前項から続く
海沿いのみちに漁港がある




海が見えなくなると椿泊の集落が始まる






ところどころに寺社がある 森家歴代を祀った道明寺にはおごそかな雰囲気がある





墓所の高台から集落と海を見下ろす 椿泊は山と海のわずかな隙間に東西に細長く集落が形成されている


郵便局があるL字クランクは運転の最難関

この細い道が手前で90度に曲がっている


ここを抜けると左手に長い階段を持つ神社が見えてくる。阿波水軍の長、森家の先祖佐田九郎兵衛を祀った佐田神社

時計台を持つ入口

長い階段を上がる



椿泊小学校が見えてくると終点が近づく 相変わらず細い道が直角に曲がる

小学校を過ぎると燧崎への道は堤防直下 石垣に植物が飾られている

先端部の突堤に来てしまった

燧崎への散策路 崖崩れに注意しながら灯台へと向かう


灯台直下の竜宮神社


灯台から眺める東の海 正面は舞子島 ここに壮麗な古墳をつくった豪族はやはり海を支配した氏姓だろう

ところでなぜこの地に阿波水軍の長が拠点としたのか。ぼくは歴史書を繙いていないし水軍に詳しいわけではないが、地政学的に推察してみた。
ここは四国の東端蒲生田岬の近くである。江戸や土佐から大阪や瀬戸内海、あるいは阿波をめざす船は必ず見つけられる。晴れた日には対岸の和歌山の建物を視力の良い人なら見分けられるが、紀伊水道を横切る船団はさらに識別しやすい。夜陰に紛れて航行するには座礁の危険がある。なにより友ヶ島水道や鳴門海峡を案内人なしに夜間に通過できるとは思えない。以上は防御や見張りの観点からの利点である。
次に阿波水軍が出航することを考えてみる。徳島や大阪には黒潮に乗って出航すればたどり着きやすい。江戸に向かうにも徳島や鳴門から出るよりは距離が短くなる。背後に山を従えているので冬の季節風(北西)をさえぎることができ、時化の際には椿泊湾の奧へ待避できる。橘湾の内湾性の魚と黒潮流れる外洋性の魚が狙える。ワカメ、アラメ、アンロクといった海藻も採れる。
徳島にいる藩主からの招集には船運でただちに駆けつけられるが、陸路からは適度な距離を置くことができる。これは窮屈でない立ち位置ではなかろうか。以上が水軍を椿泊に置く利点として考えてみたのだがどうだろう。
そんなことを考えながら来た道を戻っていると夕暮れとなった。





椿泊の海は西方浄土の光景を鎮めるように湾の奥に残照。
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私にとって懐かしい場所です。嬉しいです。
仕事で通ってました。
椿泊は泥棒が入れない。すぐ捕まるなんて笑い話がありました。陸路から遠いし椿泊は細道。車では難である。漁協前の派出署ですぐ御縄ですね。船からだと漁師町だから地元の漁師がヨソから来たかすぐわかってるんだよね。私もどこの誰かを知って頂くまではジロジロ見定めされたかなぁ
受け入れてくださると皆優しくて面白い。
癒されます。今となっては昔話しです。
これもお城下の名残でもあり田舎の良きコミュニティのあり方の一つかもですね。現代の都会の人には苦痛かな?住めば都
雑談失礼しました。
徳島県人にとって、椿泊はもっともアクセスが難しい場所と思います。海部郡の伊座利地区もそうでしょうが、よそものを迎えていったん取り込んだら距離感がなくなる。それを受け容れるかどうかでしょうが、農村と比べたらからっとした感じはありますね。
さらに南の海部地区は日本でもっとも自殺率の低いまちだそうですが、適度な距離感を保ちつつ、おかしいと思ったらすぐに介入する適度なお節介も必要なのでしょうね。
久しぶりに来たこの日、よそ者の不愉快な感じにならないよう
すれ違う人にあいさつをしていきました。
道の狭さは意思疎通の密度の高さにつながり、特に音が出るときの配慮は必要かと思いました。
ブログ本文の長文にお付き合いくださり、ありがとうございます。