2013年03月17日

四季美谷温泉の鹿料理、そして春の妖精を見に行こう


四季美谷温泉へ行こう―。
朝起きたとき、雲がない空を見て決めた。

数日前の新聞で、
四季美谷温泉ほか4店舗が
徳島県の「うまいよ!ジビエ料理店」に認定されたという報道があった。

さらに、昨日の徳島新聞で
那賀川の鷲敷ラインで
オキナグサが咲いているというニュースが写真付であった。

そして、何より見たかったのは
まっさきに現れる「春の妖精」(スプリング・エフェメラル)の一種、
ユキワリイチゲ。


まずは、四季美谷温泉を訪れる。
地下足袋王子はお客様をクルマでお迎えのよう。

さてと、昼食はやはりジビエで。
なぜ、鹿料理なのか。
温暖化の影響で冬に絶命する子鹿が少なくなり、
天敵がいないこともあって爆発的に増えている。
この鹿が、植林したばかりの若い芽や
貴重な山野草を食べてしまい、
山が砂漠化しようとしている。

しかも鹿の唯一の天敵、猟師が高齢化で減少している。
そこで、鹿を食用として流通に乗せ、
生態系のバランスを取り戻すきっかけになればと人々は考えた。
そのためには、法令と一定の基準に基づいて鹿肉を流通させるしくみと
それを食べる人が必要となる。

棚田に暮らす勝浦川流域ネットワークの谷崎勝祥さんが
鹿について題詠した。

ひゅうと鳴き 棚田に近づく鹿たちよ もみじの山に帰れよ はやく。

それに対して鹿がうたを返した。

去れという棚田の人よ もみじ山 いずこにありや 杉ばかり見ゆ。

せめて食べて供養してやるのが人の役目。
四季美谷温泉ではいくつかのメニューがある。
これは、鹿肉のハンバーグの入った丼(900円)。
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こちらは鹿肉のコロッケが付いた定食(1,000円)。
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眼下に槍戸川(坂州木頭川)が見下ろせる。絶景の温泉で昼下がりも悪くない。この槍戸川を遡れば剣山の南斜面に辿り着く。
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和紙をあしらった内装。おそらく地元の拝宮和紙か。
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対岸にある新居田の滝。
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岩盤に映し出されたやわらかい光の対照。
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場所を代えてユキワリイチゲを探しに行くも、見つからず。
クローズアップすると意外におもしろいフキノトウ。
小さな花が束ねられてひとつの花房となり、さらにそれが集まってフキノトウになる。
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春の妖精のような山野草。これから名前を調べる。
→ サイコクサバノオではないか。
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ようやく見つけたユキワリイチゲの一株。まだ谷間に光は射していない。
頼りなくたたずんでいる。
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冬に耐えて三寒四温の3月、
樹幹を越えて谷間に射す春の陽光に誘われて
白い花びらを開くという。

この花は太陽に恋している。
曇り空では開かない。
快晴の天空から
谷間に降り注ぐひとすじの光線を全身に受けて
しずしずと折りたたんだ花弁を拡げていく。
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そのとき、光が見えたと思える瞬間がある。
人も植物も同じ。
いまは頼りない風情であっても
やがて花を咲かせる。
誰も見ていない谷間で。
posted by 平井 吉信 at 22:42| Comment(0) | 生きる
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