青い青い空だよ雲のない空だよサモアの島とこなつだよ♪という歌は聴いたことがあるでしょう。
子どもの頃に聴いてからこの歌が好き。何が好きかって、繰り返しの多いポリネシア語圏を彷彿させる単純な日本語の歌詞。歌いやすく親しみやすい旋律、楽天的だけど素朴な歌詞。
ところが後半はなぜこんな旋律(和声)になるのだろうという不思議な進行。子ども心に音楽理論はわからなくても、単純で素朴な前半と、どこが切れ目なのかわからずたたみかける後半の対比に惹かれた。
「風が吹く」でほんとうにそよ風が感じられる。「波間をゆく」で和声を先送りにして「船出を祝い無事を祈る」がカヤックに揺られる漕ぎ手の存在が波間に浮かぶよう。そしてその帰りを待ち受ける人々の気持ちを「みんなの声が追いかける」と描く。
声が追いかけるとはどんな情景を指すのかわからないけれど、言葉の意味を超えて言葉の音(韻)が暗示するのは、人々が広場を行き交う光景、そして誰かの言葉を誰かがつないでいく存在承認(心理学の言葉)。「誰かが帰ってきたよ」「ああ帰ってきたね」「よかったね」「よかったよ」と。歌詞と音楽が一体なった奇跡の音楽といっても言いすぎではないと思う。
YouTube上にもいくつかあって聴いてみたらとても好きになった演奏があった。それが東京少年合唱隊の演奏。
テンポが小気味よい。急がないゆったりしすぎない。ウクレレが伴奏に入っている。少人数の歌唱で透明度が高く、無理に統率を取る必要がない。必要に応じて独唱と合唱、ユニゾンと和声、オブリガートやエコーのような表現を織り交ぜ、手拍子が温もりを醸し出す。歌も編曲も伴奏も良し。
CDで購入しようと思って探したらあったのだけど、この曲だけで良いのでダウンロードを探したらOTOTOYとmoraにあった。OTOTOYはロスレス(非圧縮形式)が選べる。ぼくの環境(Windows 10+JRiver Media Center+asio4all+タイムドメインライト)では音質が明確に違う。視聴もできるのでOTOTOYのWebサイトを以下にご紹介。もし購入される方は、音源の形式をプルダウンで「wav」形式を選択するとCDと同等となる。
https://ototoy.jp/_/default/p/81583
CDでも良かった。価格が900円で30曲も収録されているので。でもこれはここ近年でもっとも安い。普段は2千円前後である。
20代の半ば、南太平洋へ出かけてみようと思った。頭のなかにサモア島の歌があったのは間違いない。そこで行き先を西サモアにしようとしていたが、どういうわけかフランス領ポリネシア(タヒチ)になった。
それは「南太平洋の音楽」と題して民族音楽専門のノンサッチレーベルが録音していたこのレコードを聴いてから。当時この方面に直行便はなく、ニュージーランドとフレンチカレドニアを経由してタヒチ本島のファアア国際空港に降り立った。
南太平洋は陸がない海域に珊瑚礁の島々が点在する(珊瑚礁がない島もある)。冒険家たちの胸を熱くしてゴーギャンの心を捉えたポリネシア。危うく強制送還されかかったり、飛び込みで民宿を探し、市場に買い物に出て半月ほど自炊したこともあれば、セスナをチャーターしてマーロン・ブロンド所有の鳥の楽園(テティアロア島)に渡ったり、フランス人の観光客と素潜りを競い合って(20メートルぐらい)潜水病になりかけたり、南十字を見ながらファレ(かやぶき屋根)で寝ていたら近くの民家から母親が赤ん坊をあやす声にしんみりしたり、島をレンタサイクルで廻ったり、現地で調達した地形図で島の山脈に分け入ったり、現地の同年代の男女と無人島にピクニックに出かけたり,
夜に行われる地区の若者たちのタムレ(踊り)の練習に参加したり、現地の子どもたちと折り紙を教えながら遊んだり…。地球は友だちって感じ。そのときの様子は「南太平洋」のタグからどうぞ。当時の写真はミノルタX700とMDロッコールのポジで撮影したもの。
できないことなどなく、やりたいことがやれた時代だったかもしれないのは、沈まない太陽、日出ずる国、Japan as No1、世界の経済大国といわれた時代だったことも後押ししたかもしれない。金融機関や証券会社にまとまったお金を預けておけば1年でちょっとした旅行へ行く資金が増えた時代だったから。
2023年1月1日、サモア島の歌が人々の心に愉しげな歌を響かせて心を軽くしてもらえたらと願って。
タグ:南太平洋
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