2013年06月22日

深山に舞い降りた天女 樫戸丸のオオヤマレンゲ


山へを行くのは登山というより森の散策に近い。
通常のコースタイムの2倍から3倍かかることも珍しくない。
歩き方は体幹をねじらず一定の小幅で歩く
ナンバ歩きなので翌日に疲れが残ることはほとんどない。
(日常の疲れを癒すために温泉感覚で山へ行っている感覚)

山の楽しみは森を歩くこと。
そしてそこで出逢う山野草や樹木との遭遇。
それが年に数日しかない逢瀬であることも。

今回は那賀奥の樫戸丸に咲くというオオヤマレンゲ。
森の貴婦人と呼ぶ人もいる。

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土須峠から日本一長い剣山スーパー林道へ入って
約12km先に登山口がある。
前日に温帯低気圧に変わった台風がもたらした大雨で
林道は随所に土砂崩れが発生。
倒木や尖った石がゴロゴロ。
これがタイヤの横腹を切り裂くことになりかねない。
クルマから降りて、斜面を見ながら手早く石をどけていく。

この界隈の砥石権現、高城山、樫戸丸、天神丸といった山々は
スーパー林道がなければ、アプローチから登山まで数日を要したはず。
まさに、猟師や測量士のみが深山幽谷に分け入って辿り着いた桃源郷。
いまは、スーパー林道から汗もかかずに到着してしまう。

ようやく辿り着いた「風の広場」にはシカがいた。
近づいても逃げることなく悠々と草を食べている。
シカの食害が深刻であることを物語る。
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風の広場から、樫戸丸の山頂を望む
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さてと、樫戸丸に向けての登山を開始。
1時間半ほどの尾根伝いは口笛を吹きつつ森林浴である。
森は光と風を自在にまとって
変幻自在の紙芝居を魅せる。
だから、道草をしつつ歩を進める。

見かけた植物は、タツナミソウの仲間、

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イチゴかバラの仲間か。白い花はオオヤマレンゲのよう。
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黄色もある
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フタリシズカ

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トリカブトの仲間(有毒)、バイケイソウ(有毒)。
シカに食べられない植生や
その間に紛れて目立たない植生だけが残っていることがわかる。

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バイケイソウの花を拡大
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ところが、シカの届かない樹木の花は真っ盛り。

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ハルゼミは、ヨーチエン ヨーチエンと鳴いているように聞こえる
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サルスベリの木はなぜ、こんな生き方をするのか?
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森の時間を過ごした大木が尾根沿いに連なる
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開けた森と尾根の樹幹のトンネル、
バイケイソウの群落を通り抜けて
オオヤマレンゲの生息地へ辿り着いた。

ここは金網が設置されていて、
こちらも安心して見ることができる。

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開花がやや早かったせいか、大雨のせいか
花の終わったものが多く、2013年の盛りは2〜3日前ではなかったか。

残った花は本日咲いたものだろう。
それは白い衣をまとってうつむいている。

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そして、
曇り空を縫って太陽の光が斜め上から差し込めた。
そのとき、天女が舞い降りてきた。

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葉裏の陽光を透かしてみる雪の純白がほのかに萌えているよう。
まっすぐこちらを見つめてくる。
こちらもじっと見上げる。

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風もやんだ。シャッターを切ろう。
このときオオヤマレンゲの姿を借りて舞い降りた天女を。

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追記

樫戸丸に行ったら
林道沿いにある唯一の施設、ファガスの森高城(たかしろ)で
鹿肉入りカレーを食べてみよう。

(鹿肉を食べることが生態系保全につながる)

土須峠から北へ帰る人は、岳人の森で京都帰りの料理長の食事を、

→ このブログでも紹介

南へ帰る人は、四季美谷温泉の鹿肉料理に舌鼓を打ち、
→ このブログでも紹介

上勝経由で帰る人は、月ケ谷温泉の薬草料理がおすすめ。
→ このブログでも紹介

(徳島市内へ帰る人はどのルートも使える)
posted by 平井 吉信 at 00:00| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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