2021年07月20日

人知れず確かに存在する小野八幡神社 夏の湿った大気にたたずむ辺川の棚田(阿南市福井町)


由岐I.Cから帰ろうと思ったが、
風に吹かれたくなって県道25号日和佐小野線を通ってみることにした。
日和佐〜小野間も自動車道よりも旧国道を通ることがこのところ多くなっている。
蝉時雨を聞きながら窓を開けて走れる。
夏を感じたくてわざわざクルマが通らなくなった旧道を通っている。
かつての国道もいまは静かだが、棚田にも耕作放棄地が増えている。

由岐のまちから山を越えて阿南市福井町へと降りていく。
現在では国道55号日和佐道路を経由して由岐I.Cで降りるのが一般的だが、
かつてはこのルートが田井ノ浜へ行く唯一の道路だった。

その日和佐道路から見えた景色を思い出した。
左手の盆地に小さな棚田が連なる夏の風物詩のような風景。
あれはどこから行けばいいんだろう。
内妻海岸の鳥居ではないが、気になるけれどどこから行くのかわからない場所)

県道から脇道へ入って日和佐道路の高架をくぐると見えてきた。
この場所に違いない。

調べてみるとここは海部郡ではなく阿南市との境界付近で阿南市福井町辺川の棚田だとわかった。
(福井町からトンネル3つ越えて下ってきたところが福井町とは思えない錯覚。ここは美波町由岐と思っていた。けれど国土地理院1/2.5万を見ると福井川支流の流域で椿泊とも結ぶ道路があることに気付いた)

歩き始めると里山の風情が湿度高くしっとりと横たわっている。
湿潤な温帯モンスーンを描かせたらフジフイルムに敵うカメラはない。
道路が苔むしているので勾配があるところでは滑らないように。
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棚田の小径から木々に囲まれた暗い場所へとさしかかる。振り返ると棚田が宝石のよう。
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暗い場所は広場になっていて鳥居があった。
この鳥居は森に囲まれてどこから見ても見えない場所にある。
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神社銘を見ると八幡神社とある。地名から小野八幡神社(阿南市福井町貝谷26)である。
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ここでお神楽をするのか、農村舞台のような建物がある。
由緒ある神社とお見受けした。
DSFT7087-1.jpg

神社から鳥居へと下る坂道は苔むして滑りやすい
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左手に棚田と沢を見ながら小径に沿って歩く。
右手の起伏は古墳ではないかと見えてしまう。
魂を鎮める場所に神社が置かれているのではないかと。
この神社の由来はわからなかったが、
寄進された方々のお名前からこの地区の産土神社であることは間違いない。
DSFT7107-1.jpg

次の文献があるのを見つけた。
「海藻の霊力--阿南市福井町貝谷・八幡神社祭礼」(高橋 晋一)
(高橋教授は徳島大学大学院で文化人類学、民俗学を担当されている方で郷土の祭礼や民俗芸能の論文を著されている)
こちらに高橋先生の関連記事がある。
http://vinoshin.blog21.fc2.com/blog-entry-284.html
http://vinoshin.blog21.fc2.com/blog-entry-285.html

手入れのされた畦と水路、そして木が配置されて地権者の美意識を感じる
DSFT7102-1.jpg

この場所は空撮すると階段状の棚田と左手の沢、そして右手の神社のある森が一望できて美しいのではと思った。
DSFT7117-1.jpg

山間部の地形からは想像も付かないけれど、
「貝谷」という地名から想像するとかつて入江だったのかもしれない。
隠れ里のようにも見えるが交通の要衝地ゆえそれはないだろう。
気まぐれから出発した数時間だけど
県内ですらまだ知らない土地があるのだと感慨に浸る。

posted by 平井 吉信 at 00:05| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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