速オートマチックで、
フルタイム4WDである。
車幅は1.8メートルに迫り、車重は1.5トン。
この仕様から燃費はさぞ悪いと思われるかもしれないが、
阿南市内から海部郡の一般国道を約50km走って
到着間近の海陽町内の信号停車時に撮影したもの。
その燃費計の値は写真のとおり。

DSCF6674-1.jpg
リッター18.2km。
(もちろん自宅を出る前にリセットしている)。

この条件はそうそう出るものではないが、
気温27度でガソリンが気化しやすいうえ、
エアコンが要らない温度であることも一因かも。
(まあ、エアコンを点けて走っても16〜17kmはいくので)
燃費向上グッズの類は使っていない。
ガソリンは出光のレギュラーである。
なおこのクルマは、その後のモデルチェンジで
CVT仕様になっている。
それだとリッター20km近く走るのではないだろうか。

このクルマの前に乗っていたのは4ATのインプレッサは、
10年で20万km超だったが、
生涯燃費はリッター15km弱であった。
スバルのディーラーに話したら驚いた顔をしたので
Excelの集計シートを見せたこともあった。

ぼくの運転は道のクルマの流れよりやや早めかもしれない。
決して、後続が渋滞するような運転はしない。
むしろ、前へ追いつきそうになることが多いが、
車間は詰めないようにしている。

ぼくは物持ちがいいのかもしれない。
望遠鏡は中学のときに買ってもらった
高橋製作所の10p反射赤道儀だが、現役である。
机や地球儀、本棚は小学校の頃からだし、
中学の頃に乗っていた自転車は万引に合わなければ
いまも乗っているかもしれない。
カメラも然り。使い込んでいるけれど、
故障はしないし、くたびれた感じにも見えない。

笑われるのを覚悟でさらに書き続けるけれど、
人とモノは何かしら通じ合うもの(=感応)があるのではないかと。
一日クルマを乗り終えて降りるとき、
クルマに軽く触れて感謝の気持ちを伝えている。
おだやかな気持ちでモノを使いながら、
それを何かに役立てようと使っていれば、
長持ちもするし、能力以上の結果を導きだすのではないかと。

このブログの写真は、
ニコンのD7000とフジのX20のいずれかで撮影したものだけれど、
よく写ってくれる。
D7000は、不意の大雨に打たれ
ファインダーを覗いても曇って見えない水滴に包まれても
正常に動作してくれた。
(帰宅後はていねいに拭いて、湿度一定の庫内で保管、乾燥)

(かなり以前に、ThinkPadのS30というノートパソコンをインターネットでお譲りしたことがあったが、購入された方は程度が良いのに驚かれていたようだった。ただしオークションは使わない。相手の顔が見えないし、こちらの顔も見えないので。社会に役立てていただきたいモノがあればWebに掲載して、欲しい人がいらっしゃれば、メールや電話で直接やりとりをするようにしている。モノを通じてその背後にある互いへの信頼感がある限り、オークションはやりたくない)。

人が持つおだやかな気質と、細やかで本質を見抜く洞察力は
なにげない日常を幸福モードに保つ秘訣かもしれない。
また、そんな人たちがいる店へと通いたくもなる。
流通業では、良い店主がいる店では客層も良い。
これを、客筋が良い、または類は友を呼ぶと表現する。

Hさんの美容室はそんなお店なので
徳島県南部(行政では「南阿波」とか「四国の右下」と呼んでいるようだ)の
海山川を見ながら、好きな音楽を聴きながらの1時間少々の時間は楽しみでもある。


結局、人の持つ資質、雰囲気、精神が照らす光は、
モノや店や企業や地域に
得も言われぬやわらかさ、元気をもたらしている。
だから、そんな人や場所に会いに行くんだね。

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カレンダーに記された文言は、
41年営業してこられたお礼の文言とともに
来年の1月でお店を閉められるということを綴られていた。

ただし、Hさんはお元気なのでご心配は要らない。
でも、心なしか寂しそうにも、ほっとされているようにも見える。

ぼくの両親が営んでいた店も
地域に何らかの貢献をしてきたと思うが、
父の死によって歴史を閉じた。

ぼくは、少なくともあと1度、
Hさんの美容室へ行くことができる。
それはありがたいこと。

Hさんの店はHさん自身と一体なので
他人が事業を承継するわけにはいかないけれど
小さな店、思いの込められた店に
光を当てることを続けていきたい。
posted by 平井 吉信 at 23:11| Comment(0) | 生きる
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