2025年08月02日

タキユリの咲く渓谷 龍神を祀る滝への参道


暑中お見舞い申し上げます。
エアコンは使っていませんが、30度を超える室温でも首に冷たい触媒を巻いて扇風機で快適に過ごしています。
きょうはあでやかな山野草と水にまつわる涼しい話題で。

かつて県南部では道沿いの崖などで多く見られたカノコユリが減っているという声があった。園芸種のカサブランカの原種ともいわれ、九州の甑島列島と高知や徳島の山間部が主な自生地とされる。そのカノコユリの変種で崖から垂れ下がるように咲くのをタキユリという(これは四国の一部地域のみではないだろうか)。カノコユリは自立して花が上に咲き、タキユリは下垂して花が下で咲く。

もしタキユリを平地に移植したらカノコユリになるのではないかとも考える(屋久杉を他の地域に移植したら通常の杉となるように)が、牧野植物園では変種との見解を取っている。形態の違いからもそれでよいと思う(高知市内の山間部にも自生地があるし、牧野植物園にもタキユリはある)。https://makinomigoro.jp/flower/flower-4219/

7月下旬になるとタキユリが気になる。徳島は隠れたスミレとユリの豊富な地域で、このほかにもジンリョウユリイシマササユリなど固有のユリもある。タキユリが霧がかる川面に咲いている光景は幻想的で、8月のキレンゲショウマの谷に霧がかって咲くのとヒトの感じる風情は似ている。

毎年観察していると、タキユリが咲く場所は異なっている。これはおそらく草刈りが施されるのも原因のひとつと思われるが、自然環境の要因もあるのかもしれない。それゆえ、こんなところに群生しているのかと発見することもあれば、今年は見つからない場所もある。

まずは2025年のタキユリを。背後に滝が落ちていて涼しい
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満開のよう
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タキユリを撮影するのに大きなセンサーサイズのカメラは向かない気がする。この写真は2/3インチという小型センサーのフジX20で撮影したもので、被写界深度の深さと相まって生態的にわかりやすい写真となっている
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場所を転じて轟の滝へ。川は増水しているが濁りは少ない。源流域は年降水量が3500ミリに達する。しかもダムがないことから、フルボ酸鉄などの山のミネラルが海に届いている。20世紀の終わり頃、当時もご多忙だった気仙沼で牡蠣の養殖を手がける畠山重篤さんに徳島までお越しいただいて講演会を主催したことがあった。著書の「海は森の恋人」で山のミネラルが牡蠣の成長に大きな影響を与えていることから源流の森で植林を続けられている。
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それでも磯焼けが進行しているのは高水温によるもので、アイゴ、アオブダイ、タカノハダイといった海藻の食害漁が冬場も沿岸に居着くためだ

轟の滝はご神体であり、滝の手前に轟竜瀑院竜王寺があり、階段が苔むしていることから空気中の湿度が高いことがわかる。寺の名称から龍に由来があることはわかるが、ご本尊は大日如来だとか。
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竜王寺の手前から轟神社へ上がる階段がある。
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ご祭神は水波女命(みづはのめのみこと)で、海部郡内にはこのご祭神や龍神を祀る神社が多い印象がある。
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その名のように海部郡(かいふぐん)は、海部(あまべ)に根源を持つ海洋民族がひらいた地域だからか。「滝」は、さんずいへんにりゅうと書く「瀧」の字もある。「海部 水波女命」と銘打たれた純米酒も販売されているようだ。https://mitsuguruma.jp/

轟神社へ回り道をしたが、滝に向けては滑り落ちそうな歩道を手すりにつかまって降りていく。沢の清冽さ
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龍神の石碑がある
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滝の直前に現われる鳥居は、轟本瀧神社の名。ご神体は滝そのものであり、「瀧」は「さんずい」に「龍」である。
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水量が増した滝へはこれ以上近づけない。滝は前方の大きな岩の割れ目から見えているが全容は見えない。水量が落ち着いていれば右下の岩をつたって滝の前の大岩が見えるところまではたどり着ける
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写真からは伝わらないが、水しぶきのためカメラを構えるのは一瞬で撮影後にハンカチで水滴を拭う
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海部川の底知れぬ深さは、大量の雨がもたらす水量と、果てることなく供給されるミネラル水の刻んだ無限のときの流れ
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追記
畠山重篤さんは、2025年の4月3日にご逝去されていたことを投稿後に知った。直に接したとき、哲学者のような風貌で、心に思うことを愚直に実行する方とお見受けした。生前のご活躍への感謝、東日本震災からのたゆまない復旧の足取り、長い人生での幾田のご経験を思いながらご冥福をお祈りいたします。
タグ:タキユリ
posted by 平井 吉信 at 11:12| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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