知人が住んでいる地区で道を歩けば顔見知りに会いそう。
だからというわけではないが、用もなく訪れることはない。
どれだけ離れているかというと、クルマで15分(それだけの距離)。
それなのに数十年訪問していなかった。
櫛渕をこのブログで訪れたのは2か月前のこと。
→ 田を吹き抜ける風 あじさいの連なる里山が揺れるけれどぼくは上の空
櫛渕地区には数年前にバイパスができた。
旧道には小学校がある。そして勝浦方面へ抜ける主要道であり交通量も多い。
それなのに道が狭く対向が困難な箇所があるからである。
前回訪れたのはバイパスから南の盆地だった。
今回の思い出の地とは旧道よりも北の盆地である。
こちらは小さな谷が立江川に向かって南流して開けた盆地が東西に連なる。
つまり谷が侵食せず残った尾根が東西方向への行き来を分断するかたちとなっている。
そして立江川本流が切り拓いた谷底平野のような盆地が東西に開けて並行してバイパスが走っている。
櫛渕の北部集落はこのように起伏に富んだ典型的な里山地形に集落が点在する。
そして県の木となっているヤマモモの栽培はこの地で始まった。
樹木で目に付くのは竹藪である。
ここ二十年ぐらいはヤマモモに加えて菌床シイタケの一大産地となっている。
菌床栽培はほだ木の製造からハウスでの栽培までを一貫して行っている。
個々の生産者は農林水産省の補助金を原資に少額とはいえない借入を行っておられるのではないかと推察。その代わり規模は大きく、数十人の雇用を行っている事業所もある。
集落を歩くとほだ木の培養の匂いが立ちこめているのもそのためである。
なお、集落をめぐるのはクルマは不可である。車幅感覚1.8メートルが身についているぼくが歩いたところ、曲がれないところ、躊躇する場所、タイヤの幅すらはみ出す場所がある。
集落に迷惑がかかるので歩きがおすすめである。
おさらいが済んだところで車を櫛渕八幡神社の隅にでも停めさせていただいてそこからしばらく東西に走る県道を伝って北へと直交する小径へ入る。
ここは観光地でなく農村である。
ゆえに集落内を歩いていると、見慣れない人には好奇の目を向けられることがある。
すれ違ったらあいさつをしておこう。
八幡神社の境内はいつもにぎわう。隣に小学校があることもその理由

バイパス方面(集落の南部)を見ると実る田んぼがすがすがしい

小山を背景に秋葉神社がある。ここは小径の交点となっている。どちらへ向かうか思案のしどころ

夏雲を背景に一休さんとさよちゃんが遊んでいそうな場所

交点から西へ進むと諏訪神社。この道はここで行き止まりなので交点へ引き返す

今度は北(谷の上流)をめざす。民家と竹藪が見えてきた。里山らしい好みの場所

竹藪の小径を進む気にならず

喰味谷を北上して宮の内方面へ抜ける道があるはずだが見当たらない
一見して人家へ上がっていくような道をたどるとどうやらこの道がそのようだ
竹藪の小径である

道ばたの墓標。虫除けスプレーを忘れたので蚊が寄ってきてシャッターを押すのが忙しい

北へ向かって登り切ると南へ向かって降りていく。ここは宮の内の集落である

草むらにたたずむ賀勢山神社

子どもの頃、親類宅(祖父方の兄弟の家)に遊びに来て水遊びをした小川はこのところの日照りで渇水


冷たい水とせせらぎで顔を洗ったもの。半ズボンで太ももの上まで入っていくが冷たい。黒い羽根に緑のトンボは今も昔も変わらずにいる

由緒ある家屋が見えてきた。農園で菓子をつくっておられるところ


さらに南へ下ると道幅は広くなり田んぼが開けてくる
目の前に県道(旧道)が見えてきた

しかし右へと伸びる遍路道が気になって西へ延びる脇道をたどっていく
棚田は黄金の穂を風に揺らす

さらに進むと池の畔に出た(二反田のため池)



ここからさらに遍路道が伸びるが、引き返すこととした



池の堤から見下ろす宮の内の棚田



宮の内の集落から山間を抜けて喰味谷へと戻る小径をたどる
自転車のおばさんが追い抜いていく

気温は30数度の猛暑だが、秋の気配を感じた夕方。
里山は近くても遠くにありて想うもの。
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