前回(10/8)行ったとき、
ナカガワノギクはつぼみだった。
あれから半月、そろそろ開いているだろうと
午後から鷲敷ラインへ出かけた。
那賀川中流域の急流がつくりだす岩の造形は四国でも有数

鷲敷ラインを背に伸びやかな黄色の花(アオヤギバナ)

岩場を歩き始めて
まっさきに目に飛び込んできたのはナガバシャジン。
好きな花は、キキョウ、ソバナなどのツリガネニンジンの仲間。
まだ、見たことはないが、ユキワリイチゲやカッコソウなどもいい。
しばらくは、ナガバシャジンのうす紫が風にそよぐのを眺めよう。


小さな流れが随所で本流に流れ込む。
その沢筋で見られることが多い。湿った場所に生えるようだ。
自生している場所にいても気付かない人もいるかもしれない。
大水のときに水没することもあるため、
葉っぱが流線型となっている。




川沿いの岩場を渡り歩くが、
ナカガワノギクを見かけてもつぼみばかり。
(ふくらみかけているのはあるのだが)

こうして河原の岩場を歩くこと3時間。
もう帰ろうと思ったが、
もしかしたらと、岩場を覗き込んでいたそのとき。
見慣れないキクの花が川面と水平に伸びている。
もしかしてナカガワノギクでは?
じっと眺める。


自宅に戻って写真を見ているが、
ナカガワノギクのようであり、そうでないようでもあり。
夕暮れは迫っている。
もう充分見たのだから今度こそ帰ろうと思ったそのとき。
さきほどとは少し違う感じの白いキクが
岩にすくっと伸びていた。
そして、凛々しく咲いていた。


昼から夜へ遷移する微妙な光のなかであったが、
穢れのない白さはまばゆいばかりであった。
心に大輪の花が開いた。


昼と夜が交錯する時刻は光の主役が交替する。
これから咲こうとするつぼみが
月の光を浴びて夜露に打たれる。
その時間が長ければ長いほど
ノギクは強くなるのだろう。
そして、太陽の降り注ぐ光を
小さな花びらに受けて輝くに違いない。

追記 生態系について
ナカガワノギクは
日本で那賀川中流域にしか見られない稀少種である。
ときどき山野草を自宅で栽培しているブログを見かけるが
持ち帰るのは厳に慎みたい。
野草を持ち帰る人は、
生態系という概念(微生物遺伝子資源を含む)を勉強して欲しい。
どれだけのお金とノウハウを注ぎ込んでも
自宅でその環境を再現することはできない。
(→ 「バイオスフィア2」参照)
いのちの輝きを失った山野草は泣いている。
トキやニホンカワウソの絶滅のような事件が
地球上のあちこそで毎日起こっている。
盗掘が耐えない現状では、
生息場所は地図で示して周知するとともに
現場は柵で囲って表示をするなどしたほうが良いように思う。
(罪の意識なく持ち帰っている人も何割かはいるだろうから)。
環境レンジャーを置いて監視することは現実的ではないのだから
複数の目で監視するという意味で、
許可なく採集する行為を法令で厳罰化すべきだと思う。
たかが、山野草ではあるが、
自由に手に触れて眺められる日が来ることを待ち望んでいる。
【山、川、海、山野草の最新記事】
- 初冬の勝浦川 秋の名残の雲と
- 春には桜 秋にはコスモス(道の駅 ひなの..
- 秋の空に夏が秋の空に夏が混じった雲さまざ..
- 秋が深まる面河渓谷と鉄砲石川(仁淀川水系..
- 秋が深まる安居渓谷(仁淀川水系の土居川支..
- 名も知らぬ遠き島から室戸阿南海岸へ流れ着..
- 森のしずく 霧に包まれて たくさんの S..
- 雲を眺めて小松島港 朱と空色と 釣り人と..
- いつも行っているとくしま植物園 尾根筋は..
- 我が輩はイナゴ。バッタではない。容姿には..
- 午後の遅い時間は山の黄金のとき 中津峰山..
- 季節はずれでもえい 雨乞の滝から未来を
- 夕方の巻雲(すじ雲)は 何もない一日を映..
- 最終回のらんまんから〜スエコザサ〜
- 今週のらんまんから〜ムラサキカタバミ〜
- 避暑地の選択 南四国なら 川
- 渚と読書
- 深い杉木立に包まれた第20番札所 鶴林寺..
- 大河が蕩蕩と押し流す鎮め(吉野川 川島町..
- 今週のらんまんから〜ツチトリモチ〜