じっくりと耳を傾けると幸福な気持ちになる。
聴けば聴くほどスルメのような余韻が響く。
(あいみょん「マリーゴールド)」)
ひたひたと迫る「好きでたまらない」感情。
夏の風を受けて、さらにさらに好きになる。
21世紀の万葉集、それも東国の素朴な恋を綴った東歌の相聞歌だね。
(元歌)(多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき)
(替歌)(かぜをつよみゆれる夏花ゆらゆらと何そかなしき麦わらの君)
その歌詞のなかで「揺れたマリーゴールド」に引っかかっていた。
感じている幸福は現在進行形であって過去ではない。現在進行中の幸福感を描くのに過去の場面を回想、比喩するのはわかるけれど、なぜ過去形なのか?
揺れるというのは継続する動作、状態でそれを過去形とするのなら、深い意味があるはずである。
そこでいくつかの仮説を立ててみた。
「揺れていた」マリーゴールドに似ている。
隠しても隠しきれない10代後半特有の時分の花。
存在するだけで空気感が明るくなるような純でかれんな。
歌詞が音符に足りないので「揺れていた」が「揺れた」になった。
「揺れる」マリーゴールドでもよかった。
揺れるという動作は継続している状態だから。
でも彼女は揺れ続けているわけではない。
だから現在形は書けなかった。
刹那こそすべてと信じたい気持ち。
誰だってこんな気持ちはある(あった)よね。
もしかして「傾いた」マリーゴールドに似ていたのかもしれない。
小首をかしげて微笑む愛らしさを重ねてみた。
「傾いた」=「揺れた」と置き換えてみた。
「揺れるマリーゴールド」と「揺れたマリーゴールド」を空間に音として出してみると
後者がしっくり来た。音符が短いところで同じ母音だとつながりやすいから。
どの仮説が正しいのか、あるいは正解はないのか、
深い意味はないのか、それは本人しかわからない。
でも歌の世界に正解は求めなくていい。
歌は抽象と具象を行き交いつつつくられている。
そのさじ加減で聴き手は自分の体験や思いに重ねる。
(このフレーズは私の思いを代弁している。幸福なヒロインになってみるなど)
aikoのカブトムシとは違ってコードを下げながら元に戻ってくるわかりやすさが世界観に合っている。
どこかで聴いたような気がするのはそのためだけれど、それが親しみやすさ、なつかしさを呼び起こす。
良い楽曲だね。
そこでマリーゴールド。揺れていないけれど。

人間の背丈よりはるかに高いオニユリは夏の空に向かってまっすぐに伸びる。


潜水橋をクルマ、人が通る


水辺へと続く

群生している場所から土手の木陰をのぞむ

オニユリが乱れ咲くこみちを駈けていくのはきっとランニングと半パンに虫取り網を持った麦わら帽子の男の子。ここはそんな物語が描ける小径。

センチメンタルシティ・ロマンスのLP「夏の日の思い出」(ポリドール/28MX 1247)
現在ではCDもダウンロード音源もなく。
日本の夏の叙情を西海岸の音で描く。
アルバム冒頭の「想い出のリフレイン」で陽炎のように夏の詩情が立ちこめる。
CDで復刻されないかな。

オニユリが笑った夏(などというとどこかで見たコピーのような気がする)の一日でした。
追記
勝浦町のJA直売所「よってネ市」で買ってきた野菜はこちら。
フルーツトマトは夏の路地ものだから期待できないと思っていたら思いのほかアミノ酸が凝縮されて舌を転がり夏の刹那に消えていく(化調の旨味と違って後味が良いのは消えていくから)。

シシトウ大量100円、ナス8本で139円、インゲン93円、つやつやピーマン93円、フルーツトマト10個204円、とうもろこし2本185円、ニンニク2個130円、木村式自然栽培ブルーベリー370円、おやつに前松堂のほたようかん。
いずれも切り口がまだ緑や白で今朝もしくは前の日の午後に採ったことを表す。
スーパーでは不可能な鮮度こそ直売所の生命線。
あまりもののうどんとともに夏野菜(ゴーヤ、ピーマン、シシトウ)と黒豚の小間切れでうどん焼きをつくった。ちょうどご飯の切れ目であったので米は夕方炊くことにして昼はこれで。箸はチタン製で衛生面に配慮。

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