四国の真ん中に位置する土佐れいほく地域は、大豊町、本山町、土佐町、大川村の4町村を含む地域のこと。いずれの町村も早明浦ダムの恩恵と破壊の両面を受けている。
早明浦ダムは四国の水瓶とも呼ばれる巨大な貯水池であるが、大渇水となった1994年に旧大川村を訪れて、当時村の教育長をされていた方(筒井康男さん)のお話を伺ったことがあった。ダム反対運動の傍らで地元の人々が散逸し地域社会が崩壊するなど、巨大ダムの功罪(限界)が見えたのも事実であった。
早明浦ダムを含む吉野川上流部はダムができる以前は桃源郷のような場所であり、佐川出身の作家、森下雨村の随筆集「猿猴川に死す」から「八畳の滝」に描かれている吉野川最上流域のたたずまいに憧れと喪失を感じながら読んだ。
早明浦ダムの下流の吉野川は、カヌークラブの練習場にもなっている。意外にも水質が悪い感じを受けないのは、ダム直下流に左岸から汗見川、右岸から地蔵寺川が流れ込んでいるため。汗見川は川ガキの遊び場にもなっている。かつてシャクナゲを見に白髪山へ行ったとき、汗見川に見とれた記憶がある。
地蔵寺川は、仁淀川からの帰りに633美の里を経由して大豊I.Cへ至る道中でよく目にしている。こちらも里山を流れる佳い川だなと思っている。
嶺北についてはダムの存在が心の障害となって足を伸して来なかった。モンベルの直営店「アウトドアヴィレッジ本山」ができて訪れてみたが、何だかスノーピークのような雰囲気を感じてなじめなかった。デザインは洗練されていないが高性能な山用品を割安で企画販売し、自然と人間を尊重する同社のモノサシがやや「おしゃれなアウトドア」に振ったようで、底辺を拡げるにはいいけれど、一過性のブームを担いでいるような気がしている。
地蔵寺川の左岸に合流する支流の平石川を遡ってみる。こちらも佳い川相である。
入口(戸)のある吊り橋
川沿いの水滴る崖には、ワサビ、イワタバコ、ゲンノショウコ(赤花)が自生している
平石川をさらに分岐した支流を遡ると、三樽権現(みたるごんげん)の滝がある。今回は水量が多めとなっている。
ヤマジノホトトギス(シロバナ)
この川は、吉野川水系なので仁淀ブルーとは呼ばないけれど、同様の資質を持っているように思う。仁淀ブルーで有名になったにこ淵からもそう遠くない。どちらも見てみる価値はあると思う。ただし近年のにこ淵は人が多すぎて静謐な環境ではなくなっているが、自治体の支援で渋滞や混雑緩和がなされているのはありがたい。
本山町から土佐町の吉野川・地蔵寺川以南には棚田のひろがる里山があることを知っていたので訪れてみたいと思っていた。それには、四万十川、四国カルスト、仁淀川、面河渓、安居渓谷などの帰りでなく、ここだけを目的に来る必要がある。それも何度も通いたいと思う。
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