2024年12月18日

アリスの音楽を素材を活かして(SACDハイブリッド)


アリスといえば、70年代半ばに数多くのヒット曲がある。当時を知っている人なら誰もが口ずさめるヒット曲がいくつもある。出席番号のひとつ後の同級生がアリスのファンで、彼の下宿に立ち寄ると、フォークギターやらレコードがあって格好いいなと思っていた。ほかにも身近にアリスファンが多く、よく聞いている(聞かされている)のでCDを持っていなかった。

ステレオサウンド社のSACDソフトを販売するコーナーを見ていたら、アリスのベストアルバムが SACD化されていることに気付いた。その紹介文がこちら。
https://www.stereosound-store.jp/c/music/4571177052551

これはいいなと即座に買うことにした。音質を追求する手段はさまざまあれど、アナログ時代の名機といわれるスチューダーのA80、真空管プリ、アナログEQなどの機器を使っている(コンプレッサー使用せず)。素材を活かしてなるべく加工せずにDSD化(SACD)/PCM化(CD)している。いわば音楽の有機栽培のようなもの。

SACDが届き、冒頭に置かれた「冬の稲妻」を聴いて椅子から落ちそうになった。スピーカーのはるか外まで空間が広がり、ドラムスのキレとドライブ感、アコースティックギターの鮮度感、それでいてうるささが皆無。普段感じているスタジオ録音の箱庭感がなく、自由に音楽が解き放たれたよう(ダイレクト・カッティング?と思えるほど)。「涙の誓い」「ジョニーの子守歌」などは同級生がよく歌っていたのでなつかしく蘇った。

デビュー曲「 走っておいで恋人よ」を聴くと、アリスがフォークにルーツがあることがわかる。谷村さんと堀内さんという2つの異なる声質が主従になったり併走したり最後に解決したりと声の魅力がアリスの魅力でもあるし、「今はもうだれも」「冬の稲妻」のように矢沢さんの力量がアリスの音楽を支えていることがわかる。これによって、コンサートではアコースティックギター2本とドラムスだけで再現可能なうえに、リズム隊にベース、旋律にエレキギターやストリングスを加えるだけで楽曲の色彩が華やかにもできる。

アリスの音楽の懐の深さは個性のブレンド(君の瞳は1万ボルトと昴という楽曲の距離間)と小さな会場のコンサートで鍛えたミニマルエッセンスな再現力+バンド拡大時の色彩のバリエーションにあると思う。

このアリスを聴いていると、良質の音楽を後世まで、マスターテープが再生可能なうちにアーカイブしていく必要性を感じる(ピンクレディーもよいのではと思う)。レコード会社だけではうれる売れないの判断基準ではつくられないだろうと思った。

さて、このSACD盤はハイブリッドなので通常のCDプレーヤーやパソコンのディスク部で再生できる。SACDのCD層で聴いてみたが、それもすばらしかった。しかもこのディスクは、通常4950円のところ、本投稿時点で3300円となっている。こんな企画が売れないと次が続かない。
https://www.stereosound-store.jp/c/music/4571177052551

リストをたどっていくと、五輪真弓の「恋人よ」は完売となっている。シングルヒットの同名曲よりもアルバム全体が楽曲の質の高さを誇るので入手したかったけど。松田聖子の「Pineapple」「ユートピア」も数年前に入手不能となってしまった。薬師丸ひろ子は「歌物語」はあるが、「花図鑑」はSACD化(ハイブリッド盤)されていないようだ。アリスファンや当時の音楽が好きな人はご一考を。

posted by 平井 吉信 at 23:02| Comment(0) | 音楽
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