明日は小松島市長選。
国政では思いつきのアイデアや政権幹部や経験者の関連会社への利権などにうんざりする。
以前から指摘してきたように政権の目玉事業はその話題性に隠れて
決まり切った企業が受託して事務委託費(中間コスト)に大半が消えていく。
それらが政治家になんらかのかたちで間接的に環流するのだろう。
国政と基礎自治体の政治はやや事情が異なる。
まずは限られた予算と権限のなかで為政を行わなければならない。
しかしすでに支出が固定化されている経常的な支出がある。
平成30年度の小松島市では経常収支比率が99.8%に達していることから
市単独財源ではできうることはきわめて限られる。
(公債費負担比率は同年17.7%と警戒水準を突破している)
いまは2020年。政策としてコロナ禍への対応がある。
(これについては国からの臨時交付金等が降りてくると考えられる)
すでに専門家等からの指摘があるように
数ヶ月単位で収束することはあっても
終息までに2年から5年程度はかかるというのがほとんどの識者の見解。
だから重点施策から「賑わい創出」につながるハード整備やイベント系は消さなければならない。
思い出してほしい。
なぜ徳島県は県内由来の感染者が出ていないのか。
それは全国で唯一中心市街地がない県だからである。
それゆえ人が集まる場所として感染症がマークされてきたのは
郊外の商業施設1〜2箇所のみ。
もしある候補者が賑わいをつくるような政策を並べていたら
ぼくはその政治家の顔をまじまじと見つめる。
「時代が見えていますか?」
企業の経営では強みを活かして(伸ばして)
新たな需要をつくりだす(潜在ニーズの「見える化」や提案)ことが戦略である。
基礎自治体では予算と既得権の制約があるが
強みを抽出して磨き上げる方向は間違っていない。
小松島市の強みは何かというと地勢的な拠点性と考える。
徳島市に近く、勝浦川流域(勝浦町・上勝町)からの日々の流入がある。
その一方で阿南市からもバイパスで結ばれている。
そのため、個性ある事業所は徳島市南部、勝浦川流域、県南部から徳島市へ向かう流れの一部を取り込める。
もっとも重要な拠点は赤十字病院である。
ここには医療関係者、入院患者とその付き添いなど常時2千人が滞在する。
循環器系診療ではかつて四国有数と呼ばれていた。
弱みは企業等の立地場所が限られること、まちなかや主要地区の津波防災対策が求められること、
少子化時代に対応できる持続可能な学校教育の構築である。
このような立地においては生活者の安心安全や利便性を考えて都市設計を行うことで
人口減少はあっても存在意義を示していくことはできる。
(近頃当選した県内の若い市長たちは生活者の存在が見えていないのではないか)
国政では思いつき政治の弊害が誰にも明らかで
市町村長をアイデアで選んではいけない(それを実現して意味があるか、実現する裏付けがあるか)。
前市長に見るように市町村政では専制的な運営がなされやすい。
意思決定のプロセスを構築すること、そこに市民の意見が反映されること、
このことが2020年の小松島市にもっとも必要なこと。
さて、ふたりの候補者はどう応えてくれるのか?

(夕刻の小松島市中心部を日峰山から)
タグ:政治経済
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