2025年02月16日

小暮はな「ホタルの庭で」 しずしずと、ひたひたと歌のさざなみ


小暮はなさんは、ポルトガルのファド(ご当地の歌謡曲)に私淑しておられる。10代の頃からの経歴で発売されたアルバムは決して多くないけれど、良質の音楽を届けられている。

まずは、「ホタルの庭で」。
ホタルが庭に今年もやってきた。葉を揺らして来たことを告げる。はかないいのちが明滅して去って行く。そして(同じホタルでないかもしれないが)また戻ってくる。自然の持つ規則性とこの場にいる蓋然性。そしてホタルに愛しい人を投影しているのかもと思わせる佳曲。歌詞の一部はポルトガル語になっている。
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控えめなピアノとギターの伴奏に、はなさんの歌が闇夜に灯すようにしずしずと入ってくる。間奏ではピアノの永田雅代さんがときおりピアニカ(?)でオブリガートする。音楽が空間に放たれ、喉の空間が中高音の余韻となって空気を震わせる。ビブラートや小節でなく、素のままの声と透明な倍音の響きがひたひたと波のように押し寄せる。こんなひたむきな歌への向き合い方があるのかと。張り詰めた沈黙感の背後に無限の安らぎ―。もう沈黙しかない。

「ホタルの庭で」小暮はな / Jardim dos Pirilampos - Hana Kogure
https://www.youtube.com/watch?v=Xyyv8r2HXLs
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「ホタルの庭で」は2枚目の「アズール」と、3枚目で最新作の「ジャカランダ」に収録されている。しかし(想像だが)音源は異なると思う。3枚目は「本格ファド編成によるアコースティック・アルバムを制作」とあり、はなさん自身がいまもっとも歌いたい曲ということで、これも期待作なのだ。ただし2枚目の収録版とアレンジ(もちろん歌い方も)も違うと思う。3枚目の視聴音源を探してみたけどどこにも見つからないので、2枚目から聴いてみては?と提案。

2枚目は公式YouTubeチャンネルでダイジェストが紹介されている
小暮はな Hana Kogure New Album『AZUL』2017年4月9日リリース!
https://www.youtube.com/watch?v=dGAOmRqEqO4


(追記)
アルバムの内容紹介を転載(やはりアレンジが違うようだ)

■最新作『ジャカランダ』で本格ファドを聴かせたSSW小暮はな
2017年発売の代表作『アズール』がボーナスCD付で再発!

遠いポルトの海風、鳥たちの声、石畳、かすかな青いエロスの香り……
紡がれた言葉と調べ、その歌声は光と陰

 2023年にライス・レコードから『ジャカランダ』(OSR-8100)をリリースしたシンガー・ソングライターの小暮はな。以前より積極的にポルトガルとの関わりを表現してきた彼女が初めて放った本格的なファド作品『ジャカランダ』は、各方面で大きな話題を呼びました。そんな彼女の前作『アズール』(2017年作)の在庫が終了したことを受けて、この度ライス・レコードから同作の再発盤をリリースすることにいたしました。

 小暮はなは15歳より自作曲を創り始め、ライヴハウスなどでギターの弾き語りを行うようなりました。その後関島岳郎(栗コーダーカルテット)プロデュースによる1stアルバム「鳥になる日」(off-note)を2004年に発表した彼女は、2008〜2011年までの間、ポルトガルを中心に欧州各地で活動を行うようになります。そしてそんな経験を元に、ファドの影響を随所に感じさせる哀愁漂うメロディーと、 深く叙情的な詞の世界、やわらかく凛とした歌声にさらなる磨きを掛けた彼女が13年ぶりに発表したのが、今回ライスから再発される『アズール』でした。

 小暮はなの代表作とも言える『アズール』では、英珠や紅龍(上々颱風)との共同作業でも知られるピアニストの永田雅代が小暮と共にプロデュースを担当。そのほか、ロケット・マツ(パスカルズ)、関島岳郎、西村直樹、関根真理、塙一郎といった錚々たるミュージシャンが参加している点にも注目が集まりました。収録曲の多くは小暮はなの自作曲ですが、紅龍の提供楽曲「誰かが誰かを」や、詩人の金子光晴(作詞)/フォーク歌手ひがしのひとし(作曲)による「おかっぱ頭~愛情42~」も取り上げています。また最新作『ジャカランダ』ではファド・アレンジで聴かせていた「アンドリーニャ」「ホタルの庭で」のオリジナル・ヴァージョン、ポルトガルのカーネーション革命の開始の合図ともなった「Grândola, Vila Morena」のカヴァーなども収録しています。

 さらに今回の再発にあたり、ボーナスCDを付録することにいたしました。内容は過去の未発表ライヴ音源を集めたもので、特に彼女が初めてポルトガルに渡って行ったライヴの音源は大変貴重で、ファンなら絶対に聴き逃せないものと言えるでしょう。

 『ジャカランダ』で初めて小暮はなを知った新しいファンにはもちろん、ボーナスCDを求める以前からのファンにもお勧めいたします。

トラックリスト
〈メインディスク〉1. アンドリーニャ
2. 朱いさかな
3. MOJITO
4. ホタルの庭で
5. おかっぱ頭〜愛情42〜
6. 一羽のカモメ
7. 誰かが誰かを
8. AVIA
9. Grandola Vila Morena
10. タンポポのように
11. かもめの住む街

〈ボーナスCD〉
1. 咲き続ける花よ(ライヴ)
2. 一羽のカモメ(ライヴ)
3. チョウチョ(ライヴ)
4. 空の下で (ライヴ)
5. こもりうた(ライヴ)


追記その2

視聴できるサイトが見つかった(OTOTOY)

azul:https://ototoy.jp/_/default/p/2106303

ジャカランダ:https://ototoy.jp/_/default/p/2134429

posted by 平井 吉信 at 11:52| Comment(0) | 音楽
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