夏休みが終わってから、夏休みを回想する。
それはもっとも近い夏とは限らない。
あれやこれやと考えるうちに、海山川へ入り浸ってときどきまちの図書館に立ち寄りつつ
あっという間に夏休みが終わった少年時代まで遡ることがあるかもしれない。
具体的な場面は出てこないのに、思い出色という目に見えない色彩を帯びた「夏休み」のこと。
それなのにあのときこの場所じゃなければ、あの人でなければ…と
特定の場面や人のことが毎日何かの瞬間に思い浮かべて切なくなるような。
それまでの二ヶ月、晴れと雨を繰り返しながらも同じ「夏」であったのに
夏休みが終わって半月しか経たないのに急に涼しさを感じる朝こそ、
夏の終わりの景色が秋の始まりと多層的に重なりつつ遷移していることに気付く。
季節が移り人も去って逝く。
去りがたいのは夏の心象風景に生きている人々。
人恋しくなるのは人のいない場所に出かけたとき。
季節の変わり目で森に包まれた川に出かけてしまう。
この場所も新緑の萌え色から深みが増して緑のコクを感じる。
長い前文にいつも辟易しながら読んでいただける方々のために
森に包まれた川の湿度感を届けたい。


河畔林がつくる小さな木陰の清涼感

湿潤な森に包まれて目に飛び込んでくる一つひとつの存在に呼び止められる



初々しいハスノハカズラの実。宝物を見つけた気分



沢が流れ込む合流点はさらに湿度が高いのに冷気を帯びて涼しい



流れを上流へとたどるのは思い出を遡るようだ



おもいがけないひろいもののようなオオナンバンギセル
ということは付近に生えているのはススキということになる
渓流沿いで見たのははじめて。たいがいは高原、草原で見かけるものだから


適当なところで折り返すと時間軸が過去から現在に戻る感じ
そうか水の流れは心のタイムマシンだったのかと

なぜか柴咲コウの歌が耳に響いている。この湿度感、じわりと寄り添う密度感、彼女の歌はいつも風が吹いているようだ。
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