ゴルフを鹿児島港でフェリーに乗せて屋久島へ旅立ったのはいつだったか。どうしてもアプローチで自分の車が必要(車中泊)だったことと、九州横断の道中で道草をしたかったから。
屋久島の森で印象に残っているのは、花之江河、白谷雲水峡、ウィルソン杉、縄文杉、島南部の海岸線、永田川など花崗岩質の岩盤をすべるように下る川、海から遡行することのできない川、海中温泉、いなか浜、西部林道、名もない風景や道、森の植生、屋久杉などすべてといえるのだけれど(世界自然遺産に登録される以前のこと)、山中で過ごした完全な闇にもっとも心を動かされた。
天文少年だったぼくは、口径10センチの反射赤道儀を分解して、父に車で人けのない山中に送ってもらって翌朝迎えに来てもらっていた。携帯電話などない時代で何かが起こっても連絡のとりようがない(武器となる木の棒は持って行ったような記憶がある)。夜の山はなかなか賑やかで、ミシミシ、ケケケケ、フーといったさまざま環境音が背後から聞こえてくる。星雲星団を見るために暗闇に慣れているはずだったが、新月の屋久島の山の夜は目の前にある(はずの)自分の手さえ見えなかった。視覚が失われた状態で聴覚はますます過敏になる。完全暗闇がこの世にあるのだと知った。
さて、せせらぎ、波の音、鳥の声といった自然音を収録したCDをぼくは持っているけれど、以前から気になっていて、ようやく買った音源を紹介する。屋久島の自然音で2枚。制作元のWebサイトに試聴音源がある。
屋久島〜Water/ネイチャー・サウンド・ギャラリー(自然音)
https://www.della.co.jp/products/dlns-213?srsltid=AfmBOorE09MLkWNqXUZG6SAmyMZof8yLmPT3M3naZXWJ7NbrHBDp53A0
屋久島〜Deep Forest/ネイチャー・サウンド・ギャラリー(自然音)
https://www.della.co.jp/products/dlns-214?srsltid=AfmBOooD7raFIJ-bSzzdJaFNtbV6lnUPGT8kJJC4Ju6X4nuGSrwZZ9Wx
音楽(楽器の演奏)は含まれない自然音のみの収録である。視聴してみると、良い感じの音源があったが、飛ばしたい音源も含まれている。
実はこの音源はダウンロード/配信のみで、CDはない。だから購入を見送っていたのだが、パッケージ版が発売されることはなさそうで、どちらを買おうかと迷った(2枚は要らないだろうが、欲しい曲はどちらにもある)。
ダウンロードのみということは、1曲ずつダウンロードできる。そこで2枚から選択してみたのが次の5音源(数字は時間)。金額は1,595円とアルバム1枚よりやや安い金額に収まった。
(1枚目から2音源)
@ 森に響く野生の声〜屋久島・西部林道(6:34)
A 巨樹を仰いで〜屋久島・紀元杉(7:55)
(2枚目から3音源)
B ウィルソン株の泉〜屋久島(13:41)
C 西部林の雨〜屋久島(5:21)
D 澄明の泉〜屋久島・大株歩道(10:01)
せせらぎの音源などは、どこの地域のも似たように聞こえる。そのうえ、オンマイクで(渓流に近接して)録られたせせらぎは音量が大きいこともあって音量を下げたくなる(スピーカーから聴くと水没して溺れているような錯覚すら受けることもある)。音量を合わせたいので上のような選択となった。
豊富な水が花崗岩の川床を滑りおちる屋久島の渓流ならではの硬質の響きを愉しむためにせせらぎを1曲入れておいてもよいかもしれない。ぼくが選んだ水音は、岩にしみいるような音や、株のなかに湧き出して狭い空間で残響している水音、屋久島特有の森に降る雨の音などの音源。擬音で表すと、ヤロヤロ、ヨロヨロ、ヨーロヤロといったヤ行のやわらかさとラ行の粒立ちを響かせた水音(ヤ行とラ行の組み合わせは癒しの記号かもしれない)は屋久島の表情と思うので選んだ。心が地面に向かってしずまっていくような心地。子宮内の記憶していない原体験に似ているのかも。
鳥の声が含まれる森のざわめきもよい。ただし「森に響く野生の声」は猿の争う声もあるので、瞑想やリラクゼーションに使うなら割愛してもよいかもしれない。でも、屋久島の森を体験しているぼくには生き物の声の饒舌が森に調和しているようにも思える。森を進むうちに五感が澄んでくるという疑似体験には生き物の声は不可欠と思うのだ。
購入は音源データが選べるOTOTOYから。
★屋久島〜Deep Forest/自然音 https://ototoy.jp/_/default/p/1330470
★屋久島〜Water/自然音 https://ototoy.jp/_/default/p/1296866
ダウンロードする際に、手元の端末で再生可能なデータの種類を4種類の音源から選べるので、ぼくは非圧縮でCDと同等の16bit/44.1KHzのwav形式を選んだ。普通の端末ならどのデータ形式も再生可能と思われる。もっとも音がよいのはwavデータ、次いでflacで、無難なのはflacだろう。Amazonでもダウンロードできるがmp3のはずで音質は良くない。
環境音は寝る前に聴きたいが、車で聞くことも多い。重要なプレゼンテーションや講演、セミナーの前に、集中&リラックスをするために聴くこともある。屋久島というブランドがありがたいのではなく、この島の持つ息吹や力が捉えられて閉じ込められているからで、目を閉じれば屋久島の森の逍遙が始まるように思えるから。
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