2013年03月24日

春の妖精オキナグサに遭う 深紅の目玉おやじに見下ろされて


からだが小さくなったと仮定しよう。
その身体で野山を散策してみる。
舞台はまたも那賀川の河原。
秋にはナカガワノギクが咲き乱れていたところ。

今回は春の妖精に遭いにやってきた。
そのエフェメラルは、オキナグサという。
高校野球の深紅の優勝旗のような色の花びらを持つ。

鷲敷ラインはカヌーの練習のメッカ。
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まずは、スミレの仲間が出迎えてくれる。
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付近は、那賀川本流の豪快な流れのすぐそばに
周辺の山々から湧き出した沢が本流へと注ぐ。
その途中で、岩場と砂をくぐり抜けながら
独特の生態系をつくる。
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沢はところどころで池となり、
孵化したオタマジャクシが生息する。
川の流れの実験もできる。
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生態系の豊かな場所は多様な生命のゆりかご。
生物のひとりとして謙虚になれるし
生きている実感をもらう場所でもある。
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さて、ドラマは始まる。
悪い薬を飲んで
身長は10センチに縮んでしまった。
幸い、持っていたカメラも同じ縮尺で小さくなったので
引き続いて写真は撮れる。

しばらく付近を散策するも、スミレばかり。
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おや、人間の歩く遊歩道の脇で
オキナグサを発見した。
普段の背の高さだと見過ごしてしまいそうである。
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群生している一角に出た。
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双子が同じ仕草をしているから
足を止めて眺める。
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これから花を咲かせるつぼみだろう。
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白い毛で覆われている。
春一番乗りをめざしているからだろうか。
けれど、他の春の草が芽吹く頃には
オキナグサのようなエフェメラルはいなくなってしまう。
時間差で春を生きるのも生存戦略なのだろう。
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何だか威嚇されているような。
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見上げると、大きな目が怖い。目玉おやじのようだ。
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ほんとうは心やさしい春の妖精なのだ。
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空がまぶしいのか、
深紅の花びらはいつもうつむいているけれど、
やがてこの場所が
頭をもたげたオキナグサでいっぱいになる頃には
那賀川の春たけなわ。
野草も次々と主人公が登場する季節となる。

一寸法師になって迷い込んだ人間が
ふと見上げた空に浮かぶのは
春の妖精オキナグサの深紅の太陽。
降り注ぐ陽光に負けない
光のシャワーを浴びている。

福寿草、ユキワリイチゲ、オキナグサ…
この次は、カタクリとシコクカッコソウに遭えるかも。

zzzz zzz z

春眠暁を覚えず―。
ラジオから流れる音声で気がつくと、
鳴門高校が勝ったようだ。

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ワタシハコノママネムリマス
オキナグサのひとりごと。



posted by 平井 吉信 at 00:00| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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