蒼い川から2.5km上流の河原で今年(2022年)からひまわりが育てられている。まちおこしグループ「かつうらを美しくする会」のみなさんがつくられたもの。特徴は勝浦川右岸の雑草が茂る河川敷を整地して種をまいたもの。ただそれだけではなく、通路(迷路仕様)が設けられ、両側にひまわり畑が割れて大海原を歩く大魔神の心境になれる。
場所は勝浦町沼江の柳原バス停が目印。森を抜けて直線道路が続くあたり。車も数台停められる。
夕方に仕事を終えてその足で向かった。今回が初めてである。
到着は17時過ぎ、ここのひまわりは東を向いているので西日が逆光となって太陽を縁取るコロナのような輝き(写真を撮るならスマートフォンでは逆光となるので手持ちのデジカメを持っていったほうがいいと思うよ)。でもぼくはこの時間が良かった。



農薬を使われていないのだろう。昆虫が多いのがうれしい。主に見かけるのは蝶や蛾、そしてトンボ、ミツバチなど蜂の仲間。ただし夕方出かけたにも関わらず蚊は皆無であった。




ミツバチは足に花粉だんごを付けている



特に羽が黒くてひらひら舞うように翔ぶハグロトンボがもっとも多い。ひまわり畑を舞う姿は優美で幽玄を感じる。まずこれが見物。


沈みゆく太陽とともにひまわりと太陽のつくる光の園と呼びたい光彩が次々と万華鏡のように現れる。







太陽が雲に隠れると写真では違う色彩が現れる(カメラの色温度は太陽光に設定しているのでこうなる)。

今年見たひまわりのなかでもっとも心を動かされた。その理由は企画実行された人たちの思いが感じられたから。東から西へ向かう(川は西から東へ流れるので下流から上流へということになる)ひまわり畑で散策路が分岐し、それがときどき行き止まりになる。そこで立ち止まる、振り返る。
すると別の光線やら別の角度からひまわりを見ることになる。さっきは気付かなかった植物の存在、虫の営み、そして光の園と呼びたい太陽とひまわりの繰り広げる光彩。ここからは川は見えず空は見えるが、ひまわりに囲まれて人とひまわりの一体感を覚える。おとながそう感じるぐらいなので特に背が高くない子どもだったらどうだろう(もっともぼくも背の高い子どもだけれど)。

それは来る人への物言わぬおもてなしであり、遠くウクライーナへの思慕すら感じられる。万感を込めたひまわり畑の光の園(というコンセプトを描かれたのだろう)をご準備された方、ありがとうございます。
(追記1 写真撮影のヒント)
青空を背景に夏の思い出を撮りたい人は10時20分〜11時40分ぐらいの間で。今回のように光の光彩を愉しみたいのなら16時50分〜17時35分が潮時。
(追記2 フジのレンズについて)
今回は主としてXF23mmF1.4 RとXF60mmF2.4 R Macroの2本で。23ミリは逆光をものともせず先鋭な画像、それでいて人の心のふるさとを朴訥と描くような画像をもたらしてくれる。
一方の60ミリは逆光ではフードを付けてもコントラストが著しく低下するけれど、その写り具合を見ながらわずかに画角を変えると光の園が目に映し出され、心が動いてシャッターを押す感じ。このレンズはどんな画家でも描けないアウトフォーカスをやわらかくにじませながらも輪郭を失うことなく立体感を持って描く。こんなレンズはフジのなかにも他社のなかにもそうないよね。

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