徳島はいい。
県庁から20分もクルマを走らせると
田園風景が拡がる。
蛍の飛び交う水辺で水車がまわり
生き物の営みがあり、
人々の暮らしが横たわる。

ここは小松島市田浦地区。
米はこの地区で
生態系に配慮した栽培法を行う生産者から購入している。
除草剤などの農薬は必要最小限にとどめているので
玄米のまま購入している。

だから、米をとぐ前に精米を行う。
毎回、つきたての米を食べるというささやかな贅沢だが、
玄米を毎食食べる趣味はない。
ということで、精米機はいつも七分搗きである。
この状態だと、玄米と遜色なく
ビタミンやミネラル、GABAが毎日の食事で摂取できる。
食物繊維も十分に残っている。
白米よりも旨味やコクが多いので、
たまに白米を食べると味気ない。
21世紀は腸の健康の時代であり、
それを留意する人が長寿のみならず、
(中略。説明が長くなるので端折った)
人生を楽しめることになる。
生産者の方は70代後半で
そろそろ稲作の後継者を探している。
そんな時期に、
玄米の色彩選別器を導入された。
その効果は明白で、
家庭での不良米の選り分け作業は一切不要となった。
七分搗きが胚芽の栄養を十分に残しながら
おいしさと食べやすさと栄養のバランスが良いと
教えていただいたのは、
東京から県南部へ移住された日比正則さんである。
(日比さんのお店が近々リニューアルオープンのご予定)
家の近所でありながら久しぶりに田浦地区を散策。
かつての勝浦川の流路のひとつが山麓を流れ
田畑を潤している。
小川ではトンボが飛び交う。
水草のうえで休む、そして戯れる


意外にも足は棘状。

水路にメダカかと思って近づいて観察すると
ハエ(オイカワ)の稚魚のようだ。
カワムツやイダ(ウグイ)も混じっているかも。


クズの花が頭に葉っぱを載せて避暑気分


イナゴが棲むということは…。

柿の実はまだ夏の名残の風に吹かれる


トンボが整列するのは理由があるのか?

複眼がこちらを見ている



イナゴとも視線を合わせる。生き物同士が眼と眼を合わせることは大切

稲刈り後の田の水たまり

水路沿いの彼岸花

近寄ると花びらは曲芸師

誰が名付けたのか可憐な花にこの変な名前を(ヘクソカズラ)

緑と酸素と光が満たす里山。これ以上何があるのだろう

都市近郊で生物と仲良くやっている農業、
そこには豊かなミクロコスモスがある。
胸がきゅんとなる里山の路地

お社の隣の坂を登れば先祖代々の五輪塔があった

稲刈り後の田に水が溜まり、珊瑚礁の島が現れる

秋空の下、田園を散策するとき、
耳の疾患が深刻になり始めた若き日のベートーヴェンが
自然との対話を求めて散策した渓谷で響かせた
あの音楽「田園」が去来する。
5月の渓谷に行きたいな。
手持ちのレコード、CDでは、
ベーム/ウィーン(日本ライブ)、ベーム/ウィーン(スタジオ)、
ワルター/ウィーン(戦前)、ワルター/コロンビア(ステレオ)、
フルトヴェングラー(各種)、
スイトナー、アバド、シュミット=イッセルシュテット、シューリヒト…。
鎮守の森の豊かさ



歩きながら幸福感が泉のように湧き上がる。
心ここにあらずの夢遊病者のように歩みを進めていく。
生きる原動力をもらったら、
多くの人にお返しをしなければ。
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