2021年10月11日

さよなら夏の日 清らかな海から浄らかを祈る海を思う 明丸海岸から水俣へ


場所は明丸海岸、ときは夏の終わり。
風が涼しく感じられる渚の木陰で本(Kindle)を読んでいた。
「苦海浄土」(石牟礼道子)―。
文庫本(836円)
Kindle(期間限定304円)

波の切り口のような水の落ち際から海中へ転じれば
イセエビやアワビ、ウニが生息する海。
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かたや有機水銀を含む工場排水がもたらした水俣病、
いや主語は人間である、
現実を直視せず目先の利益を追いかけたヒトの業がもたらした病。

水俣の海がその後の長い年月で海を取り戻すのにかかった時間は自然界では一瞬でしかないが
人生という時間の価値を46億年の悠久と比べることはできない。
福島の大地が「素(もと)のまま」を取り戻すのには放射性元素の崩壊を待つ途方もない時間がかかるとしても。
半世紀前の日本の漁村を襲った公害は2021年に映画となった(「MINAMATA」は9/23に公開)。
https://longride.jp/minamata/
(カリブ海の海賊がユージン・スミスに化けるなんて)

夏の名残の渚は何も語らないままヒトのココロにさざなみを立てる。
さまざまな記憶の断片や情報を思考に織り込ませる攪拌機のように。
渚の中央に寄せる波の崩れる直前の海面が斜めの陽射しで散乱する。
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谷の水がそのまま木の下をくぐって渚に辿り着く。
海岸性照葉樹のミネラルをたっぷりと含ませて。
海岸のもっとも湾曲した砂浜が岩に押されて海にせり出す道路とU字で互いに接近する地形。
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海を眺めては紅茶を飲み、画面に目を落としては海を見る。そして数時間が経過。
そろそろ店じまいと机とイスをたたんだそのとき夕立に見舞われた。
大粒の雨が窓をたたく車内から対岸の山にくっきりと虹が出た。それは180度の円弧を描く。
しかし車内から窓を開けた瞬間にカメラが水しぶきを浴びる。
やむなくフロントガラス越しのシャッター。
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雨が小雨になったときを見計らって外へ出るが虹は薄れていく
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雨が止み残照も消えて暗くなった渚の円弧が深沈と波の作用を受け止める灰色のキャンバスとなる。
DSCF1399-1.jpg

やがて夕陽が顔を出しなにごともなかったかのようなおだやかさが戻ると
海の色が青でも赤でも灰色でもない中間色に染まる。
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原始の地球の海もこんなだったのだろうか。

posted by 平井 吉信 at 22:34| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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