さて、スミレ(Viola mandshurica)です。
○○スミレの○○が付かないスミレ、民謡だと「正調」、菓子屋だと「本舗」「本家」と名乗りそう。実際に目にすると、ああ、スミレって感じ。
スミレ(マンジュリカ)は、濃い紫と凜としたたたずまいから日本らしいスミレのように思われる。しかしルーツに思いを馳せてみると、稲作の伝来などヒトやモノの流れが大陸から列島へ流れたようにスミレは人の暮らしと密接にある植物。つまりスミレが分布を広げた過程には人の移動が関わっている。
種小名のマンジュリカは旧満州(中国東北部)に由来するように大陸型のスミレである。学名もヴィオラ・マンジュリカでヴィオラ・ジャポニカではないのだが、もっとも倭(やまと)らしいこのスミレの由来を考えるのは興味深い。
ときは2023年春、那賀川流域でみごとなマンジュリカの群生が見られた。







小さな個体 レンズキャップを置いてみた

こちらはマンジュリカらしい美しい個体

マンジュリカの群落に混じってオキナグサも群落を形成。




とくしま植物園の散策路にて

大宮八幡神社(勝浦町)の裏山で見つけた雰囲気ある個体

同じ場所で翌年見かけた個体

これは葉より下で咲いているめずらしい型

勝浦町横瀬の川沿いにて。華麗なる姿態だが、何か交雑しているような

道路と水路の間のコンクリートの隙間から。もっともよく見かける光景だろう(小松島市内)



四万十川の春を告げる(四万十市)

スミレ(Viola mandshurica)が大陸から日本列島へ上陸する経緯をたどろうとするなら、稲作を通じて縄文から弥生への橋渡しの過程であったかもしれない。

タグ:スミレ
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