2013年07月13日

ハスづくし、真夏の湿原 阿波池田の黒沢湿原

古代のハスが花開いたときいて、
朝から出かけた。
場所は、徳島県埋蔵文化財センターの中庭(入場無料)。

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まるで、ツクリモノのようなデザイン。
進化の過程で「洗練」を受けるのだろうが、
これはツクリモノ感があって、それが古代を感じさせる。

そこから数百メートル離れると
「現役」のレンコン畑で咲いているハス。
もしかして、あなたはそれほど進化していない?

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同じ日の午前中、
そこから数十キロ離れたここは阿波池田の山中。
真夏の湿原を歩いてみたくて。
その湿原は黒沢(くろぞう)湿原という。

トキソウとサギソウがお目当て。
でも、トキソウは終わっていて、サギソウにはまだ早かった。
(そんな気がした。花の時期をはずすのは得意中の得意♪)
それでも真夏の湿原を歩きたかった。
湿原の山野草を指差しながら歩いていこう。

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白い花はオカトラノオ?
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ネジバナは稀少なラン科の植物。見れば見るほどおもしろい。
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ヒツジグサ。ひつじの刻(午後2時)に花開くからとか。
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ハスづくし。
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湿原を歩く老夫婦の幸福な後ろ姿。夏の太陽に溶暗していく。
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これもランの仲間か。ノギラン?
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谷間の湿地ではハンカイソウの饗宴
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この日もっとも多かったのはウツボグサ。
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湿原の南端までたどりついた。滝があった。
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遊歩道が滝の真上にあり、数十メートル下の滝壺を見下ろしている。
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展望台から見た真夏の湿原。蛇行しながら続いていく。まるで人の生き方のように。
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追記

「真夏の湿原」という曲がある。
この曲や「罌粟(けし) 」が収録された
畠山美由紀のアルバム「WILD AND GENTLE」を楽しんでいる。

アルバムの出だし「How to heal」から
けだるい世界に巻き込まれるけれど、
退廃的な匂いはしない。
生きているとつらいことがあるけど、
しっかり向かいあって受け止めていこうよの精神が
彼女の音楽の底流にあるような気がする。

2曲目の「眠ってしまいたい」もそう。
英語詩と日本語詩の作品が混在しているけれど、
そのスイッチは違和感なく切り替わる。
英語詩のときのほうが歌詞の照れがないせいか、
より濃く感じられるけれど、
ぼくは日本語詩の曲のほうが好きだ。

アルバムの白眉は3曲目の「罌粟」(けし)。
弦楽多重奏に導かれ、
「毒薬だね あなたとの恋は」と歌われると、
どんな歌の世界が展開するのかわくわくする。
たゆたう心の動きに合わせて調性(コード)がぴたりと寄り添う。
でも、魔法を信じたくなるような出会いを経験してしまった伴奏、
歌詞、旋律、歌唱が有機的に溶け合って、
まばゆくふくらんでいく。
魂が高く遠くはばたく心地がする。
なんという豊かな時間なんだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=6O-yQvpKcbw

4曲目「花は散り、雲は行く」では、
ためいきのように切々と訴える声に、
チェロのような低弦がからみあい、
幼い頃に食べたキャラメルの甘く切ない。

5曲目は淡々と歌われるけど、
その歌詞は
「あなたの舌と私の舌が溶けて なけなしの理性が 真っ白に消去される」。

アルバムでPOPの躍動感があるのは「海が欲しいのに」。
窓を開けて海辺を運転したくなる。
そのあと英語詩の3曲続いて、
いよいよ最後に近づいてきた。 

「あなたの街へ」が描き出す胸をかきむしられるような美しい記憶。
若い頃、心を弾ませて通った恋人の住むまち。
トンネルをひとつ越える度にあなたに近づく事ができたのに、
いまでは、あなたを待ちながら眺めていた小川が見つけられない…。
音の余韻が部屋をかけめぐりながら消えていくようで。

そして、名曲と呼びたい「真夏の湿原」で締めくくられる。
北の大地の湿原を走る列車の旅に揺られ、
真夏の湿原をかけてみたくなるけれど,
伴奏は旅はまだ続いているといわんばかりに
コードを未解決のまま終わらせる。




※ 黒沢湿原での植物の採集は禁止されています。



posted by 平井 吉信 at 01:18| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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