2021年01月03日

鳴門わかめの生産・加工業者 うずしお食品さん 応援しています


本日の徳島新聞にうずしお食品の取り組みが掲載された。
それによると、同社の後藤専務は鳴門わかめの品種改良のため
2010年に三陸のわかめ産地を視察して株を分けてもらっていた。
翌年に震災で三陸のわかめ生産者は壊滅的な被害を被った折
後藤さんは鳴門で培養していた種を届けるため三陸へと向かった。
以来、毎年のように三陸の生産者を訪ねては復興を見守っている。

鳴門と三陸はワカメでは競合する産地であるが
互いに技術交流をするなど切磋琢磨と励まし合いつつ年月を積み重ねている。
三陸の生産者は「南海トラフで大きな被害が出るようなことがあれば鳴門に支援に駆けつけたい」という。
どちらの産地も栄えて欲しいと願わざるにはいられない。

ワカメ生産者が直面する課題はいうまでもなく地球温暖化による高水温化である。
しかし徳島の沿岸の藻場を見る限り、そればかりではないと思われる。
海の栄養価が下がった結果、藻場が少なくなったこと、
そして温暖化で磯に定着する魚、
例えば、チヌ、グレ、タイ、ボラ、スズキ、アイゴなどが
冬に近い時期まで藻を食するようになった。
つまり貧栄養化が主要因でそれに輪を掛けているのが高水温化という構図ではないのだろうか。

貧栄養化の原因としては河川の浄化があるだろう。
それ以上に山の荒廃とダムの整備で大水がでなくなったことが大きいのではないか。
吉野川河口の長原漁協の漁師から伺った話だが
かつては吉野川の洪水で黒っぽい水が海まで流れてきた。
それを「土佐水」と呼んで海苔が成長すると歓迎したとのこと。
いまや土佐水は流れてこないのかもしれない。

話をうずしお食品さんに戻そう。
後藤専務はワカメの産地の将来を見据えて研究と実践を重ねておられる。
うずしお食品は鳴門市の里浦地区に漁業権を持っておられるが
そこで採れるワカメはきわめて良質のもの。
そしてそれを冷凍して届けている。
一度でも同社のワカメを食べたなら、これが同じワカメかと呆然とするだろう。
調味料は要らない。そのまま食べておいしい。例えるとワカメのさしみ。
DSCF6525.jpg

鳴門わかめには産地偽装が相次いだ黒い歴史があることはご承知のとおり。
(中国産を混ぜる、ひどい場合は中国産そのものであったりする)
県の指導で「鳴門わかめブランド回復緊急対策部会」を設置して
産地偽装が発覚すれば自主廃業というルールを敷いたが
それ以降も加工業者による偽装が相次いだ。
(他の産地の業者ならともかく本場の事業者が産地偽装するなんて)
開いた口がふさがらない。
徳島にいながらも
鳴門わかめの包装を見てそれがほんとうかどうか信じられないなんて。
(加工業者の脱税の噂も後を立たない荒っぽい業界である)

後藤専務はそんな事態に憤慨し、
産地の将来を考えて心を痛めておられたのではないかと推察する。
誠実に、そして科学的な洞察を交えながら
信念を持って経営しておられる同社のような会社を応援せずにはいられない。
(品質向上のためライバルの三陸の生産者の門戸を叩いたり窮地に陥った三陸へ支援の手を差し伸べる姿勢からも伺える)
ほんとうにおいしいですよ、うずしお食品のわかめは。


(参考)
徳島県は「徳島県鳴門わかめ認証制度」を打ち出した。
http://www.naruto-wakame-ninsyou.jp/approval/company/

有限会社うずしお食品は認定第一号となっている。
(以下、県のWebサイトから抜粋)
昭和52年創業の、鳴門わかめを取り扱う徳島県鳴門わかめ認定制度第一号認定企業です。 生産者から直接仕入れ、自社工場でボイルから行い、トレース管理、衛生管理を徹底した湯通し塩蔵生わかめ・茎わかめの製造・加工販売を行っております。

http://uzushioshokuhin.co.jp/
タグ:鳴門
posted by 平井 吉信 at 21:03| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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