4月13日の「らんまん」では仁淀川が映し出された。演じる俳優たちも初めて見る景色に本心で感嘆しているようだった。
ドラマ上の設定では、恩師が万太郎を連れ出して1泊2日の歩きの旅に出るというもので、現在の地名では佐川から北西に進んで越知のまちで対岸に渡る。そこからしばらく仁淀川を下ると横畠、鎌井田、浅尾の地区がある。仁淀川が幹線道から外れて蛇行するこの地区こそ、仁淀川の白眉と思う。
21世紀のいまも車がようやく通れるぐらいの川沿いの崖をたどる。初めて訪れたときの感激は忘れない。
牧野富太郎と同じ佐川の出身に森下雨村がいる。故郷に戻って執筆した「猿猴 川に死す」は川釣りをする者の憧れのような釣りエッセイである。いまはダムや開発で失われた桃源郷のような四国の山間部の川が幻灯機で浮かび上がるよう。そのあまりの情景に激しい憧れと喪失感を覚える。特に鎌井田地区での鮎釣りと吉野川上流に存在した桃源郷のような場所を特別な感慨で綴っているように見える。
仁淀川の水質と風土をNHK高知放送局が「仁淀ブルー」と名付けて売り出したのが10年以上前だったが、そのときの経験が生きたのだろう。「らんまん」のロケで現在の構築物が見えない隔絶感のある場所としたらここしかない。仁淀川でもっとも静かな場所―おそらくは明治初期もそう変わっていない(上流にダムができたのと人工林の面積が増えたことで水量は減っているはずである)―を選んだ。
なお、この地がロケ地がどうかはわからない。でも公式Webサイトの写真から同定しうる。
ロケ地はこの写真の奧だろう。

この写真の画面の中央の河原では?

もう少し下流の片岡あたりから、浅尾、鎌井田と遡ってみよう。




浅尾の沈下橋


ロケ地はこの場所のすぐ下流の大きな淀みに面した河原ではないか。

なぜ川がこんな色をしているのか




「四国の片すみに忘れ去られた桃源郷」と形容したことがある。19世紀も20世紀も21世紀も格別の場所である。
【山、川、海、山野草の最新記事】
- 今週のらんまんから〜ムラサキカタバミ〜
- 避暑地の選択 南四国なら 川
- 渚と読書
- 深い杉木立に包まれた第20番札所 鶴林寺..
- 大河が蕩蕩と押し流す鎮め(吉野川 川島町..
- 今週のらんまんから〜ツチトリモチ〜
- 見上げるパラグライダーと夏の雲
- 植物図鑑を持って夏の渓流に出かけよう(夏..
- 近所の森に出かけて昆虫を見よう(夏休み特..
- 高原に雲が沸き立つ(夏休み特集その3)
- 渚に行こう 波間に憩う
- 今週のらんまんから ノジギク
- 夏が来れば思い出す 郷愁のかなたの黒沢湿..
- 今週のらんまんから キレンゲショウマ
- 棚田の夏 赤松川流域の里山を歩く(夏休み..
- 河畔のタキユリ(カノコユリ)と庭のカサブ..
- 今週のらんまんから ヤッコソウ
- 阿南市福井町辺川の棚田
- 何度でも幾度でも田園を走るJR牟岐線のロ..
- 田井ノ浜臨時駅最後の夏 牟岐線の廃止は止..