2024年04月24日

イチゴの誘惑(「ポートレート」竹内まりや より)


去年に比べたらイチゴも値上がりしたなと思うけれど、生産者の手取りが増えているわけではないだろう。これも物価高騰、円安の影響である。いや、愉しい話にしよう。
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イチゴをかじりながら、イチゴの菓子を食べながら、好きなお茶、コーヒー、ワインを飲みながら、いちごにゆかりの心弾む音楽は、竹内まりやの「イチゴの誘惑」。1981年発売のアルバム「ポートレート」のB面の2曲目に収録されている。同アルバムからシングルカットもされた。

ぼくは知らなかったけど、この半年後に山下達郎と結婚することになるんだね。このアルバムは、竹内まりやのなかでぼくがもっとも好きなもの。ちょっと聴きに印象的な曲は置かず、粒立ちのある佳曲を揃えている。特にアナログB面(デジタル7曲目以降)は心の思い出が音楽に溶暗していく感じがして、匿名の切なさが押し寄せる。
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手持ちのアナログは初出盤(1981年10月21日発売)、CDは40周年盤(2019年発売)を持っている。40周年盤は、リマスタリングとともにライブ音源が6曲追加されている。アナログに負けない聴き心地の良さ、木綿のようなしなやかさな弾力感とキラキラ感が同居している。

初期の彼女はコマーシャルの色調を帯びたキャンパスアイドルの感じもある。それでも「September」のような名曲は聴く度に佳い曲と思う。

「イチゴの誘惑」は、前奏から波に乗せられて軽やかに声が滑り込んでくる。60年代のポップスのような雰囲気を漂わせながら、大貫妙子やEPOのバックコーラスも愉しい。良質のポップスはさりげなく心のひだを探り当てて打ち震える。だから何度も聴きたくなる、一度聴くと繰り返しボタンを押してしまう(レコードではそうはいかないけれど)。松本隆(詩)、林哲司(曲・編曲)。玄人にもそうでない人にも受ける職人の作品(賛辞です)。

アルバム中もっとも好きなのは「ウェイトレス」。「ほほえみにー みとれてたーら」。日本語の伸ばす音の声の艶と少し鼻にかかった竹内まりやの魅力が脳内の増幅装置でふくらんでいく。楽曲の世界は、古き良きアメリカがときおりリバプールの風を感じながら日本の留学生を通してこだまするよう。竹内まりや(詩)、山下達郎(曲。編曲)。ああ、そうなのか。深い詠嘆とともに納得。


最後の曲「 ポートレイト ~ローレンスパークの想い出~」が終わると、またA面から聞き返したくなるぐらい好き。アルバム全体を通して、竹内まりやが自分がやりたかったことをやり尽くしている。80年代を21世紀の色眼鏡でみる「シティポップス」風ではなく、打ち込みでもなく、フォーク・ロック調とポップスが融合した自然体で、彼女の声にもっとも合っている。後年の人生を噛みしめる歌やシティポップスとしてもてはやされている「プラスティック・ラブ」などよりも聴くことが断然多い。そしてそれは1981年冬に巻き戻す魔法の再生ボタン。


追記

ところで、イチゴのお菓子なら、中徳島町のhowattoさんが4月中に特集をやるとのことで。
https://howatto.jp/
タグ:竹内まりや
posted by 平井 吉信 at 22:01| Comment(0) | 音楽
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