ヒトが行動するには、なぜそれを行なうのかの理由(動機)がある。その動機は理念の実現のためである。ということは、同じ行動を取っていても理念が異なれば是非の判断は異なることになる。従って、何をするかは重要ではないような気がする。
その文脈での話として政策の評価をするとき、給付と減税のどちらがよいかという設問をしがちである。世論調査では、行動のみの判断を求めているが、大切なのは行動そのものではなく、動機やその源となったモノサシ(理念)ということになる。
政治は何のためにあるか? → 人々の幸福感のため
政策はなぜ行なうのか? → 人々の幸福をつくるため
ぼくはこれをモノサシとしている。
それでは2025年の人々の幸福とはなにか? → 格差を是正すること(これが目的ではないが、ここから正の好循環の連鎖が始まる。つまりアベノミクスとは真逆に、人々が身心とも健やかであれば消費が増えて企業も潤い、結果として賃金が上がるなど)
格差の拡大は幸福感を低下させる。それは、貧困者だけでなく富裕層も同様である。物質的な満足感に満たされていると細胞ががん化しやすくなるという研究がある(オカルトではなく科学的な研究)。お金がありすぎると幸福感はかえって低下するというのは奇異に見えるが、事実のようである。それでは幸福感をもたらす年収とはを調査したところ、日本では年収800万円ぐらいだそうだ。これより少ないと必要なものに投資(消費)できなくなる可能性があり、これより多いとかえって心が満たされなくなるということ。
30年前は1億総中流といわれ、格差が少なかった(世帯年収も600万円〜700万円ぐらいでなかったか。これは世界でも理想の状態に近い)。そのため消費意欲(内需)は旺盛で、1ドル100円を切るような状態でも、国民が自国の製品を買うので企業の経営は傷を受けず、それどころか世界のなかで時価総額ベスト10の企業に日本の企業が8社入っていた。円は高く、法人税はいまよりずっと高かったのにもかかわらず。いまではベスト30に入る企業すらない。
日本の失われた30年は消費税課税(及びその税率上昇)がもたらしていることは統計から有意性の証明ができるはずである。法人税率が高いことは決してマイナスではなく、有効に投資(資本効率)を真剣に考えて成長戦略を実行した。その結果、生まれた革新的な取り組みが日本の企業を世界一にした。ウォークマンをはじめとするあの時代の製品には力があり、100万円台のカローラの品質感はベンツをも上回っていた。学生が趣味で海外旅行へ出かけるのが普通で、ぼくの友人で海外へ行ったことがない人間は一人もいない。それも数か月の旅行は珍しくなく、南太平洋の無人島などを1か月かけて回った人間もいた(このブログの作者のこと)。
視点が世界や宇宙にまで向けられ、そこから人々や生態系の多様性の大切さを肌で知った。ぼく自身も天文学、天体物理学、量子力学などの勉強を続けながら、民俗学、河川工学、人類学、語学、小説を書いたり写真を撮ったり、人生を愉しみながら、ある国家資格をストレートで合格(合格率3%のこの試験を高卒&独学&ストレート合格者は全国で1人しかいないのではと思う。なにせ高校を卒業するときの成績が400人中380番だったし大学には魅力を感じないので大学にも行っていない)、それがいまの仕事になっていたり、NPOやNGOを複数掛け持ちして社会貢献をしたり(見返りのない行為にお金と時間を使ってきた)、思うままに生きてきたしいまも変わらない。このブログの背景にはそんな体験や知見があると感じていただけたら幸い。
さて、社会に横たわる問題を小さく捉えて対症療法を行なっても決してよくならない。この30年の政治はそうであったように。例えば少子化対策には子どものいる世帯に給付する(それが間違っているというよりは根源の課題を見ずに対症療法に走っている)といった具合。
人々の幸福の実現が政治に課せられた使命であるとしたら、いまやるべき課題は何か(課題とは根源の要因でそれを解決できれば連鎖的に解決していくという本質的なことである)。
それが格差の是正である。すべてがここからつながっている。30年前は格差が少なかった。そして格差拡大をもたらしたのが逆進性の強い消費税と法人税減税である。これを元に戻してやる。
格差の拡大は実は富裕層をもむしばむ。ぼくは、富裕層を目の敵には決してしていない。努力をされているからだ。しかしその反面、生まれた家の所得で一生がほぼ決まってしまう。これは基本的人権の平等性が担保されておらず、違憲状態である。選挙で一票の格差が違憲というような矮小化された詭弁ではなく、本質を見るべき。
幸福とはみんなが幸福であって初めてそう思えるもの。豪華な自宅の前に栄養失調の子どもが座り込んでいるのを見て幸福と思えるだろうか? その反対に誰かが喜ぶ姿を見てそこに癒しや感動があり、それが幸福感の根源ではないだろうか?
幸福感の実現に、保守も革新も右も左もない。ぼくは特定の政党の支持者ではなく、この投稿もその意図はない。あるべき姿を実現するために最良(もしくは次善)の選択肢の参考になればと思って書いている。
給付か減税かの問いは意味がないというのは、それがどちらも格差の是正に資する行動のひとつであることと、それが課題の解決を通して理念の実現につながるかどうかだけを問うべきである。生活困窮世帯には給付金は必要である。一時的でも必要であれば給付することは間違っていない。しかし課題の連鎖を見据えた政策でなければばらまきという(自公の政策は格差是正の本質が見えていないのでばらまきである)。この30年をつくったのは自公(民主党政権でも野田政権がさらに低迷を深めたので立憲も同類)であり、それらの選択肢はない。大阪万博の利権の権化のような政党、手取りを増やすといいながら与党の補完勢力になっている政党、誰かを批判して英雄気取りになったり、外国人を排除しようとする○○ファーストの新興勢力も論外。陰謀論などは誰かの心を支配するためのナラティブでしかなく、戦前のような空気感を感じる。そもそも排他的な国で日本人も幸福になれるわけがないし、徴兵制度すらやりかねない。カルトの雰囲気にだまされないことだ。
減税は正しい。なぜなら減税はすべての人に等しく恩恵があり、消費税減税は逆進性を緩和する効果がある。即効性がないとの意見もあるが、精神的な安心感が与える効果は計り知れない。当座のお金が必要な人には給付も併用すればよい。人々が使えるお金が増えると、消費が増えて飲食店や小売店などの小規模事業所が潤う。消費の増加の恩恵をもっとも受けるのが企業である。企業経営にとって消費税の負担感は重い。内需の拡大に直接働き変える最善の政策で、経済循環にプラスのまわりを作り出すことで実は税収も増えて財務省も喜ぶ。法人税の税率強化は資本利益率の本質を考えるきっかけとなる影の経済政策である。しかも大掛かりな仕掛けなしに実現できる。よく使う人には減税幅が大きいので富裕層には不満がないし、生活が苦しい人たちはいわずもがな。
ただし税率はすべて同じでなければならない。0%が理想だが、まずはすべて同一税率の5%で着地して段階を踏むのも現実的だろう。トランプ関税よりもこの社会に深刻な影響を与えたのはインボイス制度である。人々の暮らしに欠かせない近所の自転車店が廃業した、まちのミシン店が店を閉めた、才能あるクリエイターが廃業した、などはインボイスのなせる技。個人事業主の廃業は社会の潤滑油をなくすことにもつながっている。同一税率はインボイスの廃止という副産物にもつながる。これは社会にとって大きな成果だ。
関税については好きなだけかけさせることでアメリカ国内の不満が溜まり、富が国外に流出してトランプが失脚する構図は目に見えている。スバルのSUVに乗りたいアメリカ人は、4万ドルが5万ドルになったところで買うのはやめない。日本でスイスの高級時計が好きな人が円安のため200万円が300万円に値上がりしたから買うのを止めないのと同様である(実際にここ数年の日本はそうなっている)。トランプ関税のためアメリカの消費者はインフレに悩むこととなる。さらにサプライチェーンが有機的につながる今日ではめぐりめぐってアメリカの企業をも直撃する。皮肉なことにトランプ関税はアメリカを偉大にはさせない典型的な政策である。
老朽化した公共財(水道管や下水管、橋、ダムなど)に適切な補修や技術革新(総合治水への転換なども含む)を行なうなど社会資本の再整備を行なうニューディール政策的な視点も経済循環をつくりだすきっかけとなる。円安デフレが続いた日本で急激な物価高に苦しめられているとしたら、その処方箋は断じて賃金を上げる圧をかけての賃上げではなく、賃金が上がる(内需拡大)政策を行なうべき。このことには誰も反論できない。
消費税の減税は未来の安定を揺るがすのではなく、いまを豊かにして正の循環を未来につないでいくために、いまの機会を逸したら永遠の沈没しかない。その選択肢のカギを握るのは一人ひとりの良識ある判断。よく考えてそして必ず投票へ行こう。
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