2023年12月13日

頂点を極めたあの歌手もいいけれど


全盛を極めている歌手がいるとしたら、ほとんどの人が名前を挙げるのはテイラー・スウィフト。TIME誌が選ぶ2023年「今年の顔」(Person of the Year)にもなったとのこと。そのキャリアは輝いている。

突き抜けた人はその手にどれだけ富と名声を集めても嫌みがない。それは尊敬に値する。楽曲もなつかしく耳になじみ、声の質もロマンティックでメッセージが届きやすく万人向けの歌姫。

ぼくがテイラーのアルバムで1枚だけ選ぶとしたら、Fearless (Taylor's Version)かな。若い頃のオリジナルを視聴すると、息苦しさを感じて聞き続けるのがつらい。版権の関係か何かで自身が近年再録したTaylor's Versionではおだやかになって音楽に浸れるようになっている。


ほかの人は同意しないかもしれないけれど、彼女の声はパルシブで短い立ち上がりがマッシブに集まって声を響かせているように聞こえる。ある意味では刹那的、ある意味では存在感、悪く言えば圧迫感があって聞くときの体調を選ぶ歌手という感じ。疲れているときは聴きたくないと思う。

つい手が伸びるのはSade(シャーデー)。
彼女の声を聴いていると、なんといい曲だろう、人生がこのまま過ぎていくのなら何も言うことはない、と浸っている。

1つの楽曲のなかに哀しみも歓びも散りばめて、歌はあくまでもレガートで山吹色のかぐわしい声色が落ち着いた小麦色に推移したり、漂うような水色や紫色をほのかに帯びることはあっても。

いわば、聴き手の心が自由に楽曲で遊べる隙間と媚薬が散りばめられている。その頂点が「Stronger Than Pride」。なかでもClean Heartはそう。音楽のごちそうなんだけど、茜さす野の翳りとでも形容したい人生の移ろいを感じる。


追記
テイラーの好きなところは社会に対する自分の立ち位置(役割といってもいいかもしれない)を自覚しているところだ。サザンの桑田さんもそうだが、絶えず政治的なメッセージを発している。自分たちが生きているこの空気感のなかから音楽が生まれてくるのだから、音楽は音楽、政治は政治と切り放すことはできない。ぼくもそう思う。自分の生きていること、やりたいこと、好きなこと、仕事や遊びも社会と密接につながっている。だから利害とは無関係に政治や行政に発言し続けている。

それに対して(名前は挙げないけれど)ここ10数年の音楽にはそれが感じられない。社会から切り放されて自分の殻に閉じこもる無力感、それはそれでいまを生きる人たちの共感を呼んでいるのだけれど、そこから一歩でも踏み出して社会にメッセージを届けなければ。

例え恋愛の歌であってもテイラーの音楽からはメッセージを、そして自分自身が社会のアイコンとして生きていることを感じる。

posted by 平井 吉信 at 22:41| Comment(0) | 音楽
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