前回に書いたように田井ノ浜周辺は里山と渚が隣り合わせとなっている。強い日射しが射し込む季節は、せみしぐれ、潮騒、渚から吹く風が林を吹き抜ける音の粒立ちが夏そのもの。
そして夏が好きなぼくは夏に惹かれてそこに立っている。
きょうは田井ノ浜臨時駅の今年最後の一日だから、何度見ても見飽きない田井川のマングローブに咲くハマボウがあるから、というのが来訪の理由。
田井ノ浜と線路の間に柵はないが、浜に並行する道路には柵がある。柵がないところは林があってプラットホームを隠している(写真左側の林)。

ボタニカルなアートを見ている。

林の一部に穴があって臨時駅と田井ノ浜が見通せる場所がある。アリスの急ぐうさぎはこの路を通ったに違いない

汽車(徳島の人間はそういう。実際に県内には路面電車もなければ鉄道も電化されていないので)を待つ間に田井川のハマボウを散策しよう

もう花は盛りを過ぎたと思うけれど、またつぼみもある

花は少なくなったが、咲いている花はそれぞれがそこにいるよといっている



遠くで踏み切りの警報音が小さく聞こえてきた。線路へと近づく(撮影は柵の外から行っている)



これは牟岐線のようなローカル線を走る1200型(1500型もある)。駅のトイレが廃止されていくなかで列車内にトイレが備えられている。ワンマンで運用されることも多い。ぼくが通学していた頃の普通列車はトイレはなかったが、窓を開けることができて、4人掛けの対向座席に1人で座って窓から入ってくる田園の風を受けながら生きている実感がした。陳腐といわれても青春かな。
→ JR四国の車両情報
この緑色の車両とは別にトイレのない従来型のキハ47形1000番台も牟岐線を1日1回ぐらい走っているのを見かける(あのなつかしいオレンジ色の車両ね)。
でも阿南以南の牟岐線はいまや廃線の危機にあり、JR四国の運営改善だけでは如何ともしがたい。そもそも国鉄を分割民営化する手法は正しかったのか。儲かる路線の収益で国土の隅々まで必要な路線を維持管理する考え方が正しいのではないか。
若い頃の話だけれど、阿佐海岸鉄道(いまDMVが走っている路線ね)の提言募集に応募して、知事と町長名で表彰されたことがある。沿線住民の視点(日常)と旅行者(非日常)の視点から活性化を考えたものだったと記憶している。
それから数年後、その町長からまちの施設を運営する会社の非常勤取締役に請われて任に就いたことがある。町長(立派な人格者であった)は提言者とはすぐにお気づきにならなかったが、これもご縁である。
その後、総支配人や料理長とともに改革を推し進めようとしたが、新たな社長と意見が対立して辞任することになった。利害とは無関係に正論で動く人間は煙たがられるのである。だから生きていて気持ちが良いのだとも思うけれど。
話が脱線したが、列車は脱線しない。だってのんびりと走る牟岐線だから。
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