2025年12月13日

熱帯魚と泳ぐ大砂海岸 初秋に訪れたら


海部川をファルトボード(布製組み立てカヌー)で下っていたら、空色の熱帯色の小魚が泳いでいた。ここは紛れもない淡水(大井の堰のすぐ上流)。海の魚が堰の魚道を遡上したということだろうけど、汽水域にも棲むボラやキビレ、スズキ、川と海を行き来するアユ、アメゴ(サツキマス)などと違って、熱帯魚が川を遡るなんて、そんなことある? 稀少な目撃情報なので書いておく。

熱帯魚とは、死滅回遊魚のこと。黒潮に運ばれて四国東南部の海岸に居着いたものの冬を越せない(WINKではないが、寂しい熱帯魚。なかには越冬するのもいたかも)。それは20世紀の頃から見かけていた。この熱帯魚たちと泳ぐと愉しいよ。それには海の透明度と長時間身体を預けることができる快適さが必要。そこで大砂海岸(海南町)へ行く。

ここは条件がよければ数時間でも海に浸っていられる。浮き輪もシュノーケルも付けず、ゴーグルだけの身軽でいい(ぼくの名刺の裏には「地球の水辺をゴーグルひとつで遊ぶ」と書いてある)。潜るのに飽きたら空を向いて漂う。気が向いたら足を高く上げて水中へと降りる。この動作を気の趣くままに繰り返すと時間が経つのが早い。

この渚は、20メートルぐらいの沖合に波打ち際と並行して岩礁(おそらくは砂留)があり、干潮時には背が立つ水深となる。そこに熱帯魚が多く見られる。波穏やかで水温が外洋より高いからかもしれない。熱帯魚だけでなく地磯の魚、ベラ、ボラ、イサギ、グレ、チヌなども見かける。この浅瀬を越えると目視で水深4〜6メートルぐらいになって、さらに沖合へ半時間ぐらいかけてゆっくり泳いでいくと小さな磯にたどり着く。これらの自然地形と人工岩礁により波静かで潮流のおだやかな渚となっている。

20代の頃、大砂海岸ではいつが快適なのかを調べるため毎月(1月〜12月)泳いだ年があった。その結果、9月中旬から10月上旬がもっとも快適であることを発見(体感)した。9月中旬の四国の平均気温が25℃〜27℃に対して同じく海水温は25℃〜26℃。10月上旬では、気温20℃〜24℃に対して、海水温24℃〜25℃と気温と海水温の差が小さくなって逆転する。真夏の暴力的な陽差しはなくなるが、水温は依然として高く、カツオノエボシなどの猛毒クラゲは離岸し、海水浴客がいないのと水温が適度に下がるので透明度が上がる。こんな快適な渚で海と戯れられる。誰もいない。

大砂海岸は昔から海水浴場だったが、潮流の変化が原因なのか昭和になって海岸浸食が進んだ。すぐ上を通る国道55号線の根固めと観光開発の目的もあったのではと推察するが、元来の自然の渚(小さな砂地や入り江)を残しつつ、1980年代の終わり頃から人工的に砂を投入・造成して1991年に人工海浜として整備されたもの。やはり海岸の浸食防止とレクリエーション空間の創出を目的としたものである。
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かつて徳島新聞の記事では「真水なら飲めるほど」という記述もあったと記憶している。海水浴場としての水質ランクは最上位のAAの常連で、指標のCODは2025年の測定値で0.8〜1.2mg/L、大腸菌群数は検出されず、透明度は1メートル以上。そのため、環境省の「快水浴場百選」特選(全国12カ所のみ)に選定されている。水質は全国指折りであることは間違いない。国道55号線から見える渚を見るだけでも表情が緩む。

大砂海岸の写真については、以下のタグからどうぞ。
http://soratoumi2.sblo.jp/tag/%91%E5%8D%BB%8AC%8A%DD
タグ:大砂海岸
posted by 平井 吉信 at 19:20| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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