2025年12月09日

国民が苦しくなる高市政権に賛同できない理由 ぼくが描く未来への処方箋


なぜ、高市政権の政策が良くないのか? それは優れた考え方の人たちを多く集めて議論する姿勢がなく、独断で決めているからともいえるし、いまの日本に必要な政策が見えておらず方向性が間違っているからともいえる。

失われた30年 政策の総括を行わないと

1980年から90年代にかけての日本企業は、時価総額で世界のベスト10に入る企業の8社を占めていたことがあった。1ドル100円を切る円高で、1995年4月には80円を切った。その頃、ガソリンもリッター80円前後だった。このランキングには不動産高騰の含み益による金融機関も含まれていたとはいえ、製造業も含めて「日出づる国」の経済力だったことは間違いない。だから貿易摩擦も問題となった。

民主党政権下の2011年頃も1ドル75円まで上がったことがあった。日本は小麦などの食糧品も含めて輸入が多いので物価は安かった。民主党政権の評価を行うわけではないが、経済の指標は現在よりはるかに良好で生活が苦しいと感じる人も少なかったはず。

日本の企業が強かった時代は1ドル80円でも競争力があった。法人税率はいまより高く、消費税率は低かった。具体的には、法人税率(国税)は1980年代半ばの43.3%から、段階的に引き下げられ、現在は23.2%(地方税等含む実効税率は約30%弱)になった。一方で、消費税率は1989年の導入以降、3%から10%へと引き上げられた。消費税率については、国際競争力を維持するため経団連(大企業)はさらに上げよと提言している。

けれど日本の企業が強かった30年前、法人税率が高かったので企業は内部留保より研究開発や設備投資、人材確保に回された。これらは日本企業お得意のカイゼンだけでなく、変革にも貢献したと思われる。ところが大企業は内部留保をこの30年で蓄えて太り続けたが、成長戦略を実行しなかったため、日本企業が海外企業に買収されたり競争力を徐々に失った。以下の直近の時価総額ベスト10を見ると、ソフトやプラットフォーム、コミュニケーションツールなどのIT系がほとんどであることがわかるが、失われた30年で日本企業が陥落した要因そのものでもある。

世界の企業の時価総額のランキングの2025年データは以下のとおり。
1位 NVIDIA 米国 情報技術(半導体・AI)
2位 Microsoft 米国 情報技術(クラウド・ソフトウェア)
3位 Apple 米国 情報技術(デバイス・サービス)
4位 Amazon 米国 消費関連(Eコマース・クラウド)
5位 Alphabet (Google) 米国 情報技術(広告・クラウド)
6位 Saudi Aramco サウジアラビア エネルギー(石油)
7位 Meta Platforms 米国 情報技術(SNS・AI)
8位 Berkshire Hathaway 米国 コングロマリット
9位 Broadcom 米国 情報技術(半導体)
10位 TSMC (台湾積体電路製造) 台湾 情報技術(半導体)
(この順位は時価なので刻一句と変動するが大きな順位の違いはない)

日本企業はこの中にないのはもちろん、最上位のトヨタ自動車ですら、2025年11月データでは49位である。法人税率を下げて消費税率を上げることがどんな顛末を迎えたか。それは、物価や原材料費、エネルギーなど企業にとっての原価の上昇、可処分所得が減少した家計は逼迫して値上げすると売れなくなり、企業経営がさらに苦しむ悪循環に陥っている。

大企業を肥やす方向は間違っていたのだ。アベノミクスの3本の成長戦略が成果を生み出させず、大企業を潤しそれが国民に降りていくトリクルダウンの構図は出現しなかった(アベノミクスが総じて成功したという経済学者がいたら教えてください)。大企業は内部留保を蓄えて内部から腐敗していったことが今日の大企業の不祥事や海外企業への身売りなどでうかがえる。

経済の好循環を作り出すきっかけは消費税の減税・廃止から

失われた30年の教訓、総括から、今後行うべきことは、国民一人ひとりの幸福を実現することに尽きる。生活が楽になり、誰もが望む教育が受けられ、健全な食生活を送ることができれば、自ずと教育や娯楽、耐久消費財の購入などが増える。それは規模を問わず企業や商店を潤す。このように連鎖的に好循環が生まれる。

それを阻害しているのは消費税である。まずは一律5%(民主党のお坊ちゃまお嬢ちゃま議員は食品のみ0%を主張しているが意味がない。それで家計の足しになるのか? ティッシュペーパーやドラッグストアで手に入るようなものは対象外で良いのか、税率が2つあると流通は混乱しないのか?)、5%は暫定で時期を見て早期に廃止とする。財源は法人税で賄う(30年の誤りを逆に時計を回さないといけないだろう)。消費税について訴えていた国民民主も選挙が終われば何も言わなくなった。公約のなんと軽いことか。

一人ひとりの使えるお金が増えることは生活が豊かになること、精神的な満足も高まること、企業や商店に落ちるお金が増えることで経済の好循環となり、税収(所得税)が増えることで実は回収できる可能性が高まるのだ。

失われた30年では企業経営は「選択と集中」に基づいて財務指標のみで判断した結果、本来その企業に期待されている分野すら売却されて強い部門だけ残したり、注力されなくなった部門が未来の成長性を阻害(いまの果実を刈り取ったら次のネタがないでしょう)したともいえる。当然顧客も離れていく。そのことがもっとも顕著に現れたのが家電メーカーといえるのではないか。

内需の拡大こそが真の経済政策

日本の名目GDP(約550兆円規模)のうち、内需全体(個人消費、民間投資、政府支出など)で考えると、GDPの約85%を占める。そのうち個人消費(家計最終消費支出)が占める割合は50%以上であり、内需が日本の経済の実態である。つまり、世界経済が減速して輸出が落ち込んだとしても、国内の消費が堅調であれば経済全体が大きく落ち込むのを防ぐことができるのは日本の強みともいえる。

現在の日本経済が抱える構造的な課題は「個人消費の低迷」であり、これを解決して「所得から支出への前向きな循環メカニズム」を働かせることが、経済成長の鍵となる。その足かせとなっているのが消費税(文字通り消費のペナルティ)である。

正の経済循環が回り出せば、企業や商店の売上(利益)が増えて、賃金を上げる原資となる。何度もこのブログで書いているように、現在の賃上げは中小企業にとって負担となっており経営格差を招いているが、賃金を「上げる」施策ではなく、賃金が「上がる」施策(国民一人ひとりが豊かになること)を行うことが王道である。

多様性と防衛について

国民一人ひとりが幸福感を得るためにはお金だけではない。多様性が認められることがお金と同等に大切である。夫婦別姓が許されず、不便や不都合が生じている事実婚夫婦などは少なくない。いわば夫婦別姓が認められないばかりに家族の絆(権利)を喪失している.この制度は、「選択式」なので必要な人が別姓を選べるため、この制度を導入しても不利になる人は一人もいない。それぞれの家庭(夫婦)の選択に委ねるだけ。都合が悪かったら夫婦同姓に戻ることもできる。この政策もコストがかからないのにまったく着手されない。誰も不利にならず費用もかからない政策でなぜ議論が必要なのか?

防衛費の増強も意味不明。台湾有事が勃発するなら海上封鎖が想定される。日本へ南方からの食糧品などが届かないことになる。これは日本にとっての有事といえるので高市さんの「台湾有事は存立危機にあたる」との発言は間違っているとは思えない。中国の作戦行動を考えると、大陸側(台湾の西側)だけでなく手薄な東海岸から挟み撃ちにするのだろうなと軍事に疎いぼくにも視える。中国軍が東海岸上陸のため迂回するとなれば日本近海を通過することになる。その際に領海侵犯や海上封鎖が起こりえるし、台湾上陸を果たした暁は尖閣諸島でも作戦が展開されうる(中国にとって固有の領土なので日本侵略に当たらないと主張するだろう)。

このシナリオからもわかるように、日本から離れた場所で戦闘するのが戦争ではなく、日本の補給路を断つだけで日本国民は困窮する(第二次世界大戦で兵站のまずさを学ばなかったのか)。食糧の自給率を上げることが最大の防衛(しかも東アジアの国に不安を煽らず中国に口実を与えない)となる。

ことは軍艦や空母、戦闘機以前に危機が起こりえる。米の増産を撤回するなど愚の骨頂。食糧の自給率を上げることは国力の強化につながる。防衛省だけの予算ではなく総合的に施策を組み合わせて国民のための国をつくらなければならない。米の増産はしないと宣言して米の販売価格が下がらず、お米券を配付するという愚の骨頂の施策。しかも予算の大半が以下の類似事業の類推から米以外の費用に消えるおそれがある。やらなければならないのは米の安定供給(消費者にとっての米価の安定)と生産者への直接所得補償(特に中山間地域などでの)のさらに有効な運用だ。

(参考)プレミアム付商品券事業などの事務費内訳は、以下のとおり。
印刷製本費(商品券等の印刷): 約19.0%
換金手数料(金融機関等への支払い): 約12.8%
宣伝広告費: 約10.7%
人件費: 約9.7%
(このなかに委託先への委託費用は含まれていない。冗談だろ、お米券なんて→ ほんとうにやるのか?)
→ 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地域住民生活等緊急支援のための交付金)」の交付について(平成29年3月15日報告)

このように、積極財政の内容は有効性に乏しく、むしろ余計な施策によって財政悪化の懸念から円安が進行して物価が上昇しているのだ。

ぼくが考える政治のしくみ

過労のように働く姿から美談のイメージをつくりあげるのもよいが、マスコミもグルになった「高市祭り」に恐ろしさを感じる。高市さんがやろうとしていることは、失われた30年をさらに没落させる方向でしかない古い政治だ。また、維新を巻き込んだことで国会議員の定数削減など、貴重な政治資源を割いていま議論する必要があるのだろうか?

ムダの削減を訴える維新が万博だけは天井知らずの聖域のように膨張予算を放任し、どんな企業が受注してそれがどのように献金されているのか、カジノとの関係はどうなのかを考察すればどうなるか。大阪都構想のような地域利権ではなく、地域主権を進めるのが本筋である。国会議員の定数削減など何をいまさらの感がある。

このWebサイトでは一貫して政治家は増やすべき(いまより10倍以上)と提案している。ただし報酬は年間1百万円程度の有償ボランティアの兼業とする(専業政治家は悪事を働く)。定数が減ると良質の政治家から落選するように見える。権力闘争や資金集めよりも政策立案力や現場の洞察に力を入れているから。

その代わり、統計局を設置して議員の主たる活動の政策立案をサポートする。統計局の職員の身分は政治の干渉を受けないことはもちろんだが、「この政策に合うデータのみを抽出してほしい」のようなリクエストは受けない(統計局は恣意的なデータを希望する依頼を受けない)。また、データの提供に関して組織内の複数のチェックを受けるとともに、必要に応じて専門家の監修を受ける。

議会はオンラインで開催され、障がいがある政治家や子育て中の人、サラリーマン政治家もリモートや夜間に参加できる。そもそも市町村議員、都道府県議員、国会議員などと区別する必要があるだろうか? 国民の政治不信や政治離れが起こっている今こそ議員は増やして、間接民主主義であっても直接民主主義に近づけること。自治に近づけば政治への無関心も少なくなるように思う。そうしないと、悪意のある切り抜き動画のナラティブに騙されて踊らされてしまうよ。変な政策には声を上げていかないと。

ぼくは日本と日本人が好きだから書かずにはいられない。

追記
一部の大企業は腐敗したが、中小企業は善戦している。その分野で世界一、目立たないけれどその企業がなければ今日の世界は維持できないとか不便になるいう技術や製品を、まちの中小企業が担っていたりするのだ。きちんと戦略を描けば補助金を活かすことができる。徳島市の沿岸部にあるとある鉄工所は優れた活用事例のひとつで、確実に補助金を活かしてステップアップされている。経営者の優れた戦略的思考と実行力に社員の力が加わっているからだ。そんな会社を応援したい。中小企業は立派だよ。



posted by 平井 吉信 at 00:20| Comment(0) | 生きる
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