2021年01月24日

フィルムを入れて写す写真機 そのときどきの時間(人生)をとめる


銀塩写真(フィルムカメラ)やアナログレコードの流行は一時的なものとは思えない。
それは特定の国や地域だけで起こっていない。
レコードに至っては、アメリカではCDの生産量を上回っているというのだから。

ぼくもアナログレコードもアナログプレーヤーも現役で持っている。
テレビも15インチのソニープロフィール(高性能トリニトロンブラウン管)をいまも使っている。
(液晶やプラズマやら4Kの画面には落ち着きがなくて長時間見ていられないよね)

フィルムカメラのライツミノルタCLやミノルタX700は現在も稼働している。
特にライツミノルタは完動新品レベルもの。
M-ROKKOR40mmF2と90mmF4のレンズがある。後者はライツ製だ。

そこでひらめいた。
フジからはMマウントアダプターが発売されている。
ぼくはXFレンズの望遠は持っていない(XF35mmF1.4 の換算53mmまで)。
M-ROKKOR90mmF4はライカ製でElmar-C 90mm F4と同一と言われている。
ミラーレスのデジタルかめらはではピント面を拡大できる。
これで桜を撮ってみたい。そう考えるとわくわくする。

レンズを格納している防湿庫を覗いてみる。
最良の状態で90mmはそこにある。
LEDの光を当ててみてもコーディングの衰えもレンズの曇りもない。

その近くに皮ケースに包まれたものがある。
はて?
思い出した。親父が所有していたコンタックスTVSだ。
(バリオゾナー28-56mm F3.5-6.5付)
ぼくはゾナーT* 38mm F2.8の付いたT2を奨めたが
親父はズームがいいと言い張ってこちらにしたのを思い出した。
(T2はカヌーエッセイストの野田知佑さん、姫野さんも使っていたと記憶している)
しかしなぜか親父はほとんど使っておらず
おそらくフィルム1〜2本撮影して退蔵していたもの。
取り出してヤマギワ電機のバイオライトに照らすとチタンボディはまばゆき輝きを放っている。
DSFT9811-1.jpg

DSFT9814-1.jpg
(余談だがコンタックスT2のテイストにもっとも近い最新のデジカメがフジのX-100V)

同じツァイスレンズが付いたキョーセラのスリムTは家族全員が旅行に使っていた共用。
胃かいようで入院していた親父が退院したとき
夫婦で由布院の温泉でもと送り出したときに持って行ったカメラでもあった。
由布川の土手で噴煙を上げる由布岳を撮ろうとしたとき
病み上がりだったせいか足元がおぼつかず斜面で転倒したのだという。
そのときの擦り傷がカメラの背面に付いている。
しかしカメラには異常なく電池を入れればいまも現役である。
DSFT9799-1.jpg

スリムTにはツァイスのテッサーレンズが付いている。
ネガプリントを見たうちの母親が写真の美しさに絶句。
このカメラは写りが違うといって「わたしのカメラ」と言い張るようになり、
とうとう自分の名前のシールを底面に貼ってしまった。

いまのコンパクトデジカメはハイアマ用を除いて高倍率のズームしか残っていない。
35o〜38oでF2.8程度の単焦点の付いた廉価な製品が出れば相当売れるのではないか。
ボディはプラスティックでも構わない。
シャッターと電源スイッチのみでシャッターを押すだけの完全オートでいい。
もちろんストロボは内蔵。
沈胴式レンズでレンズ枚数は少なく。
ボディ内手ぶれ補正機能は付いている。
画像はこれみよがしではなく自然な再現で4〜5万円程度。
(ただし設定を選べば見映えのする仕上がりも選べる)
色は黒、白、銀、赤は避けて、アースグリーン(濃い灰緑)、生成、鴇色などはいかが。
そんなカメラが出たら売れるように思うのだが。
(富士フイルムあたりが無印良品などと連携してやらないものか。直販とムジ店舗のみで家電量販店やカメラ店では売らない)

カメラは手に取ってメカニズムや造形を愉しむ道具でもあるが
家族や友人、つまりは人生とともに刻を閉じ込めたもの。
喜怒哀楽の光と影が織りなす人生模様を写すのが写真機。
(スマートフォンはだめだよ。消耗品だし画像が厚化粧だから時間とともに化けの皮が剥がれる)
posted by 平井 吉信 at 00:26| Comment(0) | くらしとともにあるモノ
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