2012年10月20日

初めてみたナカガワノギク 生命の躍動が静まる時間、ついに花開く


前回(10/8)行ったとき、
ナカガワノギクはつぼみだった。
あれから半月、そろそろ開いているだろうと
午後から鷲敷ラインへ出かけた。

那賀川中流域の急流がつくりだす岩の造形は四国でも有数
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鷲敷ラインを背に伸びやかな黄色の花(アオヤギバナ)
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岩場を歩き始めて
まっさきに目に飛び込んできたのはナガバシャジン。
好きな花は、キキョウ、ソバナなどのツリガネニンジンの仲間。
まだ、見たことはないが、ユキワリイチゲやカッコソウなどもいい。
しばらくは、ナガバシャジンのうす紫が風にそよぐのを眺めよう。

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小さな流れが随所で本流に流れ込む。
その沢筋で見られることが多い。湿った場所に生えるようだ。
自生している場所にいても気付かない人もいるかもしれない。
大水のときに水没することもあるため、
葉っぱが流線型となっている。

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川沿いの岩場を渡り歩くが、
ナカガワノギクを見かけてもつぼみばかり。
(ふくらみかけているのはあるのだが)

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こうして河原の岩場を歩くこと3時間。
もう帰ろうと思ったが、
もしかしたらと、岩場を覗き込んでいたそのとき。

見慣れないキクの花が川面と水平に伸びている。
もしかしてナカガワノギクでは?
じっと眺める。

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自宅に戻って写真を見ているが、
ナカガワノギクのようであり、そうでないようでもあり。

夕暮れは迫っている。
もう充分見たのだから今度こそ帰ろうと思ったそのとき。
さきほどとは少し違う感じの白いキクが
岩にすくっと伸びていた。
そして、凛々しく咲いていた。

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昼から夜へ遷移する微妙な光のなかであったが、
穢れのない白さはまばゆいばかりであった。
心に大輪の花が開いた。

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昼と夜が交錯する時刻は光の主役が交替する。
これから咲こうとするつぼみが
月の光を浴びて夜露に打たれる。
その時間が長ければ長いほど
ノギクは強くなるのだろう。
そして、太陽の降り注ぐ光を
小さな花びらに受けて輝くに違いない。

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追記 生態系について

ナカガワノギクは
日本で那賀川中流域にしか見られない稀少種である。
ときどき山野草を自宅で栽培しているブログを見かけるが
持ち帰るのは厳に慎みたい。
野草を持ち帰る人は、
生態系という概念(微生物遺伝子資源を含む)を勉強して欲しい。
どれだけのお金とノウハウを注ぎ込んでも
自宅でその環境を再現することはできない。
(→ 「バイオスフィア2」参照)
いのちの輝きを失った山野草は泣いている。
トキやニホンカワウソの絶滅のような事件が
地球上のあちこそで毎日起こっている。
盗掘が耐えない現状では、
生息場所は地図で示して周知するとともに
現場は柵で囲って表示をするなどしたほうが良いように思う。
(罪の意識なく持ち帰っている人も何割かはいるだろうから)。

環境レンジャーを置いて監視することは現実的ではないのだから
複数の目で監視するという意味で、
許可なく採集する行為を法令で厳罰化すべきだと思う。
たかが、山野草ではあるが、
自由に手に触れて眺められる日が来ることを待ち望んでいる。
posted by 平井 吉信 at 00:00| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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