2020年08月28日

重要文化財 田中家を見よ。想定外という言葉は要らない


吉野川の度重なる氾濫は決して害だけをもたらしたわけではない。
洪水のお陰で肥沃な土が運ばれ、
それが農作物にいい結果をもたらすことがあった。

かつての阿波藩は名産の藍染の原料となる藍の作付けを奨励していた。
石井町にはその名残りの藍屋敷田中家がある。
洪水常習地帯に建てられたこの家の石垣は高さ2メートルにも及ぶ。
川に面した方角には屋敷を守るために木が植えられ、
納屋の軒下には小舟が吊るされている。
屋根に届くような大水の時には、
母屋の茅葺き屋根を切り離して船として使うという。
DSFT2438-1.jpg

田中家は究極の洪水対策を備え、水利と肥沃な土を求めて川から離れなかった。
建築されて数百年、実際にノアの方舟のような大洪水はなかったが、
数百年起こらなかった希有の自然現象に対して、
畏敬の念とたくましい想像力を持って暮らした人々の心が伝わってくる。
タグ:吉野川
posted by 平井 吉信 at 23:11| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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