南阿波サンラインでまどろんでいたところ、見慣れぬヒルガオが目にとまった。太平洋に面しているが波のおだやなか小さな湾となった砂浜に2株自生していた。季節は夏の終わりである。



その葉が相撲の行司が持つ軍配に似ていることからグンバイヒルガオと呼ばれる。日本周辺では奄美や沖縄、さらには台湾やフィリピンに自生していると思われる。その種子が黒潮に運ばれてたどり着いた日本の砂浜で芽を出し花を咲かせるのだ。グンバイヒルガオはハマヒルガオとは明らかに異なり、大きく厚手の葉を持ち、ポリネシアの人たちを彷彿させるような大柄な植物の印象。どんな花が咲くのだろう。
続いて海部郡内で群生している渚を見つけた。このあまり知られていない渚の個体は群生していることから越冬して発芽、開花しているように見える。時期は9月上旬。



日本のハマヒルガオの花より大きく色が濃いため群生するとつややかで見とれる




付近にはネコノシタも見られる

さらに10月、もっと南の海岸でも群生を見つけた。なんだか甘酸っぱい心象風景。ここには高校の頃から自転車で来て民宿に止まっていた場所の渚だから。







海水浴場がある渚でも分散的に見かけた。ハマアザミが印象的。



ここの個体は開花には至っていない。



今年の夏に漂着した種から発芽した幼個体ではないか。この冬を越えて定着するかどうか注目される。
四国の東南部、室戸阿南海岸のいくつかの渚では、地球温暖化でかつて見かけなかった南洋の植物が定着しようとしている。外来種であり希少種なので移動や採取は厳禁としてしばらくは見守ってみようと思う。ぼくはこの植物は好きになりそうである。
夕暮れの海岸線はやがて薄明になった。



地球に生まれて地上に生きている。
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