草原、高原という地形は四国にはあまりない。
山がちで尾根沿いに移動していた古の四国人はやはり山の人。
草原といえば野焼き。スミレ好きにとって、春の山焼きこそスミレ天国の発現であることを知っている。
ここでも春に行われていると後になってわかったことであるが。
(野焼きは熱帯雨林で行われるような焼き畑とは異なり、草原の生態系を蘇生させる役割がある)
愛媛・徳島県境に位置する塩塚高原は東斜面の小歩危から入るか、北東斜面の銅山川沿いから行くか、西斜面の新宮から入るかのいずれか(道路状況なら新宮から入るのが入りやすい。高速を使えば新宮I.Cを下りたらすぐに山道が始まるのも利点。お好きな人は霧の森で新宮茶や例の大福でも)。
今回は銅山川、黒川谷川から入ることとした。
まずは小歩危峡とラフティングを見てからにしよう。





西側(愛媛側)の霧の高原からの塩塚峰(1,043メートル)。塩塚高原の盛り上がった丘という感じ


高原の散策





体長2メートルのアオダイショウ。こちらを見ているが逃げない。さらに接近しようとしたところで反転して草むらへ入っていった。農家の納屋などに居着く種類がここにいるのは野ねずみが多いのかもしれない。

あっというまに塩塚峰に到着するも山頂という感じがなく、パラグライダーの発着場ともなっている。そのまま木の階段を愛媛側へ下りていくとすぐ下に林道。そんなところもこの山(高原)のおおらかさで良い。

スミレはというと同定に困るものが多い。高原ゆえにというわけでもないのだろうが、交雑の頻度が高いのかもしれない。
これはスミレ(Viola mandshurica)として


これはアケボノスミレとして



これはなんだろう? アカネスミレ?


これも悩ましい。スミレ(Viola mandshurica)のようだけど、隣にアカネスミレらしい葉が見えるが、スミレにあるような翼が見える。色はスミレ(Viola mandshurica)より一段と濃い。スミレ(Viola mandshurica)×アカネスミレかもしれない。

山焼きが行われるとスミレのような植物は喜んで顔を出す。けれど他の植生が優勢になると消えていく。人間が手を入れることで生態系の再生を促しているともいえる。

草原の片隅でイスに座って頭上を飛ぶ飛行機とたなびく雲を見ていた。
追記
この日は高齢者を連れていたので山道を少なくしようと新宮I.Cから帰ることとした。
お約束の大福は2箱制限であったので1箱のみ求めてうちと近所の連中でいただいた。
新宮茶は脇製茶場の新茶が出ていたのでそれも。



あとは急須を購入。4500円と高価だけど、ここで扱っている急須は実用性が高く、茶の抽出がうまくいく。10数年前に買った急須の注ぎ口が欠けてしまった。欠け口を磨いたので実用性に影響はないけれど同じ製品は入手しておきたかった。調べてみたが、霧の森でしか販売されていないようだったので。
霧の森は茶の魅力がまず大切という姿勢が感じられるよね。どうすれば茶がおいしく煎れられるかということで茶器も研究されたのだろうと思う。旧新宮村内で採れる茶葉を活かすために大福を考案したとして本質は地域の茶から逸脱しないという理念があるところが他地域でやりがちな取り組み(梅の産地なのにみやげもの用は中国から仕入れて売るなど消費者は錯覚するよね)は行わないところ。マーケティングというよりは本質を見ている。だから大福だって飽きられることなく売れ続けているのだろうね。


旧新宮村の茶畑


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