六月になると、梅を栽培している農園に青梅(鶯宿)を取りに行く。これは梅酒用とする。鶯宿は6月中下旬で終わりとなるが、完熟した個体を漬け梅(梅干し)にすることもある。南高梅のほうが梅干しには適するといわれるが、ぼくは気にしないでそのときに手に入る梅を仕込む。
梅酒は収穫して1日以内のものを漬け込む。香りや酸味を活かしたいから。砂糖も控えめにする。ていねいに仕込みをすれば傷むことはない。
以前は35度の米焼酎で仕込んでいたが、入手が難しくなったので35度の泡盛(久米島の久米仙など)で漬けていた。コロナ下でそれも出回らなくなり、ここ数年はホワイトリカーにしている。どこでも入手できるタカラとサントリーで比べてみたが、この2社は原酒で味わっても圧倒的な優劣があり、梅酒にして1年経過したもので比較してもその差はまったく縮まらない(どちらが安売りされる場合が多いかでもわかる)。


梅酒に回すもののうち、やや熟成が進んだものはコンポートとしている。砂糖は想定されるよりうんと控えめ。ある温度までをゆるやかに上げては水を何度か替えるのがコツ。梅の酸味を活かしたいから。糖度が下がると傷みやすいとされるが、そこは製法で気を付ければ問題ない。

この梅のコンポートは口のなかにするりと入って種を呑み込みそうになるぐらいおいしい。甘味は抑えている。それでもやさしい滋味とつるんとした味。これ以上の梅のコンポートがあるとは思えない。

子どもの頃から梅干しが好きで台所でつまみ食いしていた(なんという小学生)。市販の梅干しも悪くないけれど、自分でつくるのはさらにていねいにつくることができる。梅ひとつひとつを高濃度食品添加物アルコールで磨き上げて低い濃度の塩分(15%)で漬けるのが流儀。あとは漬け梅を紫蘇に付けたものを土用干しするだけ。紫蘇づけの作業を機械化できるとは思えない。この工程こそ自家製の強みがもっとも現れる気がする。まもなく始まる紫蘇漬けが愉しみ。
タグ:梅
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