家に帰りたくなる理由ができた。地元のレモンで漬けた自作のレモン酒ができたので。
これを飲めると思うと渋滞の道すら鼻歌まじりとなる。レモン酒は梅酒と違って仕上がりが一月と早い。そのままストレートでぐいぐい飲める。喉の渇きを感じたのできょうは水で1対1に加水してみた。炭酸割だと天然のレモンスカッシュ風低アルコール飲料になる。とにかくつくってよかった。
こんな気分を「ルンルン気分」です―と表現するよね。
実はこの言葉の語源が1979年のアニメ「花の子ルンルン」にあるとご存知ですか?
もう40年も前のこと。当時の流行語で死語となった言葉は少なくない。「ナウい」「オニュー」「マジ」「フィバる」などがそうだろう。
ところがところが、東映アニメーションが公式チャンネルで「花の子ルンルン」の第1話を公開しているではないか。
https://www.youtube.com/watch?v=TcgLxXkITOA
絵の美しさはもちろんだけど、例えばこんな感じ。
(ネタバレ注意)第1話では列車で花探しの旅に出た主人公のルンルンが沿線で起こった民家の火事を見つけて列車を止めて消火を呼びかけるが、列車はそのまま行きすぎる。そこでルンルンと乗り合わせた一人の青年が列車から降りて火を消そうと奮闘する。
民家は若夫婦と子どもの家だった。ルンルンと青年が危険を省みず救出作業の真っ最中に、発車したはずの列車が戻ってきて大勢の乗客がバケツリレーを始めた。みんなの協力で民家の火を消し止めることができたため犠牲者は出なかった。ルンルンは乗客たちと再び汽車に乗るが、青年は汽車に乗らずその場を離れる際に花の種を若い夫婦に手渡して去って行く。
花の種は燃えてしまったけれど
美しい花が咲いたじゃありませんか。
みんなの心のなかにね、あの娘のお陰で。
青年はそう言ってこの種を蒔いて列車から見えるようにしてくださいと若夫婦に手渡す。
それはバーベナの種であった。
時が過ぎて沿線に咲き誇るバーベナの花。
そして花ことば「赤いバーベナ(一致協力)」で締めくくる。
うーん、昭和の女の子たちはこんな良質のアニメを見ていたんだな。
おっと、汽車が出発する前に線路に咲いていたスミレを撮影している青年を見てうれしくなった(なぜって? 聞かない、そんなこと → 令和になってもこんな人があなたの身近にいるかもしれませんから)。
この場面はさりげないけど深い意味が込められている。路傍の花にもいのちが宿り、その輝きに見せられ、列車に踏み潰されないよう移植する若者の行為。生物学的にも線路は環境圧(環境によって生息域が制限されること)を受けてほかの植物が生育できない場所に花を咲かせるスミレの特性をよく理解している制作者の手によるもの。すごいなとため息。
この青年が手にしているのが一眼レフであり、ニコンFのようにも見える。少女向けアニメでありながら細かい造形にまで手を抜いていない。いったい昭和ってどれだけ貪欲に未来への投資をいまの自分たちの手仕事を重ねて紡いでいたのだろう。そんなゆめと希望を紡ぐ努力を引き継いでいけないものだろうか。
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