GPSを持っていないので紙とシルバコンパスを道具に、実際に歩いて地形観察を行いながら記したものである。小学生の頃から国土地理院の2.5万と5万を集めていた地図マニアなのでGPSはなくても散策の実用性には問題ないと考えている。
コース全体は低山の海岸性の明るい照葉樹の森が主役で人工林(植林)はほとんどない。傾斜の強い部分と平坦な部分、岩の露頭が現れて充実感がある。ところどころに海(紀伊水道、大神子、越ヶ浜)が眺められる場所があり、それらも地図に記しておいた。標高はカシオのプロトレックで読み取った値を日峰山山頂での実測値から補正を行って求めたもの。なお、写真は2023年1月上旬の数日間の記録をまとめたもので時刻や天気は異なる点にご留意。

(電子国土のデータに平井吉信が追記、加工)
日峰山山頂(191メートル)は山頂直下駐車場から徒歩5分にある。駐車場からだと汗もかかない登山

今年初のスミレ(タチツボスミレ)

山頂から東の灯台へ向けて尾根沿いを下っていく。道中では仏像が随所に配置されていてミニ八十八ヶ所の雰囲気


小松島湾と市街地を見下ろす「みなと展望台」を過ぎてほどなく展望所がある。その手前で海に降りる階段の遊歩道がある。菱形のコースは阿波の道、讃岐の道、伊予の道、土佐の道と名付けられている。

現地の看板。水平に延びるのが日峰山の尾根の散策路。菱形が遊歩道。その真ん中を突っ切るのがトラバース道

遊歩道の阿波の道と讃岐の道の境に小神子からのトラバース道が接続する

小神子から遊歩道までのトラバース道は比較的歩かれている雰囲気。ただし夏場は蜘蛛の巣やら虫に悩まされそう

小神子からのトラバース道と遊歩道の合流。このまま奧へ遊歩道を進むとほどなく遊歩道と分かれてまっすぐに進むトラバース道が現れる(次写真)

阿波の道から讃岐の道へのつなぎ目に竹に囲まれたトラバース道がある。遊歩道は下へ下って伊予の道(越ヶ浜)方面へと向かうがトラバースはそのまま竹藪を直進する

遊歩道(讃岐の道)へ降りずにトラバース道を行くとこんな竹藪の小径

トラバース道が沢を横切るあたりで崩落の痕跡

トラバース道の上手に人工的な段差。棚田か集落の痕跡か。二十数年前に廃屋を見たのはこの沢がトラバース道を横切る付近ではなかったか?

トラバース道は再び西の遊歩道と出会う。上へ行けば土佐の道経由で日峰山尾根筋の散策路へと戻る。下へは伊予の道経由でもっとも高度を下げて反転して登るのが讃岐の道。さらに阿波の道をたどって日峰山尾根に戻る。遊歩道を横切るトラバース道を進んでみたが、この先で崩落したのか消滅。おそらくは大神子方面へ向かうトラバースとなっていたのではと推測

遊歩道がもっとも下に降りた場所。ここから沢沿いに渚(越ヶ浜)へと向かう


沢を渡り左岸を行くと荒れ地に出る。沢は荒れ地(湿地)へとしみこんで海へは通じていない

沢を再びわたって山沿いを行くと渚(越ヶ浜)に出る

小神子から越ヶ浜まで海伝いに行くことは危険


越ヶ浜の真ん中あたりで西南西へ上がっていくルート。紀伊水道展望所がある尾根筋へと向かう

越ヶ浜の夕暮れ


少し上がって海側が開けた場所で越ヶ浜をもっとも近くに見られる。浜の北端は見られないが、真ん中から南端が手に取るように見られる。季節の良い時期にここでおにぎりを食べたら気持ちいいだろう

赤テープを目印に尾根沿いに高度を上げていく。照葉樹の森を快適に歩ける




途中で大神子方面への分岐がある(上へと上がる際は右へ)。この場所を左(小神子方面)へ探りを入れるとトラバース道の名残を発見。

尾根筋の上のほうに紀伊水道展望所と名付けられたヤカンのある伐採地がある。

この場所へは日峰山山頂直下の駐車場から歩いてすぐの場所である。展望所直下に越ヶ浜が見える。距離が相当ありそうだが、展望所のある尾根からの下りでは半時間程度の散策である。

尾根をさらに下ると第二展望所がある。

第二展望所からはやや近づいて見える。この場所は崖の上にあるので足下に注意

大神子から張り出す大崎

ここから北東へ大神子へ向かって降りていく。急坂なのでロープがあるが、三点支持を心がければ特にロープを掴まなくても可能

急坂が終わると平坦な開けた地形となる。越ヶ浜から日峰山北東尾根に上がる道から右へトラバースする道と合流する。大きな岩場がある。ここが第二展望所の直下と推察する。


大神子へ向かって降りていく道で一度小さな丘を登り返す。そこに東側が開けて小神子方面が見える。天然のベンチが設けられている。

あとは北北東へ向かって降りていくと大神子南端の岩場へと出られる。降りるところにロープがあるが、ここも特に危険な箇所ではない。万一滑り落ちても大けがをするような場所ではない。降りたところが小さな石ころの渚となっている。大神子海岸はまだ岩を超えていくことになる




紀伊水道展望所から見る大神子と大崎


日の峰神社の夕暮れ

散策路を通して自然度が高い里山/里海を体感できる。公有地、民有地を問わず、自然破壊、ゴミ放置は行わないでこの土地を静かに訪れて里海の記憶を追体験することは価値がある。
なお、今年度になって小松島市内では市街地にイノシシが出没して噛まれるなどの被害が出ている。けれどこの山域ではイノシシの本通し(けもの道)、アシ(痕跡)は見られなかった。
生態系としては良好に見受けられるが、都市に囲まれた狭い山域ゆえ生息できる個体数に限りがあるのだろう。モグラの痕跡は多く見られたし、猿の目撃例はあるようだ。カラスとトンビはよく見かけるし、野鳥の好きな方は探す楽しみがあるのではと推察。
日峰山一帯は都市の近くで味わえる里山の魅力を見せてくれる山域である。
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