2022年05月29日

赤松川のとある集落であのテーマソングを聴く 初夏の里山 おだやかな里の人々


初夏ともなれば赤松川に触れないわけにはいかない。
ここには子どもの頃、親父にドブ釣りに連れてきてもらっていた。

ドブ釣りとは、アユ釣りで水深のある流れに錘を付けた毛鉤を上下させて釣る解禁初期の釣り方。そのときの天候、水深や水流、苔の色、水の濁り具合、太陽や時間帯によって毛鉤を選択する。
毛鉤には青ライオン、八つ橋、岡林1号などと制作者が付けた名称があり、高価なもので底にかけてなくさないようにしなければならない。

赤松川は那賀川の支流で川口ダムの直下流で本流と合流するのだが、那賀川本流はダムからの放水で濁っていることが多く、アユは澄んだ水を求めて支流の赤松川へと入り込んでくる。
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赤松川はおだやかな里の川だが、横谷となる下流(本流との合流点周辺)は険しい峡谷で合流点近くにある深い淵が釣り場。
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吊り橋を渡って対岸に下りて大きな岩の上から釣る。
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小学生のぼくがアユを釣り上げると大人たちの視線を感じた。どんな毛鉤を付けているかを観察しているようだった。

赤松川中流以降はそれまで東流していたのをくるりと向きを変えて県道19号(阿南鷲敷日和佐線)に沿って北流する。この道は、丹生谷地域(那賀川流域の那賀町)と日和佐(国道55号線、海部郡美波町)を結ぶ最短にして主要道路となっている。屈曲点の下流の赤松地区は学校やら神社が集まる集落の賑わう場所となっている。海(海部)と山(丹生谷)を結ぶ街道の拠点として古来より栄えたのではないか。

赤松集落の円通寺に私立中学校の夏休み勉強合宿で来たことがあった。もちろん勉強ばかりではなく座禅などもあったと記憶している。そして寺から指呼の間の赤松川で泳ぐのだ。岩があってその下は淵となっている。その岩の上に立ってさりげなく女の子たちが見ているタイミングを見計らって派手に飛び込む。水は冷たくて10分と入っていられない谷の冷水であった。

赤松川に親しんできたのでよその土地に来た感じがしない。今回はひとつの地区に絞って歩きながら集落の人たちとも会話を交わす機会があればと考えた。その集落とは、1998年にトンネルが開通したことで三日月湖のようなU字路となったもの。地図を見るとそこから赤松川を渡る橋がある。見てみたいと思った。

赤松川は観光地ではなく里の川の里山(棚田)風景なのだけど、意外性がある。例えば、県道から田んぼを縫って川へ下りていくと潜水橋がある(昼寝をする場所である)。
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入道雲に祝福されて蝉時雨が奏でる集落の叙情詩。里山の初夏(夏)はリゾートより愉しいかもしれない。
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赤松川本流に流れ込む支流の沢、きょうはこの沢のほとりでおにぎりを食べた。こんな流れが随所で合流していく。
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川べりにはドクダミがあちこちで咲いている。あとですれ違ったおじさんは「十薬」(じゅうやく)と呼んでいた。昔はともかく近頃では葉っぱを煎じて飲むことは少なくなったという。
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里山を潤す赤松川から取水した用水。けれど両側の田んぼは草地のまま。地元も高齢化で作付けが難しくなっているのかもしれない。用水の河畔林が落とす影が里山の心象風景。
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用水を横切ってあぜ道をたどると赤松川に出た。
地元の人以外は知られていないが落ち着く場所。水のきらめきと深沈とした淀みが階調となって河畔林を映す里山の川の風情にひたる。
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歩いていると散策している集落の女性2人とすれ違ったのでこちらからあいさつをする。そのときぼくはトキワツユクサを撮っていた。これはアフリカ原産の帰化植物で在来種の生態系に影響を与えないか注意が必要。
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U字のもっとも湾曲した場所(両側から遠い場所)にバス亭がある。1日5便で川口(徳島バスの乗り合い所)と日和佐駅(JR牟岐線)を結ぶ。
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ここから赤松川へ下りていく分岐道がある。ここに至るU字路は地元の生活道なので車で乗り入れるのは遠慮して道幅の広い県道において歩いた。
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橋の上から見えた赤松川
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橋を軽トラックで渡って家路につくおじさんと会話(川の写真を撮って気付かなかったので声をかけていただいた)。
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軽トラとはいえ、こんな狭い橋を渡るのですかと尋ねると、2トントラックで橋を渡って山仕事へ行くこともあると教えてくれた。橋の向こうを歩いてみると杉林と林道でもはや人家はない。林道もやがて行き止まりになるのだろう。

橋の向こう側(林道側)から集落側を見る
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バス亭まで戻るとさきほどの女性2人組、さらに軽トラックのおじさん、おじさんの家の若い女性(娘さんと思う)、ご近所の方々が集まっている。その場でさらに会話。ぼくは赤松地区へよく来ていること、きょうは川と山野草を観察するのが目的と告げた。良い土地にお住まいですね、と(世辞でなく)。

花の話題になると、おじさんの娘さん(親切で美しい方だ)から近所の花の情報をいただいた。

ユキノシタは至るところで花を付けている。葉を天ぷらにするとポテトチップスのように何枚でも食べられるが、どこに生えていようと自生している山野草を摘んでまで食べるのは遠慮したい。
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U字をさらに進んでいくと棚田が美しく見えてくる。1日5便の路線バスに二度すれ違った。
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自生しているのか植栽かはわからないが、茶の木がある。
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柿の並木道はその下の用水に涼しげな影を落とす。秋には収穫を迎える。
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赤松川から引いた水が流れる用水路と柿の並木と棚田を見ていると風に吹かれていたい気分。
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車を止めた県道まで戻ろうとすると、集落半ばのバス亭でまだみなさんがいた。その理由がすぐにわかった。

行進曲調の曲とともに小型トラックが近づいてきた。

とくとくとーくとくしまる
野菜にお肉、おみそに雑貨
笑顔もいかが
移動スーパーとくし丸♪

(聴きたい方はこちら

こちらは日和佐駅前のスーパーオオキタさんからの商品が提供されている。
軽トラックのおじさんは、さしみをお買い上げいただいているようだ。オオキタまではここからは13kmほどであるが、買い物へ行く手間が省けるのとご近所さんとの語らいの場にもなっている。単なる宅配機能だけが提供価値ではないのだ。
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実は徳島県内のとくし丸の運営会社社長の村上稔さんとは親しくしているので集落で知り合ったばかりの方々が買い物するのを親しみを込めて見ていた。

買い物途中のみなさまにごあいさつをしながらその場を去って行く。
里山の暮らしの一端が感じられた。
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(それにしてもとくし丸のテーマソングはくせになるな)

今年の豊作を祈る(これは2020年の盂蘭盆会の頃)
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赤松川はまもなく蛍の季節を迎える。アユの解禁日ももうすぐだ。
タグ:里山 赤松川
posted by 平井 吉信 at 00:48| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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